政務調査費(平成25年度から「政務活動費」)の詐取や、後援会の収支を隠して政治資金収支報告書に虚偽の記載をしていた疑いが持たれている自民党の飯盛利康福岡市議(南区選出。当選2回)に、新たな疑惑が浮上した。
同市議が使用している「事務所」の所有者について、不動産登記簿を確認したところ、土地・建物とも名義は市議の身内が経営する不動産会社。しかし、政調費や政治資金の報告書には事務所の家賃が一切計上されておらず、無償で借り受けた形となっていた。政治資金規正法が禁止している「企業献金」にあたる可能性が高い。
家賃ゼロの事務所―じつは身内の会社所有
飯盛市議の政調費支出報告と資金管理団体「飯盛利康後援会」の政治資金収支報告書には、事務所の家賃支出が記載されていない。しかし、飯盛氏の公式サイトや後援会の文書には『飯盛利康事務所』の住所として「福岡市南区長住4-2-30」と明記されており、同所にある事務所には、下の写真のように道路沿いのガラスドアに市議の名前を記した表示物がある。
この事務所が事実上後援会活動の拠点になっていることは報じてきた通りだが、家賃については、政調費の支出報告にも政治資金収支報告書にも記載がない。ここで、後援会の収支についてまとめた表を確認してみた。
事務所費だけに注目してみると、平成20年に極端に支出額が減り、21年からは「0」。政務調査費の収支報告についても、確認した平成23年度から25年度まで事務所家賃は支出されていない。一体、この事務所の使用形態はどうなっているのか――念のため、当該地の土地・建物について不動産登記を調べたところ(下が登記簿の一部)、いずれも市内南区の不動産会社の名義になっていることがわかった。その不動産会社は、飯盛市議の身内が経営しており、市議自身が勤務してきた会社。しかも、飯盛利康事務所と同一の建物に本社を置いている。前掲写真、飯盛事務所の奥がその会社だ。
事務所は無償―企業献金の疑い
上掲の登記簿を確認すると、不動産業者がこの土地建物を取得したのは「平成20年」。飯盛利康後援会の事務所費支出が、ガクンと減った年だ。翌年からは家賃支出はゼロとなっている。この事務所が政務活動用であろうが、後援会事務所であろうが、飯盛市議側が使用しているのは事実。物件の名義が企業である以上、これは無償での借り上げ。飯盛市議が企業から寄付を受けた形となっており、すなわち企業献金とみなされる。
政治資金規正法は、政党及び政党が指定した政治資金団体以外の政治団体や政治家個人への企業献金を禁止しており、飯盛氏の事務所無償使用は、この規定に抵触することになる。飯盛氏の政治資金をめぐる疑惑は底なし。政治家としての資格・資質が問われているのは言うまでもない。