今年1月、任期満了にともなって行なわれた筑紫野市長選挙で当選した藤田陽三市長の陣営に、公職選挙法が禁止する「事前運動」を行っていた疑いが浮上した。
告示前に「個人演説会」
HUNTERが、筑紫野市選挙管理委員会への情報公開請求によって入手した藤田市長陣営の「選挙運動費用収支報告書」によれば、同陣営は今年1月に4回、「演説会場」使用のための支出をしていた。
しかし、同報告書や領収書を確認し、使用された会場や周辺を取材したところ、4回すべてが市長選挙の告示日である1月23日以前の会場使用だったことが判明。さらに、使用申し込みを「藤田陽三後援会」などの名称で行い、使用目的を「藤田陽三個人演説会」としていたことも分かった。
出納責任者・・・「選挙だから」
取材に応じた藤田陣営の出納責任者は、告示前に行なわれた4回の集会を「選挙だから、個人演説会だった」と明言したうえで、会場使用料を選挙運動費用に算入したことは当然との話をしている。
公職選挙法は、選挙運動について、立候補届出のあった日から当該選挙の期日の前日まででなければすることができないと規定しており、選挙前の「個人演説会」で投票依頼などが行なわれていれば同法違反の可能性が高くなる。
また、一般的に「個人演説会」は選挙期間中に行なわれるもので、選挙前にその名称で集会が開かれることはない。
仮に、藤田市長陣営が行なった4回の「個人演説会」が、《選挙運動》ではな後援会などの《政治活動》だったとしたら、会場使用料など演説会にかかった支出を選挙運動費用に算入することはできない。
捨てられた証拠書類
この問題をめぐっては今月20日、演説会場となった公共施設の利用状況を確認するため筑紫野市に対し新たに情報公開請求した公文書を、同市の担当課が捨てていたことが明らかとなっている(22日既報)。
捨てられた公開対象の公文書は、藤田市長陣営の行為が公選法に抵触するかどうかを判断するための裏づけ資料となるものだった。
筑紫野市側は、対象文書を含む過去2年10ヶ月分の公文書を、4月5日に「誤って」廃棄処分にしたと弁明しているが、都合の良すぎる展開に疑問が生じている。