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僭越ながら:論

福岡知事選 「無効票」大幅増が示すもの
《新知事よ驕るなかれ》

2011年4月11日 16:30

 相乗り選挙への批判が数字となって表れた。

 10日、投開票が行なわれた福岡県知事選挙は、投票率41.52%で前回知事選(平成19年)の49.04%を7.5ポイントも下回る結果となった。過去最低の投票率である。
注目したいのは「無効票」だ。

84,000の無効票
 前回知事選(平成19年)の無効票は約32,500票で、投票総数の1.6%だったが、今回は約84,000票に増えた。投票した人の約5%にあたる。ちなみに平成15年の知事選でも無効票は3万台だった。
 投票総数が30万票近く減る中で無効票が大幅に増えたということは、有権者が何らかの意思表示をしたと見るべきだろう。棄権ではなく、投票所に足を運んだ上での結果である以上なおさらだ。
 事実、投票を終えた人の話を聞くと「棄権は良くないから白票を入れた」(福岡市・50代主婦)、「相乗りでしらけた。どっち(の立候補者)も嫌だったから別の人の名前を書いた」(久留米市・30代会社員)。こうした票のすべてが「無効票」となったわけだが、今回だけは単なる「死票」とは思えない。
 むしろ、84,000人もの有権者が、確信を持って「相乗り批判」を行なったと見なすこともできる。投票所に足を運んだ人たちの票は、東日本大震災の影響で選挙から遠ざかった有権者の「棄権」とは意味が違うのだ。新知事は、8万票以上の無効票が出たという事実から目をそむけるべきではない。
 
低調選挙の要因
 震災の影響が低調な選挙をもたらしたことは否定しないが、福岡においては、事態を深刻にしたふたつの要因があったことを忘れてはならない。
 
 第一は、述べてきたとおり「相乗り」だ。福岡県における投票率低下は、「相乗り」に大きな要因があることは明らか。棄権は決して好ましいことではないが、反面、県政界への厳しい批判でもある。「無効票」の大幅な増加に関しても同じことが言える。
これまで報じてきたように、「相乗り」は政策論争の場を奪い、有権者の選択肢を狭める。歴史的な低投票率や無効票の問題は、選択肢を奪われた有権者の怒りが顕在化したものと見る方が自然だ。

 自身の傀儡を後継にするため、相乗りを進めた麻生渡知事、それに追随した麻生太郎元首相はもちろん、戦うことを放棄し「相乗り」を決めた民主、自民、公明など主要政党の責任は重い。
 相乗り陣営の中核を担った経済界については論外で、福島第一原発が予断を許さぬ状況にあるなか、電力会社・九電の会長が後援会長、選対本部長を兼任し、勝利のバンザイ三唱をする始末。電力トップとしては無自覚・無節操過ぎるのではないか。
 選挙戦を通じて、「相乗り」に驕る権力者たちの姿勢に怒りを感じた有権者は少なくないはずだ。

 2つ目の要因は当選した小川洋氏陣営の選挙に対する姿勢である。小川氏は、震災を理由にマニフェストを作成しなかったうえ、選挙戦前半、小川氏を支持する県議・市議らの事務所回りに集中。街頭演説など大多数の有権者に向けての政策提示を怠った。
 批判を受けて戦術転換し、後半戦になってやっと街頭活動に精を出したが、訴えの内容は「麻生県政の継承」に過ぎなかった。県政改革の意思はないと見る。

 こうした相乗り陣営の有権者軽視の姿勢が、相乗り批判に拍車をかけたことは否めない。震災の影響ばかりに低投票率の原因を求めることは間違いなのだ。

驕るなかれ
 新知事となる小川洋氏の前途は多難だ。406万人の県内有権者数に対し、小川氏の得票は28%にも及ばない。ある意味「3割自治」にもなっていないのだ。7割以上の県民からそっぽを向かれた状態で、まともな県政となるかは極めて疑問である。しがらみに囚われ、支持政党や労組、経済界のためだけの県政運営が行なわれるようなことになれば、県民にとっては大変な不幸。ぜひ、公平・公正を心がけ、広く県民の声に耳を傾けてもらいたい。
 そうした意味で、改めて「新知事よ、驕るなかれ」と述べておきたい。

 もちろん、新知事にとっての困難は別にもあるのだが・・・。



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