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玄海町長 杜撰な資産管理
   
自宅土地は「故人」名義
 

2011年6月27日 10:10

 九州電力・玄海原子力発電所2号機、3号機の再稼動問題で注目を集める佐賀県玄海町だが、これまでの同町への取材で、原発利権によって歪んだ町政の実態が浮き彫りになっている。
 町政トップは岸本英雄玄海町長。
 昨年7月の町長選挙で、同町町議5名に車上運動員報酬として現金を渡し、買収まがいの選挙運動を行なっていた問題や、地場大手ゼネコン「岸本組」との親密な関係などを報じてきた。
 今回、新たに浮上したのは町長の"資産"に関する疑惑である。
 この人物に、原発や地域の未来を決める資格があるのだろうか。

資産公開の内容に疑義
図面 岸本町長の自宅は、東松浦郡玄海町大字長倉1553番地1となっているが、同一敷地内には町長と表裏一体の地場ゼネコン「岸本組」所有の事務所が2棟ある。
 町長が昨年7月の町長選挙で「選挙事務所」として使用したのは、岸本組所有の建物の方だが、同町総務課の話によれば、町長自身は事務所である2棟も自分の所有物件であると思い込んでいたという。つまり合計3棟を所有していることになる。
 しかし、岸本町長の資産公開では2棟しか記載されておらず、町長の釈明を否定するものだ。
 
 改めて、図面上に三つの建物を示してみたが、敷地内右側と奥の建物(青)が事務所で、左側(赤)が自宅建物である。
 資産公開で公表された町長所有のふたつの建物の床面積はそれぞれ「79.73㎡」と「152.19㎡」(合計231.92㎡)だが、登記簿上の床面積と合致するものはない。
登記簿上の床面積は次のとおりだ。(注・( )内は所有権者)
・自 宅(岸本英雄):1階122.78㎡、2階122.78㎡ 計245.56㎡
・事務所棟Ⅰ(岸本組):1階120.04㎡、2階98.93㎡ 計218.97㎡ 
・事務所棟Ⅱ(岸本組):1階32.23㎡、2階32.23㎡ 計64.46㎡
 岸本町長の資産公開資料の、どの建物の床面積とも一致しておらず、この点を玄海町側に確認しているが、町長側に調査をお願いしていると言うばかりでいまだに回答がない。資産公開の内容に疑義が生じている以上、町側にも答える義務があるはずだ。
 
 登記簿上、自宅建物は岸本町長が平成5年に相続し、同10年に登記したことがわかるのだが、この5年間は所有権が宙に浮いていたことになる。
 また、2棟の事務所の名義も昭和40年代から「岸本組」のままで、岸本町長は長い間同社から便宜供与を受けていた形だ。課税上の問題など疑問点が多く、町長自身に確認を求めているが、取材には一切応じていない。
 県議3期を経て町長となり、"公人"として15年以上を過ごしてきたにしては、あまりに杜撰な資産管理で、町長の政治倫理の欠如を指摘せざるを得ない。

土地所有者は故人
 自宅及び2棟の事務所がある敷地は、約634㎡。分筆はされておらず、昭和52年から「岸本八十吉」名義のままとなっている。
 八十吉氏は岸本組の創業者で、明治44年に唐津に於いて土木建築請負業を始め、昭和27年に「株式会社岸本組」を設立、初代社長に就いた人物である。岸本町長は、八十吉氏の「ひ孫」にあたるという。
 
 問題は八十吉氏がかなり以前に亡くなっていることだ。
 岸本町長の自宅建物と「岸本組」所有の2棟の事務所の敷地は、昭和52年から八十吉氏名義のまま現在に至っており、所有権は移されていない。八十吉氏が亡くなった場合、当然ながら誰かが相続することになるが、この土地の名義は変更されていないのである。
 
 八十吉氏名義の土地は、そのすべてを事実上岸本町長が使用しており、相続税や固定資産税などの支払い状況によっては重大な問題が生じる。言うまでもなく、問題の土地の固定資産税は玄海町が徴収するものだ。つまり、町政トップが使用する土地への課税が適切に行なわれているかどうかが問われる事態なのだが、この点についても岸本町長側からの回答はない。岸本町長に対しては、玄海町総務課を通じて、再三取材の申し入れを行なっているが、多忙を理由に応じる気配さえない。
 登記簿

 これまで報じてきたとおり、町長は「岸本組」創業者一族のひとりであり、個人としては同社第2位の大株主である。その立場がなければ、社有物件を自己所有と誤るような杜撰な資産管理は不可能だったと思われる。
 玄海町と岸本組、そして町長の間に広がる闇は深い。

〈つづく〉



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