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疑惑の自民党福岡市議 政調費詐取のため政規法違反?

2014年11月26日 06:00

飯盛事務所 自民党福岡市議団に所属する飯盛利康市議をめぐり、政務調査費(平成25年度から「政策活動費」)の詐取、さらには資金管理団体による政治資金収支報告書の虚偽記載という二つの疑惑が浮上した。政調費の支出報告内容と政治資金収支報告書を精査すると、二つの疑惑が密接に関係していることがわかる。
 外形的事実を並べてみると、政治活動にかかる支出のうち、事務所の維持に要する経常経費を隠し、あたかも政務活動だけをやっているように見せかけた政治家の姑息な姿勢が浮き彫りとなる。ルール無視としか言いようのない政治資金処理の裏にあるのは……。

経常経費ゼロの後援会
 飯盛氏の資金管理団体「飯盛利康後援会」は、同氏が初めて市議選に挑戦することを決めた平成18年に設立されている。当初の名称は「いいもり利康を育てる会」。初当選した平成19年の選挙後、名称変更され現在に至っている。団体が福岡県選挙管理委員会に提出した政治資金収支報告書及び県公報の記載(「政治資金収支報告書の要旨」)を確認し、発足から平成24年までの収支についてまとめてみた。下がその表。上から順に、繰越金を除外したその年の収入、人件費、事務所費、備品・消耗品費、光熱水費、経常経費以外の政治活動費の金額である。

政治資金

 市議選が行われたのは平成19年と23年。表を見れば、選挙の前年に政治資金収入が増加しているのがわかる。4月の統一地方選に向けて、早くから後援会活動を活発化させていた証左だが、政治資金全体の「入り」をごまかすことはできなかったともとれる。しかし、平成19年の初当選時には、人件費や事務所費、備品・消耗品費、光熱水費などで200万円を超える経常経費を支出していながら、20年になると約20万円――10分の一に急落。翌21年からは続けて「0」。実情の見えない政治活動費だけが計上されるといった格好だ。

事務所維持費は全額“政調費”
 それでは、後援会事務所をどうやって維持してきたのか――?答えは「政務調査費」しかない。下は、飯盛市議が議長に提出した平成25年度分の「政務活動費収支報告書」。年間312万円を支給され、そのほとんどを使い切っている。毎年度、同様の収支を報告しており、主な支出は人件費(補助員等雇用費)と市政報告の作成・配布代、そして電話代や事務機のリース代といった事務所を維持するための経費だ。つまり政治活動費の「経常経費」にあたる支出の全てが、政調費でまかなわれているのである。

政務活動費収支報告書

自宅 先週の配信記事で指摘したように、飯盛氏の実質的な活動拠点は「政務活動だけ」(事務所側説明)を行っているという一カ所のみ。選管届出の後援会住所は市議本人の自宅であり、実際の政治活動に供されているという状況ではない。

 右は自宅玄関の写真だが、後援会事務所であることを示す掲示もない。つまり、飯盛氏は、届出書類上の政治団体住所を自宅に置くことによって、事務所経費が発生していないかのように偽装し、後援会活動の実態も隠した――。その上で、経費の大半を政調費で賄った可能性が否定できない。もっと分かりやすく言えば、税金で自身の政治活動を賄うため、公式な書類上だけ後援会活動がなかったことにし、意図的に政治資金規正法を無視した疑惑があるということなのだ。同法違反とともに、政調費の詐取が疑われるのは当然だろう。

市民オンブズマン福岡・児島研二代表幹事―「実態解明が必要」
 福岡県内の政調費をめぐっては、自民党の中村明彦県議会議員や橋田和彦福岡市議(無所属)らの支出報告と、関連政治団体の政治資金収支報告書の記載内容が合致していなかったことがわかっており、飯盛氏のケースは3例目。政調費の支出報告では問題なしとされながら、政治資金収支報告書との照合で、報告内容に疑義が生じた形だ。同様のケースは、さらにあるとみられる。

 こうした事態について、市民オンブズマン福岡の児嶋研二代表幹事は次のように話している。

 ―― 飯盛氏の場合、本人が公式サイトでその内容を公表しているのだから、後援会活動の実態があったのは確か。その経費を政務活動費で賄っているとしたら、政務活動費について定めた地方自治法の趣旨を逸脱していると言うしかない。税金を使っているという自覚がないのだろう。HUNTERが報じてきた一連の政調費に関する記事で注目すべきは、政務活動費の支出報告と政治資金収支報告書の記載内容が合致しないケースがあるということ。われわれオンブズマンとしても、こうした形での調査が必要だと感じている。できる限り近い時点で、政務活動費の支出報告と政治資金収支報告書との照合を行い、実態解明を進めたいと思っている。政務活動費も政治資金も政治家本人に説明責任があるのは言うまでもない。疑惑が指摘された政治家たちは、こそこそ修正をする前に、きちんと市民への責任責任を果たすべきだろう。



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