政治・行政の調査報道サイト|HUNTER(ハンター)

政治行政社会論運営団体
社会

「脱原発」はどうなった! 三反園訓 背信の証明(上) 

2017年8月16日 10:10

1-鹿児島知事2.png 気に入らない報道を行ったテレビ局の記者に対し、知事室で「BPO(「放送倫理・番組向上機構」)に訴えるぞ」と脅し、不当な圧力をかけていたことが明らかになった三反園訓鹿児島県知事(写真)。先月26日の定例会見で発言が事実か否かを追及された知事は、「現状の報道をもってBPOに訴えるということはない」という意味不明な文言を繰り返し、最後は「記憶にない」で逃げていた。
 報道出身とは思えぬ姑息な姿勢だが、川内原発(薩摩川内市)に関する同日の質疑の中では、さらに県民を愚弄する主張を展開していた。

■消えた「脱原発」
 BPO発言問題で遺憾なくペテン師ぶりを発揮した三反園氏は、同日の会見中、この1年間の川内原発についての対応を問われ、人間性を疑わざるを得ない答弁で記者たちを呆れさせていた。まず、就任から1年の原発政策について聞かれた知事は、熊本地震を受けて九州電力に原発の再点検・再検証を申入れたことや、避難計画、防災計画の充実に努めてきたことを強調。以下、地元紙記者と次のようなやり取りを行っていた。

 記者:防災対策に集中するとおっしゃっていましたが、脱原発全体の思いとしてはいかがでしょうか。
 三反園:私の選挙戦(の時)にいらっしゃいましたか

 記者:その時はまだ。
 三反園ですよね。ずっと私自身が訴え続けてきたことは、鹿児島を変えようではありませんかと、もう鹿児島を変えて、よりよくしていきましょうという、その「チェンジ」という合い言葉の中で、私はずっと訴え続けてまいりました。原発について発言したのは、私の記憶が正しければ川内での1ヶ所だけではなかったかなという思いがあります。その時に私はこういった覚えがあります。「自然再生エネルギーを推進していきましょう、自然再生エネルギーを推進することによって、原子力発電に頼らない社会をつくっていきたい」、そういう思いを述べた、そういう記憶がございます。
 そして、先ほど「脱原発」という言い方をされましたね。これもずっとこの記者会見でずっと言い続けていることでありますが、私は「自然再生エネルギーを推進して、そして鹿児島を自然再生エネルギー県に変身させる、それによって原子力発電に頼らない社会をつくる、そのために努力していく、それが私の脱原発であります」ということをずっと言い続けてまいりました。まず、そういう環境をつくっていかなければいけないということでありまして、そのための努力をしてきたということであります。

 就任から1年。三反園氏の主張から、「脱原発」という言葉は完全に消えている。質問した記者が知事選の時にいたかどうかなど、原発対応とは何の関係もない。素直に「脱原発」への思いを語ればいいものを、三反園氏はわざわざその点を逆質問し、記者が知事選時にいなかったことを確認したとたん「ですよね」と誇らしげな顔を見せていた。おそらく、質問した記者が選挙取材に携わっていなかったことを知った上での対応。「あなたは知らないだろうが」という人をバカにした姿勢の表れだ。“逆質問→念押し”は三反園氏の特徴だが、それが歪んだ持論を押し付ける時の常套手段となっている。

■「政府が」を連発
 醜悪なのは、「私は、脱原発などと言っていない」と言わんばかりの態度だ。三反園の初当選を支えたのは、紛れもなく「脱原発」を希求する県民の票。約20万票と言われる“反原発票”がなければ三反園氏の知事選勝利はなかったはずだが、選挙後の三反園氏は原発容認の姿勢を鮮明にし、県民の期待を裏切っている。「脱原発」という言葉への拒否反応なのだろう。三反園氏にはこの後、昨年7月の知事選前後に発した原発に関する主張を、いとも簡単に否定していた。

 記者:関連ですが選挙戦で反原発団体の平良さんと結ばれた政策合意文書にも、廃炉という言葉を盛り込んでいらっしゃると思います。就任会見でも「廃炉に向けて努力する」と明言されていますが、この廃炉についてどのように取り組むのかというお考えを教えてください。
 三反園:まず私がやるべきことは何かというと、自然再生エネルギーを推進していくことだと私は思っております。そのために、小水力発電に関しては、もう鹿児島で5か所くらい発電していますし、小水力発電をやることによって地元に数千万円という税金が新たにあることになることも事実でありまして、活性化にもなりますね。ですからまず自然再生エネルギーをどんどん推進していく、そして日本で、世界で初めてですかね、海流発電の実証実験も鹿児島で始めることになりましたし、そしてこれも非常に珍しいわけですが、鹿児島で洋上風力発電も行おうということも今推奨しているところでもあります。  そうしてさまざまな自然再生エネルギーを推進しようということで、県庁内に再生可能エネルギー推進委員会を設けました。そしてまずはこの推進委員会の中で、鹿児島県を自然再生エネルギー県に変身させるためにどのようにすればいいのか、いつまでに何をやって、どこまでいってどうするのかということを、ビジョンとしてまとめていただくことになっていますので、まずはこの自然再生エネルギーについて努力することによって自然再生エネルギー県に変身させるための努力をすることによって原子力発電に頼らない社会をつくっていく、そのための努力をしていく、それが私の役目だと思っております。

