高島宗一郎福岡市長の思い付きで始まったネット上の仮想行政区「カワイイ区」が、今年3月までで廃止された。初代区長にAKB48の篠田麻里子氏を起用し、2012年8月から続いたこの事業。2年半で約3,300万円の予算を費消しながら、地域社会と市民に恩恵をもたらしたわけではない。市側は「一定の成果を得た」と強弁しているが、事業としては明らかな失敗である。
派手なことなら何でもOK、「費用対効果」を考えないのが高島流で、もちろん反省の弁は皆無。それどころか、カワイイ区を上回る無駄な事業を連発していることが明らかとなった。
(右は福岡市ホームページのトップ画面)
二つのサイトに年間2,000万円
下は、福岡市のホームページ上から入ることのできる二つのシティプロモーションサイト。「Fukuoka Facts(フクオカ ファクツ」と「# Fukuoka (ハッシュ フクオカ)」の画面である。
「Fukuoka Facts 」は、福岡市の様々な統計データをイラスト等で紹介し、市の優位性や特徴を示すことを目的として2013年11月に立ち上げられたサイト。「# Fukuoka」は昨年8月、クリエイティブ人材を福岡に集めるため、映像、アニメ、ゲームなどのデジタルコンテンツを中心としたクリエイティブに関する情報を発信するため新設されたサイトなのだという。
両サイトは市の業務委託を受けた民間企業が制作・運営しており、それぞれの業務委託件名は次のようになっている。
・Fukuoka Facts ⇒ 「福岡市シティプロモーションサイト運用・保守管理業務委託」
・# Fukuoka ⇒ 「クリエイティブ人材集積促進事業と連携した広報業務委託」
2014年度の契約金額は、Fukuoka Factsに関する業務委託が567万9,180円(2013年度は470万4,000円)。# Fukuokaが1,492万1,280円だ。前者は、福岡市内のウエブデザイン制作会社が、後者は大手広告代理店「博報堂」が受注していた。
カワイイ区運営にあたっての予算が、年間約1,000万円だったのに対し、Fukuoka Factsと # Fukuokaの二つのサイトに投じられるのは約2,000万。相当力を入れた事業なのかと思いきや、認知度はいまひとつ。市民はもちろん、市関係者でも両サイトの存在を知る人は少ない。
まず、市のホームページから両サイトを探すのが、極めて困難だ。市役所のトップページから、右上の「観光・イベント」をクリック。下へとスクロールしていくと、右の下の方にようやく「データでわかるイイトコ福岡Fukuoka Facts」とある。さらにその下右側に「シティプロモーション」という項目があり、それをクリックすると、# Fukuokaなどのプロモーションサイトが出てくるという面倒な流れだ。ただ画面を眺めているだけでは、たどり着くことはできない。両サイトの存在を知った記者でさえ、市のホームページから見つけだすのに時間がかかるほど。これでは認知度は上がらない。
サイトへのアクセスが少なければ効果は上がらず、またしても無駄な投資ということになる。念のため、市への情報公開請求で、起案から業者選定までの過程、事業の成果などを示す文書を入手したところ、税金の無駄遣いとしか言いようのない運営実態が浮き彫りとなった。