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福岡市出張命令改ざん疑惑 市長選直前こっそり幕引き

2015年2月 5日 08:20

高島市長選 改ざんの疑いが浮上していた高島宗一郎福岡市長の旅行命令書が、市長選間近の昨年10月24日に最終決済され、追加分の旅費51,570円が高島氏に支払われていたことがわかった。
 当初の旅行命令書を書き変えること3回。追加の旅費額を二転三転させたあげく、議会や報道のチェックが緩む市長選直前になって、こっそり幕引きを図った形だ。
 決済時に作成された事案の経緯を記した文書からは、すべてを職員のミスで済まそうとする高島市長の姑息な姿勢が浮き彫りとなった。

タクシーチケット流用報道受け暴走
 命令書改ざん疑惑の発端は、市長のタクシーチケット利用に関する昨年9月2日のHUNTERの報道。同年2月24日、市長は羽田から都内港区虎ノ門までタクシーを利用。チケットで9,050円の支払いを済ませていたが、旅行命令書によれば、この日市長は公務とは関係ない私的な前泊だったことが明記されていたため、私的流用だとして批判していた。

 ところが福岡市は、タクシーチケット私的流用の記事が配信された2日になって、とんでもない暴走をはじめる。HUNTERに対し、いったん開示した旅行命令書を書き変えていたとして、新たな命令書のコピーを提示したのである。当初の命令書に手書きで『東京都千代田区』や『2/24 』などと加筆・修正し、24日が「公用前泊」の形になるよう仕立てていた。この段階での旅費の追給額は「62,670円」だった。

 こうなると暴走は止まらない。今度はその翌日、さらに書き換変えられた命令書が示される。前日までの精算金額に赤い二重線が引かれ、そこには新たな金額「51,570円」が……。福岡市は、7月10日に書き変えた旅行命令書のコピーをHUNTERに渡した直後、さらに加筆・修正。精算日は7月10日のまま、再精算額を145,140円から134,040円に、追給額を62,570円から51,570円へと変更したのである。改ざんの疑いがある文書に、さらなる加工が施された形。疑惑が浮上するなかでの「再々精算」だった。隠ぺい、ごまかし、嘘、改ざん……。ここ数年、市長がらみの疑惑が浮上した時のお決まりのパターンだったが、あまりの杜撰さに、市議会でも追及を受けていた。

市長選直前に最終決済
 その後、市内部での協議などを理由に、最終的な追給分の支給が滞った状態となっていたが、1月になって市に改めて情報公開請求を行ったところ、昨年10月24日に追給のための決済が行われていたことが明らかとなった。これに伴い、問題の旅行命令も完結したことになる。下は、旅行命令書の書き変え過程。問題が大きくなるたびに、加筆・修正が増えていた。

偽造書類2矢印偽造書類3
矢印
改ざん-5.jpg矢印
命令書最新

 そして下は、追給決済の折に所管課である総務企画局企画課が提出した、今回の事務処理に関する経緯を述べた文書だ。

旅費 旅費2.jpg

 要約すると、こうなる。

  • 特区関連の用務のため、2月25日から27日にかけての東京出張を計画した。
  • 旅行命令書の作成は2月24日。
  • 同日午後、25日の公務予定が想定されたため、総務企画局長が24日の宿泊を「公務」へと変更した。
  • この折、口頭による命令変更を行ったが、特区担当から経理担当への連絡ミスで、命令書への記載ができなかった。
  • 帰福後の28日、市長が精算印を捺したが、変更未記載を見落とした
  • 押印後、秘書課が変更未記載に気付き、企画調整部の係長に訂正を依頼したが、同係長がその旨を失念した
  • 3月25日、市長に当初命令通りの82,470円を支給。
  • 7月上旬になって経理担当係長が旅行命令の変更が未記載になっていることに気付き、7月10日に書き変えを行った。
  • この際、係長が命令変更後の旅費額を復路と同額と思い込み、根拠のない金額を記入、市長も確認を怠り命令書に押印した。
  • その後、領収書を確認したところ、旅費の金額が間違いであることが分かり、最終的な書き変えを行った。

 太字で示してみたが、よくもまあ、これだけ都合のいいミスが続いたものである。通常の福岡市なら、起こり得ないことばかりだ。確認を怠った市長の責任を認めてはいるものの、一番悪いのは職員だったという筋書き。連絡ミス、失念、思い込み……。<猿芝居もたいがいにしろ>と言いたくなるが、これでタクシーチケットの私的流用はなかったことに――。さらに、命令書の改ざん疑惑も幕引きの形となった。

 命令書の最終決済は10月24日だ。11月2日の福岡市長選告示を1週間後に控え、議会も報道も臨戦態勢を敷いた時期である。まさにどさくさ紛れ。監視の目がそれている間に懸案事項を片付け、疑惑に蓋をしたとしか思えない。もちろん、最終決済は高島氏自身が行ったものだ。



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