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福岡市長 政治資金荒稼ぎの背景(上)

2016年3月28日 09:35

高島市長 福岡市の高島宗一郎市長(写真)が年頭に掲げたキャッチコピーは「圧倒的福岡時代」。一体何が圧倒的なのか未だに理解できないが、安倍首相や麻生太郎副総理を後ろ盾に、戦略特区や観光といった外向けの施策に全力をあげる構えだ。
 その高島市長、活動資金稼ぎにも余念がなく、28日には福岡市内のホテルで大規模な政治資金パーティーを開く予定。案内文書を入手してみたところ、市民の暮らし向きには見向きもしない高島市政の実相が浮き彫りとなった。

市長の視線は「市外」、眼中にない「市民」
 入手した案内文書はパーティー券一体型。封筒に入った三つ折りのパンフ状で、内側には発起人の挨拶と市長の活躍ぶりを示す4点の写真が掲載されている。まず注目したのは写真だ。

パンフレット

 4コマとも、外国との交流実績を示すもの。市民とのふれ合いや、市民の暮らしに関係した場面は1枚もない。高島氏の視線の先にあるのは、海外を含めた「市外」。そうでない場合は、失敗に終わった1期目の仮想行政区「カワイイ区」に代表される派手な施策ばかりに目を向けており、「高島市長に地に足の着いた市政を求めるのは無理」(福岡市幹部OB)というのが現状だ。

「市長の話」に対価1万円 飲食抜きで荒稼ぎ 
 戦略特区や観光、起業支援といった施策は、市外から来る人にとっては魅力。芸能人を使ったりと派手なパフォーマンスも注目だけは集める。しかし、福岡市民の暮らしが良くなるかというと、現状は厳しい。市長の視線は常に「市外」。定例会見で語りかける相手は、市に飼いならされた記者クラブ所属の記者。市民に向かって語りかけるという姿など、見た覚えがない。市長の詳しい施政方針は、「1万円」を支払わなければ聞くことができないのだ。

 下は、市長が28日に開催する政治資金パーティーのパー券。会費は1万円となっている(赤いアンダーラインはHUNTER編集部)。

パーティー券

 なんと「飲食」はなし。「市長の話」への対価が、1万円ということだ。“カネ集め”だと割り切れるのは市と利害関係を有する業界団体の方々だけ。一般市民が、1万円出して市長の話を聞きに行くとは思えない。あまりのケチぶりに、納得しているはずの業界関係者からも、ぼやきが聞こえて来る。
 ―― 市長のパーティーがある度に、割り当てが来るんですよ。5枚とか10枚単位で、年2回でしょうか。いい加減にしてくれと言いたいが、市長に近い企業からの話ですから、断ることもできない。大体、市長の話を聞くだけなら、市長が会場を借りて自腹で市政報告をやるのが筋。カネとって『話を聞かせてやる』なんて、若い政治家のやることじゃない。(福岡市内の建設業者の話)

 つい最近、知り合いからパーティー券の購入を頼まれたという会社役員は、もっと手厳しい。
 ―― 市長の話を聞くのに1万円。食事もなし。これは、ぼったくりですね。買わされたから、(パーティーに)参加はしますが、どうせ自慢話と戦略特区。子育て支援や私たちの老後についての話など、出てくるはずがない。

 たしかに、市長の政治資金パーティーは、ぼったくりと言われてもおかしくない稼ぎ方をしている。下は、市長の資金管理団体「アジアリーダー都市研究会」が福岡県選挙管理委員会に提出した平成26年分政治資金収支報告書の一部。同団体が開催した政治資金パーティーの収入と、1,000万円以上を集めたパーティーの支出を抜粋した。

パーティー収支2-2.jpg

 1,000万円以上を集めた政治資金パーティーは2回。『市政報告会 福岡未来設計図』だけで計5,426万円を集めていた。これに対し、会場費などのパーティー開催経費は、それぞれ約374万円と約419万円で計約793万円。売上の9割近くを残す形で、荒稼ぎしているのが実情だ。就任以来、市長の政治資金パーティーは大半がこの形式。「ぼったくり」との批判にも、うなずける。

 市民感覚とは程遠いカネ集めの手法。背景にあるのは、一部の人間にしか利益をもたらさない歪んだ市政だ。次稿で、市民を欺く高島市政の実態を検証する。



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