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「圧倒的に軽薄」 ― 福岡市政の現状

2016年1月 7日 09:25

高島宗一郎市長 福岡市の高島宗一郎市長が、年頭に掲げた今年の抱負は「圧倒的福岡時代を創る」。一体全体何を圧倒するのかさっぱり意味が分からないが、市民の暮らしが“圧倒的”に良くなるという話ではなさそうだ。
 国家戦略特区や観光、ITといった派手な施策に力を入れ、パフォーマンスに明け暮れてきた市長。市関係者の話によれば、こだわりを見せるのは脚光を浴びることだけで、足もとの市民の暮らしには、まったく興味を示さないのだという。
 市政の現状を検証してみると……。

“市役所にいない”市長
 歴代市長の中で、これほど市役所を不在にする市長はいなかったはずだ。平成22年の初当選以来、出張に次ぐ出張。市の職員が「なかなかお会いする機会がありません」とぼやくほどで、市役所どころか福岡市内にとどまっている時間自体が少ないのだという。

 下は、市への情報公開請求で入手した、市長の昨年9月から11月までの出張命令書をもとに、旅行記録をまとめた表だ。

H27年 旅行命令書

 3カ月の間に10回の出張。90日間のうち計36日は市外に出ていたことになる。在福期間中には市議会が開催されており、他の公務も多数。これでは市民の暮らし向きに目が届くはずがない。昨日報じたように、ラグビーワールドカップの視察に出向いたイギリスでは、レセプション会場で小川洋福岡県知事や同行県議団を尻目に、自身のスマホに熱中し顰蹙を買っていたというのだから、何をかいわんや。旅費総額406万1,208円に見合った出張だったのかどうか、怪しいものだ。高島氏は、地に足がついていない。

待機児童ゼロ宣言から約2年 未入所児は2倍の2,300人超 
 さて、市長が掲げた「圧倒的福岡時代」。福岡一極集中を助長する考え方には不同意であり、なにより意味不明の言葉で市民を欺くような市政運営には、うんざりだ。この若い市長は一時的な人気取りに走る傾向が強く、責任感というものが欠如しているからである。

 一昨年4月、市長は「待機児童ゼロ」を誇らしげに宣言した。大々的に取り上げられ、全国ニュースにもなったが、その後どうなったのかについては、わずかに報じられただけ。福岡市や大手メディアは、現状を詳しく伝えていない。下は、当時の地元紙の第2社会面の紙面だが、待機児童が解消されて市の対策が「奏功」したのはほんの数日間だけ。待機児童は、増え続ける一方となっている。

福岡市の待機児童ゼロ

 そもそも、高島氏の「待機児童ゼロ宣言」の時点で、待機児童にカウントされない「未入所」の児童数が1,100人超。保育環境が改善されたとは言い切れない状況だったのである。

 役所が言う「待機児童」とは、保育所への入所を望みながら定員等の関係で入所がかなわない子どもの総数(未入所数)ではなく、未入所総数から特定の保育所だけへの入所を待つ子どもの数を差し引いたもの。分かりやすく言えば、“どこでもいいから入所させたい”というケースだけを「待機児童」と呼んでいるのである。

 例えば、平成23年度は未入所児童が1,490人いたのに「待機児童」は727人。24年度は1,746人が未入所だったのに「待機児童」は893人と公表されていた。市が公表している待機児童数の約2倍が、希望する保育所入所を断られているというのが現実。そして現在、子育て環境は、確実に悪化している。

 福岡市側に確認したところ、昨年12月の時点で待機児童は339人未入所児は2,360人に上っているのだという。1年9カ月の間に、待機児童ゼロは過去の話となり、未入所児童は2倍以上に増えていたというわけだ。高島氏の待機児童ゼロ宣言が、同年12月の市長選を睨んだ“まやかし”だったことは明らか。増え続ける「未入所」が、そのことを証明している。

市民は二の次「軽薄市政」
 高島市政になって、高齢者向けの施策が充実してきたという話も、市民の暮らしが良くなったという話も聞いたことがない。打ち出す施策は、観光振興を中心として、ほとんどが外からやってくる人たちに向けられたもの。ビジネスに関しても、ベンチャーや外国人への優遇策ばかりで、地場経済を支えてきた中小・零細企業は何の恩恵も受けていないのが実情だろう。

 高島氏は「アジアのリーダー」だの「元気なふくおか」だのと叫んできたが、福岡市は、3代前の桑原敬一元市長の時代から「日本一元気な街」と言われてきており、いまさら「圧倒的福岡時代」でもあるまい。2代前の山崎広太郎元市長は、自治協議会制度を創設し、住民自治の促進を図った。いずれの市長も、視線の先にあったのは市民の暮らし。そのことは、多くの市関係者が認めるところだ。歴代と比べ、高島市政を“圧倒的に軽薄”と見ているのは、決して記者だけではない。



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