6日未明に北海道を襲ったM6.7の地震は、胆振地方中東部を震源とするもので、同部厚真町で震度7を、隣の安平町で震度6強を観測した。大きな揺れとの関連性が疑われているのは、「石狩低地東縁断層帯」(いしかりていちとうえんだんそうたい)。 長さ約66㎞の主部と、約54㎞以上とされる南部の二つに区分される断層帯だ。
政府の地震調査研究推進本部(地震本部)が公表している長期評価によれば、予測されていた地震の規模は主部が「M7.9程度」、南部が「M7.7程度以上」。予測の範囲内ではあったが、肝心の地震発生確率は現実とかけ離れた数字となっていた。
■「石狩低地東縁断層帯」
下は、地震本部が公表している石狩低地東縁断層帯を示す図。次が周辺の詳細図だ。大きな揺れが観測された厚真町や安平町は、同断層帯主部と南部の境目あたりのやや東に位置しており、今回の地震直後から、同断層帯の関連性が指摘される状況となっている。
地震本部の活断層長期評価によると、石狩低地東縁断層帯主部は、北海道美唄市から岩見沢市、夕張郡栗山町、長沼町、由仁町、千歳市を経て、安平町に至る長さ約66kmの断層帯。南部は、千歳市から勇払郡安平町、苫小牧市、勇払郡厚真町を経て、沙流郡日高町沖合の海域に至る長さ54㎞を超える断層帯で、いずれも東側が西側に対して相対的に隆起する逆断層である。
断層全体が動いた場合、主部ではM7.9程度、南部ではM7.7以上の地震が発生する可能性があるとしており、いずれも日高山脈に近い東側の地盤が西側の地盤に対して2〜4メートル以上せり上がって段差ができる可能性があるという。
■難しい「発生確率」の判断
問題は地震の発生確率なのだが、地震本部は次のように評価していた。
主部は「30年以内に、ほぼ0%」、南部は「30年以内に、0.2%以下」となっている。発生確率については、「発生確率値は不確定さを含んでいます」「地震発生確率値が小さいように見えても、決して地震が発生しないことを意味してはいません」などと留意点が記されているが、この数字を見て地震の危険性を認識する道民は決して多くはなかっただろうと思われる。
特に、南部の評価「30年以内に、0.2%以下」を理解するのは難しい。地震本部は、今後30年間に地震の発生する確率(最大値)が、3%以上を「高いグループ」、0.1%以上-3%未満を「やや高いグループ」に区分しており、断層帯南部の0.2%はやや高いグループに入っていたことになる。そのため、<将来の活動>として「最新活動時期が特定できていないため、通常の活断層評価とは異なる手法により地震発生の長期確率を求めています。そのため、信頼度は低くなりますが、将来このような地震が発生する長期確率には幅があり、その最大値をとると、石狩低地東縁断層帯南部は、今後30年の間に地震が発生する確率が、我が国の主な活断層の中ではやや高いグループに属することになります」と記しているが、一般人が0.2%以下を高い確率と判断するのはやはり無理だろう。
「30年以内に、ほぼ0%」「30年以内に、0.2%以下」を素直に見れば、限りなく「0」に近いと判断するのが普通だ。しかも、今回の地震は、石狩低地東縁断層帯とは別に存在する未知の活断層が関係したとの見方もある。北海道地震が、改めて予知の難しさを突き付けた形となっている。