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山笠台上がりで注目される高島福岡市長の去就

2017年7月19日 09:50

1-中洲流2.png 今月15日の[追い山]でクライマックスを迎えた博多祇園山笠。地元政界で注目を集めたのは、山笠期間中、唯一舁き山が博多部を超えて福岡中心部に渡る13日の「集団山見せ」だった。
 一番山笠「中洲流」で台上がりしたのは、高島宗一郎福岡市長と麻生太郎副総理。同流の総務を務めた井上貴博衆院議員も台上がりしたため、麻生氏に近い政治家3人が揃って顔見世興行する形となった。
 この光景を興味深く眺めていたのは、福岡市議会の関係者。来年の市長選を睨んで、ある噂が浮かんでは消える状況となっているからだ。(写真は、福岡市の動画サイトより)

■山笠の政治利用
 台上がりとは、「鉄砲」と呼ばれる筒状の棒を持って山笠の前後にある台の上に座り、舁き手の指揮を取ること。集団山見せでは、前部の台に地元政財界などの知名士と流れの総務、合わせて3人が台上がりすることになっており、歴代市長は一番山笠で台上がりするのが恒例だ。

 ちなみに、平成25年度は市長と福岡市議会議長、26年度が副市長と議長(この年は、高島市長の身内に不幸があったため、副市長が代理)、平成27年度は市長と小川洋福岡県知事、28年度が高島市長と市議会議長という組み合わせで台上がりしていた。

 それが今年は市長と麻生副総理。元総理の大物とはいえ、麻生氏は筑豊地区である福岡8区を地盤とする政治家で福岡市とはなじみが薄く、「なんで麻生さんなの?」という声も。さらに、麻生・高島・井上という台上りメンバー3人の顔ぶれには、「山笠の政治利用だ」と冷ややかな目を向ける関係者もいた。たしかに、この3人の顔ぶれは政治色が強すぎる。

 今年、一番山笠中洲流の総務は麻生派(志公会)所属の井上議員。台上には、井上氏を挟んで右に市長、左に麻生氏が陣取る形だった。周知の通り、麻生氏は高島市長の後ろ盾。高島氏は麻生派の井上議員と昵懇の仲だ。平成26年の総選挙では分裂選挙となった福岡1区で、市長が自民党市議団の制止を無視して井上貴氏を支援。顔をつぶされた形の市議団と市長の関係は、それ以来修復されていない。

 今年の市議会では、福岡空港ターミナルビルを運営す新事業者への出資問題をめぐり、“出資しない”とする市長と、“出資すべき”と主張する自民党市議団が激しく対立。先ず市議団側が、出資しないことを前提とした執行部の条例案を否決し出資を促す自民の条例案を可決させたが、市長は3分の2の賛成を必要とする「再議」を提起。いったん可決された自民の条例案を否決するという事態となった。

 市民不在のドタバタ劇だったが、市長と自民党市議団の関係は冷え切り、「来年の市長選で、自民党市議団として高島を推すことはない」(自民党市議)という状況になっている。前述したように、対立のきっかけとなったのは井上氏の選挙。自民市議団にとってその親分である麻生氏と高島市長、井上氏が並んで台上がりとくれば、「不愉快極まりない」(前出の自民党市議)となるのは当然だろう。市長と井上氏を巡っては、きな臭い話もある。

■噂される市長の衆院転出
 今年に入って、消えては浮かぶ噂がある。高島氏が来年の市長選出馬を見送り、衆院に転出。福岡1区から自民党公認で立候補し、福岡1区の現職である井上氏が市長選に回るというのだ。「井上が出ても市議団は誰一人応援しないよ」(自民党関係者)と一笑に付されることが大半なのに、なぜかすぐに復活するこの話――。しばらく聞かれぬ与太話だったが、先日の山笠台上がりで「ひょっとすると」(県政界関係者)と感じた人もいたのだという。

 ある市議会関係者はこう話す。
「高島であれ、井上であれ、自民党市議団がこぞって市長候補に推すということは絶対にない。山笠の台上がりは、中洲流の総務だった井上の仕掛けだろう。安倍総理にくっついた高島を、麻生さんサイドが面白くないと感じているのは事実。ここらで、高島-麻生の関係を良好に保っておこうとうことだったのではないか。政治資金疑惑や暴言で評判が悪くなった井上にとって、次の選挙は苦戦必至。3人の関係を何としても守りたいと思うのは当然のことで、政治利用と言われようが、山笠という絶好の機会を逃すはずがない」

 安倍内閣の支持率が20%台という危険水域に入ったいま、政権の目玉施策である国家戦略特区にうつつを抜かしてきた高島市長の足元がぐらつき始めたのは確か。自民市議団を敵に回したことも大きなマイナスになるのが確実で、再選戦略に狂いが生じた状況だ。衆院転出があるのか、ないのか――。来年にかけて、高島氏の動きから目が離せなくなってきた。



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