記者クラブの不作為で、失政が市民に知られることなく2期目を迎えた高島宗一郎福岡市長。昨年11月の市長選で25万票という支持を得たことで、傲慢ぶりに拍車がかかったともいわれている。
一方、デタラメ市長の言動に振り回され、モチベーションが下がりっ放しなのは市職員。市長からミカンに例えられたあげく、尻拭いばかりとあっては泣くに泣けない。高島市政下、綱紀粛正が叫ばれてきたが、職員不祥事は増加傾向にあることが分かった。
(写真は福岡市役所)
不祥事は減らず
市職員が不祥事を起こすと、相応の処分を受けることになる。その場合下されるのは、事情に応じて「懲戒処分」か「服務上の措置」。前者は地方公務員法に規定されたもので、戒告、減給、停職、免職など。後者は内規による軽いお咎めといったところで、口頭訓告、文書訓告、厳重注意などがある。
高島氏の市長就任は平成22年12月。そこで、高島カラーが打ち出さるようになった平成23年度から昨年度までの、懲戒処分と服務上の措置の件数をまとめた。
懲戒処分
平成23年度17件 ⇒ 24年度15件 ⇒ 25年度27件服務上の措置
平成23年度64件 ⇒ 24年度55件 ⇒ 25年度74件
高島市長の就任後、飲酒絡みの事件・事故が多発。市長は、事あるごとに綱紀粛正を明言してきた。飲酒のあげく刑事事件を引き起こした職員を「腐ったミカン」と切って捨て、前代未聞の「禁酒令」まで出して物議を醸したことも。しかし、上の表で明らかな通り、懲戒件数も、服務上の措置も平成25年度になって増えている。
とくに、市長部局で服務上の措置が増加傾向にある場合は、福岡市に黄信号が点滅していると見るべきだ。一発懲戒にあたる事案ではない場合、はじめは服務上の措置となり、再び不祥事を起こせば懲戒という具合に段階的に重い対応となる。服務上の措置を下される職員は、懲戒予備軍といっても過言ではないのだ。懲戒や服務上の措置の対象には、不祥事を起こした職員だけでなく、管理・監督責任を問われる上司も入るが、懲戒予備軍が増えていることは事実。市役所の内部崩壊が進んでいる証しともとれる。
民間なら即クビの事例も
ここで、市職員が起こした不祥事にはどのようなものがあったのか――懲戒処分や服務上の措置の対象となった事案の内容について、主なものを抜き出してみた。なお、別稿で報じる予定があるため、教員の体罰事案は除いている。
懲戒処分
【H23年度】
【H24年度】
【H25年度】
服務上の措置
【H23年度】
【H24年度】
【H25年度】
暴行やわいせつ行為で懲戒処分を受けた職員がいる一方、同じようなことをやって服務上の措置で済まされたケースが散見される。民間企業なら即クビを言い渡されてもかしくない事例だ。前述したように、不祥事案の1回目は服務上の措置、再び不祥事を起こせば懲戒という公務員に甘い仕組みがあるためだが、服務上の措置が懲戒予備軍だという理由はここにある。
組織崩壊の背景
それでは、綱紀粛清が叫ばれながら、職員不祥事が減らない一番の原因は何か?ある市職員の話を紹介して、答えに代えたい。
―― 高島市長は、思い付きで事をはじめ、問題が起きると職員に責任を押し付けて逃げ出す。不祥事に関する謝罪会見もほとんど職員任せだ。HUNTERや議会の市政追及で、矢面に立つのも職員。やっていることが市長の尻拭いであることは、多くの職員が気付いている。片道自腹の東京出張で遊びまわり、議会中にはフィットネスクラブ通い。年度をまたいで旅費精算など、ふざけたことをやったと思えば、今度はお友達の選挙のためにアメリカ出張を放り出し、税金をどぶに捨てた。
国家戦略特区にしても、(市長)本人は具体策を持ち合わせておらず、市の未来像も描けていない。まさにやりたい放題。職員なら処分されるのが当然のことでも、市長なら許されるというのは絶対におかしい。私は、こんなトップの犠牲になるのはごめんだ。好き勝手やってる若造が叫ぶ綱紀粛正を、まともに受け止める職員は少ないだろう。不祥事を起こす職員が悪いのは当然だが、市長独裁によるモチベーションの低下や、市長への反発があるのも事実だ。暗い市役所が不祥事を呼び、また暗くなるという悪循環。状況は悪化する一方だろう。