 記者:再生可能エネルギーをどんどん導入するというのは、伊藤県政もそうでありました。
 三反園:私はそういうことです。

 記者:それは伊藤県政も同じだったのです。そことの違いというのはどういうところなのでしょうか。
 三反園:それは伊藤県政との違いは、逆に記者さんがご判断いただければと思います。

 記者:それでいえば脱原発というのはもう撤回された方がいいのではないでしょうか。
 三反園:それは、ちゃんと理解していただきたいのは、ずっと私、記者会見で申していると思いますが「自然再生エネルギーをどんどん推進することによって原子力発電に頼らない社会をつくっていく、それが私の脱原発です」ということを何回も伝えておりますので、その脱原発へ向けて私は努力していくということであります。

 記者:では、廃炉に向けて取り組むというのは、どう取り組むのか。就任会見では「廃炉に向けて努力します」とおっしゃっていたのですが。それはどのように取り組むと私たちは受け止めればいいですか。
 三反園:先ほど、今言いましたが、自然再生エネルギーはまず推進していかなければいけませんよね。自然再生エネルギーをどんどん推進することによって原子力発電に頼らない社会ができあがるわけですよ。原子力発電に頼らない社会をつくるということがそういうことでありますので、そのために努力するということであります。

 記者:では少し聞き方を変えます。就任会見では、川内原子力発電所の運転について「40年運転が基本だ」ということを明言されました。ということは、最長60年の延長運転というのは認めないという考えは、今も変わりないのでしょうか。
 三反園:就任会見の時に質問されて、私はこうお答えしたと思いますね。「政府が40年ということを言っているわけですから、そういうことではないでしょうか」という話を私はしたと思っています。

 記者:ただ政府も、ご存じだと思いますが、ちゃんと審査を通れば最長60年、40年プラス20年運転できるわけです。もう実際ほかの原子力発電所ではそうなっていますし、そのことについて、40年運転が基本だという、選挙戦でも原則40年と、ずっとおっしゃっていたと思うのですが、そこの考えを教えてください。
 三反園:原則40年という言い方をしてきたと思います。だから政府も「40年」と言っているわけですので原則40年という言い方をしたと思っておりますので、それについては県庁内も含めて、知事という立場になりましたので、またみんなで詳細に検討していきたいと思っております。

 記者:では、延長運転を認めないということは違うということですか。
 三反園:だから、要するに原則40年だということを言っていたわけですね、政府も40年ということで。だから原則40年ということに関しては変わりはないということではないですか。

 記者:知事のお考えを聞きたいのであって。
 三反園:原則40年という考え方を最初述べているわけでありますので、要するに政府の方も原則40年という形の中でずっと取り組んできたわけでありますよね。だからそのあたりがどうしてそうなったのかも含めて、詳細にいろんな話を聞いてその上で判断していきたいと、そのように思っております。

 記者:では、延長運転を認めるか認めないかは、まだお考えが決まっていないということでいいですか。
 三反園:だから要するに、何度も申し上げて本当に申し訳ないですが、私がその時に述べた時には、政府の方も原則40年という形の中でやってきたと思うのです。それから方針が変わったのであれば、もっと詳細に、どうしてそうなったのかも含めていろんな意見を聞いて、そういうことをまずやってみたいなと、そのように思っております。

 記者:政府の方針ではなくて,知事の考えをお聞きしたいのです。
 三反園:だから、私はその時に言ったのは「政府の考え方も原則40年ということでありますので、原則40年ということではないでしょうか」とお答えしました。

 記者:知事の今の考えを教えてください。
 三反園:だから、私はその時にそういう話をしましたということであります。そして、もし政府の方で40年ではなくて、要するにもっと先延ばしするという方針を正式に決めたのであれば、逆にどうしてそういうことを決めたのかということも含めて、まず私の方針を決める前に、なぜそうなったかを聞いてみたいと。その上で判断したいと思っております。

