自民党・古賀誠元幹事長の資金管理団体「古賀誠筑後誠山会」(以下、誠山会)の政治資金パーティは、平成20年に計6回(福岡市1回、東京5回)、平成21年には計4回(すべて東京)が開催された。
東京で開催された9回の政治資金パーティについては、会場の収容人員をはるかに上回るパーティ券を販売しており、ひどいケースでは収容人数の10倍ものパーティ券を売っていた。
福岡開催分も含めた政治資金パーティによる2年間の収入は2億9,537万9,160円。約3億にのぼるけた外れの金額だ。しかし、その内容は不透明というほかない。
パー券は誰が買った?
同様に、団体による20万円以上のパーティ券購入の状況は、次のようになる。
・30万円分(15枚)を2回、28万分(14枚)を1回購入→1団体
・30万円分(15枚)を1回購入→1団体
・50万円(25枚)を1回購入→1団体
・それぞれ80万円(40枚)、60万円(30枚)、100万円(50枚)を1回ずつ購入→1団体
・150万円分(75枚)を1回購入→1団体
20万円以上のパーティ券購入を行なったのは5団体で、計558万円分しか確認できなかった。
これでは政治資金提供の正確な状況はつかみようがない。
判明したパー券購入は5.5%
3億円ものカネを集めながら、誠山会の政治資金収支報告書では16社・5団体分の1,638万円、収入全体の5.5%についてのパーティ券購入実態しかわからず、95%は購入者が隠された形だ。
誠山会の2年間の収入は、「全国不動産政治連盟」から"寄附"された500万円を除き、すべて政治資金パーティによるもので、総収入は300,379,160円、資金提供の相手先がわかるのは7%ということになる。
ガラス張りには程遠い実態だ。
収容人数との関係
興味深いのは、20万円以上のパーティ券を購入したとされる企業・団体によるパー券購入枚数と、会場収容人数との関係だ。
例えば、誠山会の政治資金収支報告書には、平成20年4月21日に九段会館「真珠の間」で開催された「古賀誠政経セミナー」で47,159,790円の収入があり、パーティ券購入者は2,358人と記されている。
一方、この日は6社で250万円分のパーティ券を購入したことが明記してあり、20,000円のパーティ券を125人分買ったということになる。しかし、会場となった九段会館「真珠の間」の収容人数は「210人」で、定員の6割近くを6社の関係者で埋めた計算になるのだ。
しかも、6社のうち4社(いずれも建設業者)の本社所在地は福岡県内であり、香川県、大阪府の企業がそれぞれ1社ずつ。東京で開催されたパーティにパーティ券購入額に見合う人数を送り込んだとは考えにくい。
もっとも会場収容人数の10倍以上のパーティ券を売っているのだから、来ない可能性が高いとわかっている相手のほうがありがたかったのかもしれない。
もちろん、誠山会のほかの政治資金パーティでも似たようなケースがある。
古賀氏側の「尺度」
平成20年・21年の2年間で10回におよぶ誠山会の政治資金パーティにおいて、20万円以上のパーティ券を購入したとして政治資金収支報告書に社名が記された企業の多くは、古賀元幹事長の選挙区(福岡7区)を主とする福岡県内の地場建設業者だ。社名が出てくるその他の企業にしても東京に本社を置く会社は見当たらない。
もちろん、実際のパー券販売は東京が主戦場だったのだろうが、古賀氏側にとっては、会場に来る、来ないかはどうでもいいことで、「どれだけ買うのか」が付き合いの尺度だったとしか思えない。
法の理念はどこへ
政治資金規正法は、基本理念(第2条)を次のように規定している。
《この法律は、政治資金が民主政治の健全な発達を希求して拠出される国民の浄財であることにかんがみ、その収支の状況を明らかにすることを旨とし、これに対する判断は国民にゆだね、いやしくも政治資金の拠出に関する国民の自発的意思を抑制することのないように、適切に運用されなければならない》
政治資金パーティを隠れ蓑にした誠山会のカネ集めは、同法の理念を踏みにじる政治家の実体を浮き彫りにしている。