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日本の恥・麻生太郎のセクハラ擁護

2018年4月18日 08:20

テレビ画面.png かつて「宏池会の3バカ」と言われた男が、ライバルたちの失脚で総理大臣にまで上り詰めた。
 麻生太郎、77歳――天皇家の親戚にして財閥の御曹司、元オリンピック・クレー射撃選手、吉田茂元首相の孫という華麗な経歴を持つ。
 その彼が、財務省の事務次官が犯したセクハラという犯罪行為への対応を巡って、政界中に恥をさらしている。


◆上から目線で被害者冒涜
 17日、福田淳一財務事務次官が女性記者にセクハラを行ったとされる疑惑の証拠として週刊新潮が公開した録音データについて聞かれた麻生太郎財務相は、「俺聞いて、福田だなと感じましたよ。俺はね」と答え、録音の声が福田氏であることを認めた。問題は、財務所が雇った弁護士にセクハラ被害を申し出るように求めた対応の是非を問われた時の発言である。

「私どもとしては少なくとも第三者の弁護士を入れて、その弁護士に女性の人を入れて、言われやすいような状況にしてやって、本人が言ってこない。本人が申し出てこなければ、そんなんどうしようもないですね。
 訴えてるんでしょ、少なくとも――でしょ?こちら側も言われてる人の立場を考えてやらないかんのですよ。福田の人権はなしって訳ですか?」

 この男に、「人権」がどうのと語る資格はない。言うに事欠いて「言われやすいような状況にしてやって」――。セクハラが事実なら、女性記者は被害者。犯罪者の身内が、被害者に向ける言葉ではあるまい。

 言うまでもなく、「〇〇してやる」は、上位者が下位の人間に向けて発する言葉。上から目線が通用するケースでは決してないにも関わらず、麻生氏は平然と「言われやすいような状況にしてやって」と述べている。そこに被害者をいたわる気持ちは微塵もなく、むしろ蔑んだと見るのが妥当だろう。

 性犯罪被害者やセクハラ被害者は“弱者”である。政治が守るべきは弱者であり、犯罪者ではない。麻生氏の言う「こちら側」が、財務省を指すのか、政権を指すのか分からないが、犯罪者側に立っているは明らかだ。そんな人間が用意した弁護士を、被害者が信じるはずがない。

 「福田に人権はないのか」とも麻生氏は述べたが、日本は、いつから被害者より加害者の人権が優先する国になったのか。傲慢も、ここまで来れば暴力というしかない。

 被害者が“女性記者”であるかどうか不明のままだが、音声データの声が福田事務次官のものであるということは、麻生氏も認めている。その福田氏は、こう言っている。

「今日ね、今日ね、抱きしめていい?」
「浮気しないタイプなの?予算通ったら浮気するか?」
「いやいや手縛っていいから」
「手縛ってあげる。胸触っていい?」

 国家公務員法は《職員は、その官職の信用を傷つけ、又は官職全体の不名誉となるような行為をしてはならない》と定めており、福田次官の行為は、相手がどのような職業の女性であれこの規定に反している。何より、同氏は妻帯者であり、他の女性に性的交渉を持ちかけることが許される立場ではない。どれだけ屁理屈を並べても、福田氏の行為は即刻辞任が当然なのだ。それを、被害女性が名乗り出ないことを盾に「どうしようもない」――。麻生財務相の主張は、国民の感覚からも、世界の感覚からもズレている。

◆世界に広がった「#MeToo」
 日本時間の17日、優れた報道などを表彰するピュリツァー賞の受賞者が発表された。公益部門の今年度の受賞者は、ハリウッド大物プロデューサーによるセクハラ問題を報じた米紙ニューヨーク・タイムズと米誌ニューヨーカー。「#MeToo(私も)」のハッシュタグでセクハラを告発する運動が起きるきっかけとなったことが評価された。授賞理由はこうだ。

「権力と富を握り、弱みに付け込み性犯罪を犯す人間たちは、長い間被害者たちを抑圧し、野蛮な行為をし、黙らせた。(ニューヨーク・タイムズやニューヨーカーなどの報道機関は)その責任を追求した。その結果、全世界的に女性に対する性的虐待について深く考えるきっかけを与えた」

 「#MeToo」運動は世界中に広がり、韓国でもセクハラ被害を訴える女性が増えているという。

◆日本の恥
 日本はどうか――。国民に奉仕する立場の国家公務員のトップが、身分を利用して性的交渉を持ち掛け、ことが露見すると「知らない」と言って開き直る。あげく、できないことを承知の上で被害者に名乗り出るよう求め、「(名乗り出ないなら)どうしようもない」と突き放す。

 被害女性に二重の苦しみを与えているのは、セクハラという犯罪行為を行った事務次官の上司である財務相。世界中に醜態をさらすこの政治家に、国政を語る資格は断じてない。麻生太郎は、日本の恥である。



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