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アクセス数百のサイトに垂れ流される血税
福岡・高島市政 税金むだ遣いの実態(下)

2015年4月 3日 10:10

福岡市webサイト 高島宗一郎福岡市長の思い付きで始まったネット上の仮想行政区「カワイイ区」が、今年3月で廃止された。ようやく無駄な事業に終止符が打たれたと胸をなでおろしていたが、高島流の市政運営はそう易々と変わるものではなかった。
 カワイイ区が忘れ去られていくなか、市のホームページ上には、市民生活とは無縁のページが次々と開設されていたのである。費用対効果を度外視した、サイトの運営実態について検証した。
(右は福岡市ホームページのトップ画面)

認知度の低い「Fukuoka Facts 」「# Fukuoka 」に2,000万円
 福岡市は、シティプロモーションの一環として、2013年11月に「Fukuoka Facts(フクオカ ファクツ) 」を、昨年8月には「# Fukuoka (ハッシュ フクオカ)」というサイトを新たに立ち上げていた。20人ほどの市民に聞いてみたが、誰も知らない。サイトの存在を「まったく知らなかった」という市の職員もいる。カワイイ区と比較すれば、認知度はかなり低い。下が、福岡市のホームページ上から入ることのできる「Fukuoka Facts(フクオカ ファクツ」と「# Fukuoka (ハッシュ フクオカ)」の画面である。

福岡市サイト2 福岡市サイト3

 前者は、福岡市の様々な統計データをイラスト等で紹介し、市の優位性や特徴を示すことを目的として立ち上げられたサイト。後者は、クリエイティブ人材を福岡に集めるため、映像、アニメ、ゲームなどのデジタルコンテンツを中心としたクリエイティブに関する情報を発信するため新設されたサイトなのだという。両サイトの制作・運営は民間企業に業務委託されており、それぞれの契約件名は次のようになっている。

・Fukuoka Facts ⇒ 「福岡市シティプロモーションサイト運用・保守管理業務委託」
・# Fukuoka ⇒ 「クリエイティブ人材集積促進事業と連携した広報業務委託」

 2014年度の契約金額は、Fukuoka Factsに関する業務委託が567万9,180円(2013年度は470万4,000円)。# Fukuokaが1,492万1,280円。それぞれ、福岡市内のウエブデザイン制作会社と、大手広告代理店「博報堂」が受注していた。

費用対効果は度外視
 問題は「費用対効果」。カワイイ区は年間約1,000万円を投じる事業だったが、運営委託を受けた広告代理店「BBDO J WEST」(ビービーディオー・ジェイ・ウェスト)が決められた業務を怠るなどで、話題性も消滅。登録区民数も増えず、一過性の騒ぎに終わっていた。「一定の成果をあげた」とする市側の説明とは程遠い状況。市民にとっては何の価値もない愚行だった。2年半で消えた税金は約3,300万円。費用対効果という観点から採点すれば、「0点」の事業である。

 それでは、Fukuoka Factsと# Fukuokaはどうか――。結論から述べると、両サイトのもたらす効果については、判断の下しようがないというのが実情だ。福岡市をPRするコンテンツは様々。ネット上のものだけとは限らない。もちろん、民間ベースでも福岡市についての情報発信や呼び込みが行われている。二つのサイトのうち、どちらかを見て福岡に来たという確かな証拠でも集めていれば別だが、それはできない相談だ。カワイイ区のように、「区民数」という事業の成果を確認する術もない。つまり、市が立ち上げた二つのサイトは、“出しっぱなし”のコンテンツ。費用対効果は、はじめから度外視されているのである。

驚きのアクセス数
 唯一確認できるとすれば、一日にどれくらいの人がサイトを訪問したかを示す数字。いわゆる「アクセス数」がある。市はサイトの制作・運営を委託するにあたって、仕様書を提示するが、Fukuoka Factsについてだけは、アクセス数などを解析したデータの報告を求めていた。市への情報公開請求で入手したアクセス報告を精査し、月ごとのアクセス数と、日毎に出されたアクセス数のうち月間の最高数と最低数を表にまとめてみた。

FukuokaFacts アクセス数1 .jpg

 月によってかなりの差があるが、昨年4月から今年2月までの11か月間で計314,987件のアクセス。1日の平均にすると943件のアクセスしかない。最低が100~300という日もある。土日や大晦日にネットの閲覧数が減る傾向があるのは確かだが、それを割り引いても致命的な数字である。

 あるウエブデザインの専門家は、次のように話す。
 ――信じられない。600万円という運営費をどうやってはじき出したのか分からないが、費用対効果を問われれば、『大失敗』と診断を下すしかない。民間企業なら、担当者の首が飛んでもおかしくないアクセス数だ。お粗末。カネをかけていない個人のブログで、この何倍も何十倍ものアクセス数を誇るものがゴロゴロしている。これはもう道楽の世界の話。税金を食い物にしているとしか思えない。

 たしかに、専門家氏の言う通り。HUNTERのアクセス数がこの程度だったら、わが社はとうに潰れていたことだろう。Fukuoka Factsのアクセス数は、600万円をかけた結果だと胸を張れるものではない。つまりは税金の無駄遣い。カッコの良さばかりを追い求める高島市政の象徴と言えよう。

利益享受は業者だけ
 一方、アクセス解析のデータさえない# Fukuokaに至っては論外と言うしかない。このサイトの制作・運営にかかる業務委託契約の金額は約1,500万円。契約日は昨年の8月22日となっている。履行期間は今年3月31日までの7か月間。1年にも満たない期間のサイト運営に、カワイイ区以上の税金を垂れ流しているのである。「業務内容」をみても、過剰な投資であることは明らかだ。下は、# Fukuokaの仕様書である。(赤い囲みはHUNTER編集部)

# Fukuoka 仕様書

 サイト立ち上げ時の記事が15本。これは当たり前。あとは週1本の記事で済む。サイトの構築や管理、マスメディアへのPR、関係企業者との連携などにそこそこの費用がかかるのは理解できるが、7か月で1,500万円とは大盤振る舞いもいいところ。博報堂にとっては、笑いが止まらぬ仕事だろう。

 アクセス報告が残るFukuoka Factsにしても、業務内容はそれほど大変なものではない。どこからか福岡市の優位性を示すデータを見つけてきて、週1本の記事を更新するというもの。実務としては、費用のかかる仕事ではない。日本語と英語の2か国語で制作するようになっているが、前述したアクセス報告による海外からのアクセスは月に数百程度。ほとんどが国内ユーザーとなっている。昨日報じた通り、市のホームページからFukuoka Factsと# Fukuokaのサイトを探すのは極めて困難。市民も知らないようなサイトに、年間2,000万円もの税金がつぎ込まれる現状は“異常”と言うしかあるまい。

 二つのサイトによって利益を享受しているのは、市の業務を受注した業者だけ。高島市政は、市民の暮らしに関係のない事業に血税を垂れ流している。



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