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暴走する福岡市長 ― 米国出張に1,100万円
暴言議員選挙支援で中止の出張を強行

2015年8月19日 09:35

高島市長、井上議員 “類は友を呼ぶ”というが、税金の私物化という点において、確かにこの二人の政治家には通底するところがある。
 税金を原資とする政党交付金1,300万円の使途を巡り、疑惑が発覚して雲隠れしているのは自民党の井上貴博代議士。言論封殺発言の勇ましさとは相容れぬ姑息な姿勢だ。
 一方、その井上氏の総選挙応援のため、公務である米国出張を取り止めて市に損害を与えたのが高島宗一郎福岡市長。こちらも、税金私物化への反省はなし。盟友の危機を“他山の石”にすべきだったが、暴走は止まらず、問題の米国出張をグレードアップして実施していたことが明らかとなった。

選挙支援で出張取り止め――キャンセル料は市民負担
 昨年12月の総選挙、高島市長は、自民党市議団の制止を振り切って精力的に井上氏の選挙運動を行った。特定候補の支援に走ったことで、いまだに市議団との確執が続いているが、この時に中止したのが米国への公務出張である。

 出張は福岡市の国家戦略特区絡み。11月30日に福岡を発ちシアトル経由でサンフランシスコ入り。同地で米国政府関係者やベンチャー企業経営者との意見交換に臨むほか、福岡市のPRなどを行い、6日に帰福する予定となっていた。ところが、総選挙のスケジュールが示された後、突然中止に――。市関係者によると、福岡1区から立候補した井上氏の選挙支援を優先した結果だったとされる。公私の区別をわきまえぬ高島氏の姿勢に、批判の声が上がったのは言うまでもない。

 もともとこの出張計画は、11月に行われた福岡市長選の結果を度外視した異例なもの。市長選直前に計画され、落選してもいいように、帰福日を1期目の任期ギリギリに設定していた。非常識な日程を組んだあげく、親しい代議士の選挙運動のため一方的に出張を中止。その尻拭いを市民に押し付ける形となっていることもわかっている。

 下は、中止された米国出張の旅費予定額と、キャンセルにともなって発生した損害金額をまとめたものだ。

<米国出張1

 1週間の出張に、なんと約700万円の予算。キャンセル料も膨大で、170万円に上っていた。友人の選挙のため、市民の税金をどぶに捨てた格好だが、市長が反省していなかったのは明らか。半年経ってほとぼりが冷めたと考えたのか、今年6月になって念願の米国出張を実施していた。

今度の予算は1,100万円超
 市への情報公開請求で入手した出張関連文書によれば、実施された出張は6月8日から19日までの12日間の日程。やはり戦略特区絡みで、市長が好きだというシアトルに加え、ニューヨークやポートランドなどでのスケジュールも入っていた。下が今回の米国出張に関する経費の一覧だ。

米国出~1.JPG

 出張にかかった公費の総額は、昨年中止した出張の約1.6倍。随行職員の旅費や無駄な業務委託などを合わせ、1,100万円を超える金額となっていた。詳細については次稿で述べるが、異例と言われた昨年の高額予算をさらに膨らませ、旅行の内容をグレードアップさせた形。高島市長は、特区絡みなら何でも許されると思っているらしい。

 前述した通り、昨年は仲の良い井上代議士の選挙応援のため計画を中止して170万円のキャンセル料。今回分を合わせると米国出張関連経費は1,300万円近くになる。市民の暮らし向きには興味を示さず、自らの主張に湯水の如く税金をつぎ込む高島流市政運営の象徴と言えそうだが、税金を払っているのは市民。「いい加減にしろ」と言いたくもなる。

 暴言代議士に、暴走市長――ともに「公人失格」であることは疑う余地がない。



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