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言論封殺発言 福岡の恥・井上貴博議員と高島市長の共通点

2015年6月29日 06:30

100_80712.jpg 先週25日、安倍晋三首相に近い自民党の若手議員らが党本部で開いた勉強会「文化芸術懇話会」で、政府・与党への批判的な報道を封殺するよう求める声が相次ぎ、安全保障関連法案の国会審議にまで影響を与える事態となった。
 勉強会は憲法改正を推進するという“文化芸術”とは程遠い目的で開かれたもの。安保法案への批判が広がる状況に焦りを募らせたのか、講師として招かれた作家の百田尚樹氏や同党議員が、沖縄蔑視や報道の自由を否定する発言を連発した。
 その中の一人が福岡1区の井上貴博衆院議員。高島宗一郎福岡市長との密接な関係で知られる人物だが、類は友を呼ぶ。両人の報道機関に対する考え方には、共通点があった。

無知露呈 ― ベストセラー作家の沖縄蔑視
 問題の勉強会。集団的自衛権の行使容認に賛成だという百田氏は、沖縄の地元紙が政府に批判的だとの意見が出たのに対し、「沖縄の2つの新聞はつぶさなあかん」と発言。さらに、「あってはいけないことだが、沖縄のどこかの島が中国に取られれば目を覚ますはずだ」と持論を展開した。

 百田氏の沖縄蔑視は病的。世界一危険とされる米軍普天間飛行場の周辺状況については「もともと田んぼの中にあり、周りは何もなかった。基地の周りに行けば商売になると、みんな何十年もかかって基地の周りに住んで、40年経って街の真ん中に基地がある。そこを選んだのは誰やねん。地主は大金持ちで六本木ヒルズに住んでいる」――沖縄戦当時、米軍が飛行場用地を勝手に接収したことや、強制的に土地を割り振られ、基地周辺で暮らすことを余儀なくされた住民側の事情をご存知なかったらしい。ほとんど“でっち上げ”。想像力だけは人一倍だが、明らかに歪んでおり、彼の著作が色あせる状況だ。

 無知とは怖いもの。米兵による性的被害が多発してきたことについて百田氏は「沖縄の全米兵が起こすレイプより、沖縄人のレイプの方がはるかに率が高い」――米兵の分だけ被害が増えることに気付いていないだけでなく、日本人の犯罪がきちんと裁かれる一方、米兵は基地に守られ、多くの沖縄県民が歯噛みしてきたという歴史もまったく理解できていない。実情を無視した差別的発言。ついこの間まで、「安倍さまのNHK」で経営委員を務めていただけのことはある。永遠にゼロなのは、百田氏の民主主義への理解度。NHKのニュースから、沖縄に関する報道が減ったのもうなずける。

聞いて呆れる自由と民主 
 一方、勉強会に参加した自民党議員たちの程度は、百田氏と同じかそれ以下。ある議員は、安保法案に否定的な報道をとらえ「マスコミをこらしめるには広告料収入をなくせばいい。文化人が経団連に働き掛けてほしい」――持ち上げたつもりなのか、百田氏を文化人とでも思い込んでいるようだ。とんでもない勘違い。百田氏のこれまでの言動を見る限り、戦争を美化する作品が、たまたま当たっただけの右翼作家。レベルの低さは前述の通りである。

 公告収入ストップ論に同調したのが、井上貴博衆院議員。こう発言したという。
マスコミを叩くには、広告料収入と、テレビの提供スポンサーにならないこと。日本全体でやらないといけない。一番こたえるだろう
 発言は事実だったらしく、井上議員は26日、「誤解を招いたとすれば申し訳ない。報道を規制するとか、企業に圧力をかける考えはない」とのコメントを発表している。が、言い訳にしてはお粗末。発言の前提に「私も福岡の青年会議所時代にマスコミ叩いた」と明言しており、“考えはない”どころか、言論封殺の実践者だったことを認めた形。青年会議所が自民党の応援団であることは存じ上げていたが、これほど下劣な集団であるとは知らなかった。

 それにしても、自由主義経済と民主主義を標榜する政党の勉強会とは思えぬ暴論の数々。戦前、軍部に追従して国を敗戦に導いた政治家たちを彷彿とさせる言動である。まさに“新たなる戦前”。安倍晋三の唱える「美しい国」の正体が、ハッキリと見えてくる。

井上・高島=カネと力でマスコミ操縦
10256656_309367995935486_7588753873049166390_o.jpg ところで、渦中の井上代議士。麻生派所属で当選2回。福岡1区の選出である。昨年の総選挙では、比例区元職との公認調整がもつれ、現職二人が無所属で立候補して決着をつける事態に……。激戦を勝ち抜いた井上氏だったが、選挙中、最大の支援者となったのが、福岡市の高島宗一郎市長だった。(右の写真は、衆院選での井上氏と高島市長。井上氏のFacebookより))

 公務の米国出張を取り止めたうえ、井上氏の遊説に同行するという熱の入れよう。特定候補への肩入れが、自民党福岡市議団との軋轢を呼び、いまだに関係修復もままならない状況となっている。市民や市議団を捨てて友人の選挙応援に走った形。親分である麻生財務相からの依頼があったと見られているが、立場をわきまえぬ愚かな行為。公人失格であることは言うまでもない。井上氏といい、高島氏といいい、自分の立場が分かっていない。

 政権を後ろ盾にした高島氏の独裁が続く福岡市では、すでに「広告費」を使ったマスコミのコントロールが現実のものとなっている。高島氏の市長就任後、市が記者クラブ加盟社に支出する広報・宣伝費が4,000万円台から最高で9,000万円台にまで急増。その過程で、市長が「広告を出しておけば、(報道を)抑えることができる。民間だってやってるでしょう」などと発言していたことがHUNTERの調べで分かっている。市長はその後も同様の発言を繰り返しており、「報道はコントロールできる」と自信を示しているともいう。広告費のご利益はたしかで、高島市政を追及する大手メディアの調査報道はここ数年皆無。連日、大本営発表ばかりが垂れ流される現状だ。

 カネと力で言論封殺――共通の考え方を持つ井上代議士と高島市長が、「福岡の恥」であることは疑う余地がない。



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