政治の劣化を象徴するようなカネの使い方だ。
稲田朋美元防衛省の資金管理団体が総務省に提出した政治資金収支報告書から、政治資金で大盤振る舞いを行っている実態が明らかとなった。
飲食店への1回の支払いに、40万円を超える額を出したケースもあり、庶民感覚からかけ離れた稲田氏の金銭感覚に批判の声が上がりそうだ。
■会合費に多額に支出
稲田氏の資金管理団体「ともみ組」が総務省に提出した平成26年、27年、28年分の政治資金収支報告書によれば、同団体は毎年、「夕食会合費」と「昼食会合費」の名目で80件~118件を支出。各年の飲食代は、約580万円から約700万円に上っていた。下の表は、年ごとの飲食代の総額と1件あたりの最低、最高額をまとめたものだ。
3年間を通じての最低額は10,080円。最高額は26年4月にイタリアンレストランでの「夕食会合費」に支出された41万8,500円だった。10万円以上の支出は平成26年が19件、27年が20件、28年が17件となっている。
高額な支出が複数回の飲食によるものなのか1回限りのものなのか、収支報告書の記載だけでは分からないが、どちらであるにせよ普通のサラリーマンには無理な金額。集めた政治資金で大盤振る舞いに及んでいるのは確かで、稲田氏の金銭感覚には疑問を持たざるを得ない。
稲田氏の資金管理御団体「ともみ組」が集めている政治資金は、年間約9,000万円から1億円。年によっては、その1割近いカネが「夕食会合費」や「昼食会合費」といった名目で費消されている計算だ。「政治にはカネがかかる」――どの国会議員もそうこぼすが、これがまともな政治活動と言えるのか?「自分が集めた政治資金をどう使おうが勝手」といった開き直りの声が聞こえてきそうだが、接待の相手が選挙区内の有権者だった場合は、公選法が禁じる「供応」=買収行為となる。
当選5回ながら、安倍晋三首相の引き立てで防衛相や政調会長などの重職を歴任してきた稲田氏。だが、防衛相在任時に発覚した南スーダンPKO派遣部隊の日報問題で指導力のなさを露呈。昨年6月に行われた都議会議員選挙の際には、自衛官の政治活動を制限する自衛隊法や、選挙における公務員の地位利用を禁じた公職選挙法に抵触する疑いのある発言をし辞職に追い込まれている。
政治家としての資質に欠ける同氏の武器は、愛国者を気取った右寄りの言動。人望のなさを補うために、高級料理店での大盤振る舞いを続けているということだろう。