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消えた1300万円 言論封殺の自民・井上貴博議員に疑惑発覚
原資は税金 初当選時の政党交付金が使途不明

2015年7月 2日 00:05

井上氏の事務所 安倍晋三首相に近い自民党若手が開いた勉強会「文化芸術懇話会」で、「「マスコミを叩くには、広告料収入と、テレビの提供スポンサーにならないこと。日本全体でやらないといけない。一番こたえるだろう」」などと報道を封殺する発言をしていた井上貴博衆議院議員(福岡1区。当選2回)に、政治とカネの問題が浮上した。
 平成24年12月に、同氏が代表を務める自民党支部から井上氏本人が受けとった寄付金「1300万円」の行方が分からない状況。支出目的は「選挙関係費」とされているが、この年に行われた衆院選の収支報告には収入としての記載がなく、公職選挙法(虚偽記載)に抵触する可能性がある。
(写真は井上氏の事務所)

井上氏自民支部に政党交付金1,300万円
 福岡県選挙管理委員会に提出された「自由民主党福岡県第一選挙区支部」の政治資金資金収支報告書によれば、平成24年12月10日、自民本部から同支部に1300万円の交付金が支給され、同日、第一支部は井上氏個人に1300万円の全額を寄附していた。支出項目を確認したところ「選挙関係費」。同年12月4日に公示、12月16日に投開票された総選挙のための費用だったとみられる。(下が自民党本部の政治資金収支報告書の該当部分。赤いアンダーラインと矢印はHUNTER編集部)

政治資金収支報告書の該当部分

 公選法は、選挙に関するすべての収入と支出について報告するよう求めており、井上氏が受け取った1300万円は、選挙の収入として「選挙運動費用収支報告書」に記載する義務がある。しかし、井上陣営が県選管に提出した「選挙運動費用収支報告書」(第1回)に記載された井上氏の収入は、同年11月29日付の「自己資金 750万円」のみ。 2回目以降の報告で、146,505円の収入があるものの、これも「自己資金」。党からの交付金1300万円は消えた形となっている。

 第一支部提出の平成25年分政治資金収支報告書及び井上氏の資金管理団体「井上貴博後援会」の平成24年、25年分の政治資金収支報告書を確認したが、問題の1300万円に見合う収入の記載はない。

 公職選挙法の規定によれば、収支報告書を提出しなかったり、虚偽の記載をした場合、出納責任者は3年以下の禁錮又は50万円以下の罰金を科せられることになる。

会計責任者――「指摘は事実、早急に修正」
 1日、井上議員の事務所を訪ね、趣旨を説明して取材の申し入れを行ったところ、夜になって会計責任者から回答。次のように話している。
「会計責任者である自分の責任。ご指摘の通り、党から1300万円の交付金を受け入れ、選挙費用として支出計上しながら、選挙運動費用として報告することを怠っていた。言い訳になるかもしれないが、理解不足だったと反省している。早急に、(遡って)選挙運動費用収支報告書の修正を行う」

 全面的に非を認めてはいるが、会計責任者の説明内容には無理がある。平成24年総選挙における井上氏の総収入は7,646,405円。支出は9,965,525円(2,319,120円はビラ、ポスターなど公費助成分)となっており、差額はゼロ。報告書を修正すれば、1300万円がまるまる残る計算だ。1300万円はどう処理したのか――この点について、会計責任者に訊いたところ「通帳に残して管理してきた」。かなり苦しい言い訳である。

 会計責任者の説明が事実なら、いったん候補者の選挙資金となった1300万円が、選挙終了と同時に余剰金として井上氏個人の懐に残った形。資産報告書の内容も修正を余儀なくされる可能性があるうえ、昨年の総選挙では「自己資金」として850万円の記載があり、そことの整合性にも疑問が残る。実際に井上氏側の説明を証明しようとすれば、管理しているという通帳を公開せざるを得ないはず。できなければ虚偽に虚偽を重ねることになり、消えた1300万円が、重くのしかかる状況だ。

 自民党本部の政治資金収支報告書及び政党交付金使途等報告書で確認したところ、平成24年12月10日に第一支部に支出された1300万円は政党助成金を原資とするもの。つまり、井上氏個人の懐に入った1300万円は国民の税金だ。本来なら、余剰金1300万円全額を、党本部なり第一支部に返すのが筋だった。

 選挙の余剰金を巡っては平成21年、衆院福岡2区で初当選していた民主党の稲富修二氏に、19年の福岡県知事選で民主党から受け取った推薦料4000万円のうち、余剰金1900万円の着服疑惑が発覚。稲富氏側は不透明な説明を繰り返したが、最終的には同党県連へ1900万円全額を返済している。

 報道の自由を否定したことに加え、政治とカネをめぐる疑惑まで噴き出した格好。井上氏に、政治家としての資質が問われているのは言うまでもない。「秘書が、秘書が」だけは勘弁してもらいたいものだが……。



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