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原発事故情報 開示拒む国の姿勢

2011年6月24日 10:50

 電力消費がピークを迎える夏に入り、休止中の原発の再稼動に向けた動きが加速するなか、都合の悪い情報をできる限り国民の目に触れさせまいとする国の姿勢が鮮明になった。

わずかな文書の開示を「延期」
 莫大な予算を投入し開発してきた放射能拡散予測システム「SPEEDI」だが、これまで報じてきたように、福島第一原子力発電所の事故では何の役にも立たなかったことが明らかとなっている。
 それでは事故発生時、「SPEEDI」を所管する文部科学省はどのように対応したのか。初動の記録を文科省に情報開示請求したが、わずかな枚数と思われる文書の公開さえ「延期」を通知してきた。
開示決定等の期限の延長について(通知) 先の福島第一原発の事故に関する、今年3月11日以降の「東電」から経済産業省原子力安全・保安院への報告や放射性物質に関するデータについての情報開示を半年間延期したことに次ぐ、事実上の情報隠しである。

判断材料示さぬ理由は?
 国民が原発の是非を判断するためには、電力各社の対策はもちろん、国や地方自治体の放射能災害に対する備えが十分であるかどうかを知る必要がある。
 福島第一の事故では「SPEEDI」をはじめ、動けないロボットや使用不能となった「オフサイトセンター」など、"機能しない防災システム"の存在が明るみに出ており、国の態勢を再検証することは急務のはずだ。
 玄海原発などの再稼動問題への結論が急がれるいま、すべての情報開示が求められていることは言うまでもない。判断材料を示さずに、「原発を認めろ」という国の姿勢は間違いだ。
 情報を出し渋るということは、都合の悪いことを隠す必要があるからとしか思えない。

文科省への疑問
 例えば事故発生時、住民避難にとって必要不可欠な「SPEEDI」を所管する文部科学省は、どのように対応したのか。これまで、その点についての情報開示は不十分なままだ。
 HUNTERが文部科学省に開示請求したのは、平常モードとなっていた「SPEEDI」を"緊急時モード"に切り替えたとされる時点の記録である。
 3月11日の原発事故発生時点では、文部科学省所管の天下り法人「原子力安全技術センター」が同省から「緊急時迅速放射能予測ネットワークシステム調査」の業務を委託されており、事故発生とともに同省の指示を受け"緊急時モード"に切り替えることになっていた。

 4月の取材時、同省防災環境対策室は「『SPEEDI』については、省内の『原子力災害対策支援本部』か『原子力安全委員会事務局』に聞いてもらうしかない」として説明責任を放棄。次いで原子力災害対策支援本部は、「『SPEEDI』に関しては、『原子力安全委員会』が運用することになったので、そちらに聞いて下さい」と"たらい回し"。
 結局、「SPEEDI」を所管する防災環境対策室が「切り替え指示についての記録があるかどうかわからない」として、詳細な説明ができないままとなっていた。

 今回請求したのは、文科省側が原子力安全技術センターに対し「SPEEDI」を緊急時モードに切り替えるように指示した時点の記録であり、文書量が膨大になるものでも、文書を特定することに時間を要するものでもないはずだ。

 「SPEEDI」に関する別件も請求したが、開示請求書は別のものとして提出しており、切り替え指示に関する文書と同じ扱いで期限延長通知を出すことは不適切だろう。
 つまりは、現時点で「SPEEDI」に関する事故発生時の情報を出すことを嫌がっているとしか思えないのだ。

 「業務多忙」を理由に、肝心の情報を国民に知らせぬまま原発についての判断を求める国の姿勢には疑問を感じる。
 これで原発を認めろとは、無理な相談というものだろう。



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