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原発と「恋人の聖地」 ~玄海町の実情~

2011年6月21日 13:57

 原発の町に「恋人の聖地」があった。
 写真は九電・玄海原子力発電所の立地自治体である佐賀県玄海町にある「浜野浦の棚田」の展望所に建つ看板だ。全国的にも知られる同地の棚田については、玄海町のホームページに次のように記されている。

《NPO法人地域活性化支援センターが実施している「恋人の聖地プロジェクト」の選定地に、佐賀県から唯一「浜野浦の棚田」が認定されました。(平成19年4月1日付認定)
 このプロジェクトは、全国の地域活性化策として平成18年4月に始動。少子化対策と地域活性化を目的とし、プロポーズをするのに最も相応しい場所として、 桂由美さん(デザイナー)、假屋崎省吾さん(華道家)、菊川怜さん(女優)などの恋人の聖地選定委員会により「恋人の聖地」として施設や場所が認定されます。
 全国100カ所の認定が予定されており、浜野浦の棚田は44番目に認定されました。
認定されたのを記念し、モニュメント(エターナルロック)を設置しています。
 より多くの恋人達が訪れてほしいものです》
(同町ホームページより)。

浜野浦の棚田 町の西側は玄界灘に臨み、北東部が唐津市に接する玄海町は、ご覧のような豊かな自然と景観に恵まれた町なのだが、昭和31年に旧値賀村・旧有浦村の合併によって現在の町が形成され、同40年代に玄海原発の誘致が決定するまでは、「佐賀一の貧乏地域」(同町住民の話)だったという。

 原発誘致後、電源3法(電源開発促進税法、特別会計法〔旧・電源開発促進対策特別会計法〕、発電用施設周辺地域整備法)による交付金は、町の状況を一変させる。
 人口6500人ほどの同町に、雇用と公共事業がもたらされ、豪華施設が次々と完成する。

玄海タウンマップとアトム伝言板 町内大字新田にある「町民会館」と「社会体育館」の正面には、写真の掲示板が設置されているが、タウンマップの横には「アトム伝言板」として九電の原発啓発ポスターが貼ってある(九電のカネで作製されたものとしか思えないが)。
電源立地地域対策交付金等で整備した主な公共施設 タウンマップの左下にはひときわ目立つ赤文字で「電源立地地域対策交付金等で整備した主な公共施設」と記されており、「玄海町社会体育館」、「町民会館」など8箇所の施設が列挙されていた。

 写真はそのうちの「産業会館」と「会場温泉パレア」の外観である。

玄海町産業会館  玄海海上温泉パレア

 「アトム伝言板」があった「玄海町社会体育館」と「町民会館」の建物は、遠くからでもひときわ目立つ巨大さで、全景を捉えるには数百メートル離れなければならないほどだ。
 整備された周辺道路の美しさと合わせ、「交付金」の威力をまざまざと見せつける。

玄海町社会体育館  町民会館

 玄海町役場と議会棟の建物も、同程度の自治体とは比べようのない立派なもので、原発マネーとこの町の関係を象徴している。

玄海町役場  玄海町の議会棟

 町の財政を支えている原発マネーが減れば、ほかに財源を持たない同町はたちまち行き詰まる。「玄海原発の運転再開」について「認められない」という選択肢など初めからないのである。

 玄海町長や町議会に、原発や地域の未来を決める資格がないことを報じてきたが、玄海町の歴史や実情を見るにつけ、この町に原発の是非を問うこと自体が間違いであると感じる。

 「浜野浦の棚田」は、日本の原風景を感じさせるすばらしい場所だが、冒頭の写真でもわかるように、玄海原発からの送電線や鉄塔がお構いなしに視界に入る。
 玄海原発で事故が起きた場合、そこは間違いなく「恋人の聖地」ではなくなる。



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