政務調査費(平成25年度から「政務活動費」)や政治資金の経理処理を巡って、いくつもの疑惑が明らかになった自民党の飯盛利康福岡市議(南区選出。当選2回)。前稿では、平成23年に行われた福岡市議会議員選挙の「選挙運動費用収支報告書」で、電話の架設費を自身の後援会に支払ったと報告しながら、逆に後援会が候補者側に支払った形の領収書を提出していたことを報じた。市選挙管理委員会も、領収書と報告内容の違いを認めているが、この杜撰な事務処理によって、別の違法行為が証明された形になる。
杜撰というよりデタラメ な収支報告
下は、飯盛氏の資金管理団体「飯盛利康後援会」が県選管に提出した平成23年分の政治資金収支報告書(赤いアンダーラインはHUNTER編集部)。前年からの繰越金を除いたこの年の収入は「298」円となっている。一方、報じてきた通り、市議選における選挙運動費用収支報告書では、後援会に対し「15,800」円の電話架設費を支払ったことになっている。つまり、後援会には15,800円の「収入」があるはずだが、この分の収入は後援会の報告内容に反映されていない。明らかな不記載。政治資金規正法に抵触する状態であることは言うまでもない。
さらに問題なのは、後援会の支出に電話架設費の記載がないことだ。選挙運動費用の収支報告で市選管に提出された電話料金支払証明書のあて名は「飯盛利康後援会」(下がその証明書。赤いアンダーラインはHUNTER編集部)になっている。流れとしては、まず電話契約者である後援会が計22,006円を電話会社に支払い、選挙運動費用としたこのうちの15,800円を、候補者が後援会に後払いした形。だが、後援会の収支報告書には、この22,006円を支出したとの記載がない。選挙運動費用の収支報告で明かした内容が、後援会の収支報告から省かれており、意図的であれば、悪質な政治資金規正法違反である。
辞職が筋だ
政務調査費の使途報告書や政治資金収支報告書、さらには選挙運動費用収支報告書と、飯盛氏が市議会や県選管に提出した報告書の記述には整合性がなく、まったく信用できない状況だ。支出実態があるのに報告書に記載がないということは、応分の収入もまた、記載されていないことを示している。疑惑の裏に、同氏の資金管理団体「飯盛利康後援会」における実際の収支を隠すという意図があったと見るの自然だ。市議本人の説明が求められているのは言うまでもないが、ここまでデタラメな政治資金処理が明らかになった以上、辞職するのが筋ではなかろうか。