先月、昨年11月の福岡市長選挙で2期目の当選を果たした高島宗一郎市長(写真)の陣営に、市発注業務を請負っている複数の地場企業幹部が「選対」の一員として組み込まれ、選挙戦の手伝いをしていたことを報じた。
そのうちの1社は九州電力グループに属する電気設備工事会社「九電工」だったが、新たに福岡市内の警備会社幹部が、市長の選挙運動に参加していたことが明らかとなった。
警備会社と高島市政の関係は――。
高島市政下で受注額急増
下は、福岡市内に本社を置く警備会社が、市から受注した業務の名称と契約金額を年度ごとにまとめたものだ。(*印の契約は、業務実績に応じた支払い。契約書に記載がなかったため、契約金額を記入していない)
平成18年度から22年度まで、年間1~4件の受注で、合計して数百万円に過ぎなった契約金額が、平成23年度から急増。総契約金額が大幅に増えてしているのがわかる(*印の契約分を加えるとさらに増大)。
【平成23年度】 8件 3,926万3,750円
【平成24年度】 14件 7,339万2,528円
【平成25年度】 7件 1億311万1,751円
【平成26年度】 9件 1億553万5,175円
高島宗一郎氏が福岡市長に就任したのは、平成22年12月。高島市政が本格的に動き出した23年度から、警備会社の受注実績が上昇に転じた形。これだけなら「偶然」「企業努力の賜物」で通りそうな話だが、市長と同社に選挙絡みの関係があるとすれば、話は変わってくる。
市長選に関与
昨年11月の福岡市長選挙。高島陣営が市選管に提出した「選挙運動費用収支報告書」によれば、同陣営は件の警備会社に「出陣式警備」を依頼し96,444円を、また同社の関連企業には「電話架設費」と「備品借上料」としてそれぞれ551,318円、720,360円を支払っていた。いずれも平成22年の選挙の時には無縁だった会社だ。
そして下は、HUNTERが入手した市長陣営の内部文書。昨年の市長選出陣式の折、それぞれの選対メンバーが何をやるか、分担を示した図の一部だ(赤い囲みはHUNTER編集部)。
赤く囲んだところは、遊説部門の流れ。「遊説」の四角のなかに、責任者と思われる人物の名字と携帯番号、「先導車」の囲みにも同じ名字と携帯番号が記されていた。この人物が、市長の遊説にあたって選挙カーを誘導する車に乗っていたのは確実だ。選対関係者の証言によれば、この人物こそ高島市政下で業績を伸ばしてきた警備会社の幹部。選挙運動の手伝いは、市長側への寄附にあたる可能性もある。
公職選挙法は、寄附を行った当該企業が地方自治体との間に請負その他特別の利益を伴う契約者で、なおかつ契約期間が終了していない場合は、「寄附をすることができない」と規定。寄附をした側はもちろん、受け取った側にも罰則を設けている。市長陣営と警備会社の間に「癒着」はなかったのか――厳しく問われるべき事態だ。