福岡県町村会(福岡市博多区)内に主たる事務所を置いていたため、不適切として解散した自由民主党の支部が、麻生太郎元首相の選挙区支部に「交付金」を支出していたことが明らかとなった。
これまで町村会事務局は、解散した自民支部の「交付金」について、その支出先を隠してきており、小額とはいえ県町村会をめぐる不透明なカネの流れの一端が見えた形だ。
町村会の自民支部
交付金を支出していたのは「自由民主党福岡県地域振興支部」。支部設立は平成12年11月で、代表者は後期高齢者医療制度にからむ副知事への贈賄で逮捕、起訴され有罪判決を受けた県町村会の前会長、山本文男氏だった。
地域振興支部に関しては、同支部が県選管に提出した平成20年、21年分の政治資金収支報告書に、連絡先として県町村会の電話番号を明記。さらに、"福岡県町村会 事務局長"のスタンプが押してあり、同支部が県町村会の事務局ぐるみで運営されていたことを不適切であるとして今年3月、HUNTERが報じていた。
麻生首相側に交付金
麻生首相が代表を務める「自由民主党福岡県第八選挙区支部」の政治資金収支報告書には、平成21年8月18日、地域振興支部から20,000円の交付金収入があったことが記されている。
県町村会の事務局長は3月の時点で、「(町村会を巡る)事件が起きて、山本会長があのようなこと(逮捕、起訴)になった。以前から公的団体の中に政党支部が存在することは不適切だと考えていたので、解散を決めた」と説明。解散までに支出された計18万円の「交付金」の行方については、「山本会長の指示で複数に支出したが、内容は言えない。適切に処理した」としていた。
この18万円のうちの20,000円が麻生首相側の第八選挙区支部に支出されていたことになる。
麻生事務所側の説明
町村会内に自民党支部が存在していたことは、当時の町村会側の自民党に対する便宜供与とも見られ、県内自治体が拠出する会費や補助金といった公金で運営される町村会内部に特定政党の支部があったことに対し、不適切との声が上がっていた。
麻生首相が代表を務める「自由民主党福岡県第八選挙区支部」の会計責任者は31日、交付金受領についての確認取材に対し、「自民党支部からの交付金ということで、ありがたく受け取った」としているが、地域振興支部が県町村会がらみの団体であることは知らなかったという。