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玄海原発運転再開への疑問
 ~ゆがんだ玄海町政~

2011年6月15日 09:00

 九州電力・玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)2号機、3号機の運転再開問題が注目されている。

 定期検査のため営業運転を休止していた玄海原発2号機、3号機は、4月に運転を再開する予定だったが、東電・福島第一原発の事故を受けて運転再開を延期。原発の安全神話が崩壊するという現実の前には当然の方針転換だった。
 
 運転再開の条件として、原発立地自治体である玄海町と佐賀県の同意が必要とされるが、人口6,500人ほどの玄海町にとっては、あまりに重過ぎる課題を突きつけられた形である。
 玄海原発の運転再開の是非が、原発行政のあり方に大きな影響を与えると見られるからだ。
 
 それでは、玄海町政にはその重い問いかけに応える資格があるのだろうか?

注目される玄海町
 鹿児島県薩摩川内市の川内原発をめぐっては、3号機増設に向けた動きがストップしており、関係自治体は玄海原発の状況を見定める構えだ。玄海の運転再開が決まれば、増設計画が進むことになる。
 そのほか、定期検査のため休止中の全国の原発も、玄海原発の方向性が決まれば一気に運転再開への流れができる可能性が高い。玄海町が原発再容認の嚆矢になるということだ。
 わずか12人の町会議員と町長が、日本の原子力行政の行く末を決めるかもしれない事態には、大きな疑問がある。

「安全性」確立されぬまま
玄海原発1~4号機のサムネール画像 九電や経済産業省原子力安全・保安院は、地元である玄海町や佐賀県に玄海原発の「安全性」を訴えてきたが、佐賀県の古川康知事はいまだに首を縦に振っていない。
 津波に対する緊急安全対策は実施されたものの、原子力安全委員会が中心となって行なわれる「耐震」についての国の指針見直しはまだこれからの段階。保安院や九電が耐震の安全性を保障できる正式な根拠は何もないという状態なのだ。
 さらに、福島第一の事故に際し、まったく機能しなかった緊急事態応急対策拠点施設「オフサイトセンター」や、放射能拡散予測システム「SPEEDI」の再整備など、肝心の原発事故対策は未着手のままだ。この段階で「原発は安全」とするには無理がありすぎる。

玄海町、運転再開に前のめり
gennpatu 62666.jpg そうしたなか、玄海町議会は今月1日、12人全員の議員で構成する原子力対策特別委員会(中山昭和委員長)を開き、委員長を含む8人の議員が運転再開を容認する意思表示をした。
 岸本英雄玄海町長は、同委員会の議論を受けて運転再開を認める意向を示しているが、拠りどころとなっているのが前述の8人の議員である。
 同町の原子力対策特別委員会で、運転再開に同意する議員の数が過半数を超えたことを踏まえ、住民の意見は十分汲み取ったという論法だ。
 13日の町議会では、住民投票はもちろん、九電や国による住民説明会さえ否定している。
 かたくなな姿勢の背景には何があるのだろうか。そして、同町の判断過程に問題はないのか。

玄海町の政治家たち
 取材のために玄海町を訪れた13日、玄海町政の歪みと、町長はじめ複数の町議の政治家としての資質を疑わざるを得ない事実が明らかとなった。

 結論を先に述べておくが、玄海町長や同町議会に原発の未来を委ねるのは間違いである。
 明日の記事でその詳細を報じる。



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