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玄海原発に「接する」城下町 
 唐津市民の悲痛な叫び   
 聞く耳持たぬ国と九電        

2011年7月 6日 09:15

 人口12万6,000人を超える隣接自治体を無視して、わずか6,500人の原発利権の町が地域の未来を決める。そんな理不尽が、許されていいはずがない。

 佐賀県唐津市は玄海原発を抱える玄海町の隣に位置する城下町である。市のシンボル唐津城、虹の松原、唐津焼、唐津くんち、呼子のいか等々、歴史と自然がもたらす恩恵のなかに生きる、落ち着いたまちだ。

 だが、玄海原発に万が一の事故が起こった場合、福島同様に人が住めなくなることは間違いない。
 
 10キロ圏内とされてきたEPZ(防災対策重点地域)の見直しが必至の情勢であるにもかかわらず、国や九電は唐津市民の声を聞こうともしていない。 

原発の先は唐津市
gennpatu 62788.jpg 九州電力玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)を出てすぐのT字路を左に向かうと、わずか200~300メートルで左側に小さな標識が見えてくる。白地に青で「唐津市」の文字。
 その右手前にはひときわ大きな「ちから合わせて素敵な未来へ」と書かれた玄海町の立て看板。上部に「SEE YOU AGAIN」とあるところを見ると、ここが玄海町と唐津市の境ということになる。車で玄海原発をあとにして、わずか数十秒の場所である。
 報道で目にするのは、《唐津市は玄海原発の「近接自治体」》といった表現ばかりだが、原発の目と鼻の先は、唐津市なのだということを実感させられた。 

唐津へ架ける橋

 地形から言えば、唐津市が玄海原発を含む玄海町を両手で包み込んでいる形で、右手の指先に原発があるといったところだ。どう考えても「近接自治体」という表現はなじまない。玄海町が唐津市に接しているというより、玄海原発そのものが唐津市と接していると言ったほうが妥当なのだ。
 なぜ、玄海原発再稼動にあたって、唐津市民の意見は一顧だにされないのか?理不尽な現実に怒りを覚える人たちは少なくないだろう。

届かぬ唐津市民の声
唐津火力発電所 国や九電が、再稼動の同意を得る必要があるのは「玄海町と佐賀県」だけ、と勝手なルールを決めたのは、玄海町長や議会、さらに佐賀県知事が意のままに動くことが分かっていたからだ。
 原発利権に依存する玄海町長と、元九電社員を父に持つ古川康佐賀県知事。九電の身内同然とも言える二人が逆らうはずはない。したたかな計算があったことは容易に想像がつく。

 電源3法交付金で縛れるのは、せいぜい立地自治体である玄海町まで。唐津市まで抱き込むことはできなかったということで、必然的に再稼動容認の権限は「玄海町と佐賀県」に限定された。国や九電のやっていることは「謀略」そのものだ。
  
 唐津市には街の中心部に火力発電所があり、九電へは十分な協力をしてきたはずだが、述べてきたような理由で、蚊帳の外に置かれたまま説明会さえ開かれていない。
 しかし、唐津市内には原発事故時の緊急事態応急対策拠点施設「オフサイトセンター」があり、同市が原発の前線基地という位置づけをされてきたことは事実だ。
 唐津市民からモノを言う権利を奪うことは許されない。 
gennpatu 62823.jpg

 ここで、寄せられた声を紹介しておきたい。(お断り:表現などの一部を編集部で修正しています)
『玄海原子力発電所に隣接している地域は玄海町だけではありません。ご存知のように、唐津市は玄海原発を挟んで東側に位置しています。玄海原発で事故が発生した場合、地理的条件から、偏西風の関係で最も被害を被る可能性の高いのは唐津市(呼子町)となるでしょう。
 唐津市と玄海町の合計人口の95%が唐津市に集中しています。でも、唐津市から県に提出された意向書は、プルサーマル計画の時と同じように無視されました。玄海町と県、九電間の合意だけでいいはずがありません。圧倒的に人口の多い唐津市のことが考慮されないのはおかしいと思います』。

『私の子どもは2才です。もちろん自分の未来について意思表示などできません。ばかな大人たちがやっていることも分かりません。それでも唐津市民です。
 私たちや(唐津市の)子ども達の未来は、唐津市民の声で決められるはずなのに、なぜ菅総理や九電の社長は唐津市民の声を無視するのでしょうか。日本は民主主義国家ではないのでしょうか?玄海町の町長は子ども達の世代に責任が持てるのでしょうか?自分と岸本組さえ儲かっていればそれでいいという人間に、憤りを感じます。
 政治家には何の期待もしていません。原発について何の発言もしない佐賀の国会議員は全員クビにしてやりたいと思います。くやしくて、くやしくて眠れない夜もあります。助けてください!そう叫びたい毎日です』。

原発再稼動、さらに議論を
 玄海原発に事故が起きた場合、放射能被害は長崎県や福岡県にも及ぶことが予想される。
 しかし、玄海原発に「接する」唐津市の声さえ聞こうとしない姿勢が物語るように、国や九電は玄海町と佐賀県以外の自治体を無視したまま。届かぬ唐津市民の声は、ほかの周辺自治体の住民の声と同じなのだ。
 子ども達の未来を守るため、多くの国民が原発の是非についての議論に参加すべきではないだろうか。
 
 玄海町の岸本英雄町長は原発再稼動に同意したが、この人物に判断を委ねることの愚を証明するため、原発マネーにまみれた玄海町政の実態について、明日、詳しく報じる予定だ。

 玄海原発再稼動問題は、まだ終わってはいない。 

 



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