高島宗一郎福岡市長の資金管理団体が主催する政治資金パーティーに、市の業務を受注している企業の幹部が参加。それぞれ数万円単位の政治資金提供を行っていた疑いが浮上した。
福岡市が平成10年に制定した「福岡市長の政治倫理に関する条例」では、市長及びその資金管理団体が、道義的に批判を受けるおそれのある寄附を受けることを禁じており、業界関係者の政治資金パーティーへの資金提供が、この趣旨に反するのは明らか。高島市長をめぐる「政治とカネ」の問題が、改めて注目を集めそうだ。
九州・アジア未来塾
問題の政治資金パーティーの名称は「九州・アジア未来塾」。市長が代表を務める政治団体「アジアリーダー都市研究会」が、平成23年10月から開いてきたものだ。同名の資金パーティーは24年2月、5月、9月に3回、25年にも2月、5月、9月に計3回開かれ、毎回約150万円から200万円を集めていた。毎回の参加者は50人から60人程度。関係者の話によると、月1万円の計算で、1回あたりの会費は3万円という高額なものだという。
下は、市長の資金管理団体「アジアリーダー都市研究会」が福岡県選挙管理委員会に提出した平成24年分の政治資金収支報告書。「九州・アジア未来塾」が計3回開かれ、計591万円の収入があったことが分かる。25年は484万円の収入を得ていた。
一方、これとは別に「市政報告会 福岡未来設計図」という名称の政治資金パーティーが開催されており、24年は1,287万円を、25年には2,427万円を集めていた。九州・アジア未来塾は毎回200万円に満たない収入ながら、決まった時期に開催された形。市長にとっては、計算できる貴重な財布だ。
参加者名簿を入手
HUNTERは昨年、九州・アジア未来塾の参加者名簿を独自に入手。精査した結果、この政治資金パーティーに、これまで100を超える企業の幹部ら120人以上が参加し、それぞれ最低1万円から3万円の政治資金提供を行っていたことが明らかとなった。参加者のなかには、電気設備工事会社「九電工」、広告代理店「BBDO J WEST」、旅行会社「JTB九州」、「JR九州」など福岡市から仕事を受注したり、市と利害関係を有すなどしている企業の幹部が多数含まれている。
九電工は「福岡市立こども病院」のPFI事業者の構成員。BBDO J WESTは、廃止が決まった仮想行政区「カワイイ区」の運営事業者である。JTB九州については、昨年2月の東京出張をめぐる旅行命令書の改ざん疑惑をめぐって、最終的な航空券代の領収書を市長側に出していたことが分かっている。その他、平成25年12月に配信を開始した「徘徊高齢者捜してメール」のシステム提供会社「パイプドビッツ」(東京都港区)の役員らの名前も記載されていた。
条例の趣旨に違背
平成10年に制定された「福岡市長の政治倫理に関する条例」では、『政治活動に関し、道義的に批判を受けるおそれのある趣旨の寄附を受領しないものとし、その資金管理団体についても、当該寄附を受領させないこと』と規定。市長は、この政治倫理基準を『遵守しなければならない』と定めている。今回明らかとなった九州・アジア未来塾の参加者による政治資金提供が、同条例の趣旨に反することは明らか。市長の政治姿勢が、厳しく問われることになりそうだ。