 記者:ごめんなさい、40年以上の運転をするかどうかは、まずは主体の九州電力が決めることであり、ただそれを、審査に通れば20年動かせるというルール、それは法的ルールだと思うのです。それを、ただ延長運転となると、地元の同意ということが必要になってくるので、知事にご意見を聞いているのです。そこをどう考えますか。
 三反園:だから、同じ事で申し訳ないのですが,その時には政府も原則40年と言っていたので、原則40年ではないでしょうかとお答えしたわけです。それがまた方針やいろんなものが変わったのであれば、逆に言えばどうしてそういうことになったのかも含めていろんな話を聞いて、その上で判断したいというように自分の考え方をまとめてみたいと思いますし、まだ40年というのは時間があると思いますので、その中で自分なりに、またいろんな人の意見を聞いた上で判断したいと思っています。

 記者:では、延長運転については、知事は考えはまだ決まっていないということでよろしいですね。
 三反園:まだ決まっていないというか、原則40年ということを政府が決めたということでもありますので、逆に言えば40年かそこらあたりを含めて、今後さまざまな意見を聞きながら決めていきたいと思っております。まだ、実際問題として40年なわけですよね。

 記者:いや、川内原子力発電所1・2号機とも30年を過ぎていますし、40年というのはそう遠くない将来なのです。なので就任会見でもこちらはちゃんと質問して記事にもしました。そこで40年運転が基本という言い方をされたので、県民は延長運転を認めないんだなと受け止めているのですが、そうではないということですね。
 三反園:南日本新聞が「原則40年」という見出しにとったので私びっくりしたのですが、「原則40年が基本だ」と言ったわけです。ですよね。それは政府も含めて原則40年が基本だということを言っていたわけですよね。で、政府の方も原則40年と言っているわけですよね、ということを私はその時にお伝えしたわけですが、原則40年だという思いだったということです、その時は。

 記者:いや、選挙戦でも伊藤さんが私は60年運転をすべきだということをちゃんと主張されて、それがひとつの政策テーマに、論点になったのです。なのでそこを聞いて、ご発言されたので、知事の考えかと思って私たちは記事にしたのです。なので、知事の考えはまだ決まっていないということでよろしいのですね。
 三反園:何度も同じことを言って申し訳ないですが,いわゆる、その時には政府の方も原則40年という形になっていたわけですから、「政府の方も原則40年という形ではないでしょうか」ということをお答えしましたよね。ですよね。

 記者:はい今も原則40年ですよ。
 三反園政府の方も原則40年であって、もしそれが方針が変わったのであれば、どうしてそのように変わったのかということを聞いた上で、また新たな判断するのであればしたいということを言っているわけですから。

 記者:では、まだ判断は決めていないというように受け取ります。
 三反園:まあそれは、私はちょっと違いますが。

 記者:ではどう違うのですか。
 三反園:その時に、政府の方も原則40年という言い方をしたので原則40年だということではないでしょうかとお答えしたわけです。それから変わっていないわけじゃないですか。

 記者:はい。
 三反園:ですよ。

 記者:なので、今、考えはない、まだ判断は決まっていないということ。
 三反園:だから、それが変わっていないということじゃないですか、その時に。もし、政府の方が変わったのであれば、その政府の方の意見を聞いた上で、新たな判断をする必要があれば新たな判断をしたいということを言っているわけです。

 一読して分かる通り、議論はまったくかみ合っていない。自然再生エネルギーの推進は、時代の流れ。質問した記者が言っているように、伊藤祐一郎前知事が力を入れていたのは事実で、原発推進の政府でさえ自然再生エネルギーを否定していない。三反園氏のズルいところは、知事選で同氏が見せた「廃炉」や「脱原発」、「原発稼動40年の原則」」への姿勢について語らず、自然再生エネルギーを前面に出して論点のすり替えを行っているところだ。

 記者は、三反園氏が選挙時に県民に示した「廃炉」「脱原発」「原発稼動40年の原則」」を今後どう扱っていくかを聞いているのであって、自然再生エネルギーへの取り組みについて聞いているのではない。しかし三反園氏は、自分の言葉で語ろうとせず、『政府の方も原則40年』を連発。このやり取りの中で14回も繰り返していた。これは、BPO発言を巡る質疑で「現状の報道をもってBPOに訴えるということはない」を繰り返した手法と同じ。聞かれたことにきちんと答えないのは、都合の悪い真実を隠そうとする姿勢の表れなのだ。

 三反園氏がどう言い訳しようと、知事選で彼が「脱原発」を匂わせる言動を見せたのは確か。その象徴が、反原発派との「政策合意」だったが、この後の質疑で知事は、この政策合意について、驚くべき発言を行っていた。

(つづく)



【関連記事】
ワンショット
 47年前と変わらぬ雄々しい姿が、そこにあった。太陽の塔。...
過去のワンショットはこちら▼
記事へのご意見はこちら
記事へのご意見はこちら
調査報道サイト ハンター
ページの一番上に戻る▲