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自民党福岡市議に政治資金規正法違反の疑い
後援会活動の収支、記載せず

2014年11月25日 06:00

飯盛市議の事務所 政務調査費(平成25年度から「政務活動費」)を詐取した疑いが浮上している飯盛利康福岡市議(南区選出・当選2回)の資金管理団体「飯盛利康後援会」が、活動実態を隠して政治資金収支報告書に虚偽の記載を続けている可能性が濃くなった。
 政治資金規正法に抵触する収支報告は、市議自身の活動にかかる経費支出の大半を政調費でまかなうための操作だったとも見られ、政治家としての資質が厳しく問われる事態だ。
(右は飯盛市議の事務所)

盛んな後援会活動―自身のサイトで紹介
 飯盛市議の資金管理団体「飯盛利康後援会」が、活発な後援会活動をおこなっていたことは、周辺関係者の話や市議自身の公式サイトの記載内容からも明らかだ。

 下は、昨年4月に同後援会が実施したバスハイクでの写真(飯盛市議の公式サイトより。加工はHUNTER編集部)。佐世保海上自衛隊の艦艇見学や海上自衛隊佐世保史料館の見学が行われたとされるが、後援会員らを乗せていたとみられるバスのフロントガラス下に「飯盛利康後援会様」と明記した紙が掲示してあるのがわかる(バスの前に立つのが飯盛市議)。バスを後援会でチャーターしており、それに見合う代金支払いがあったはずだ。

飯盛バスハイク.jpg

 後援会主催のバスハイクは平成24年から計3回行われており、飯盛氏の公式サイトにもその報告がある(下参照)。毎回、バスのチャーター代がかかっていたのは間違いない。

バスハイクのようす

 後援会活動における事業は多岐にわたる。バスハイクの他、「新春の集い」、「元気もり盛会 女性ボーリング大会!」、「市政報告会」などがあり、すべて飯盛氏の公式サイト上で開催状況が確認可能だ。

 当然ながら、事業ごとにバスのチャーター代やボーリング場の使用料、会場費、飲食代が支出されているはずで、これらの経費を賄うための「収入」も必要となる。市議の公式サイトにある事業ごとの案内では、たしかに会費を募っており、「収入」があったことがわかる。平成24年11月の「元気もり盛会 女性ボーリング大会!」では参加費1,200円を、今年1月の「飯盛利康新春のつどい」では会費2,000円を徴収することが明記されていた。今年3月、飯盛市議の後援会がバスハイク参加者を募集した際の案内文(赤いアンダーラインはHUNTER編集部)によれば、この時の参加費は3,000円となっている。

「バスハイク」参加者を募集した際の案内文

政治資金収支報告書―見当たらぬ活動経費
 一方、飯盛利康後援会が福岡県選挙管理委員会に提出した政治資金収支報告書によれば、平成22年、23年、24年と飯盛氏個人や親族、自民党支部からの寄附以外に収入はなく、後援会主催の行事で集めた会費や参加費を、収入として計上した形跡はない。不記載ということだ。

 支出を見ても、平成22年は政治活動費として175万5,129円が計上されているが、『会議費、交通費、その他』として支出額の総合計が記載されているだけ。5万円以上の支出はなかった形だ。23年は市議選の年で、後援会活動で使用する趣意書の印刷代や発送費、のぼり旗の製作費など162万3,321円が計上されているものの162万9,958円は前年同様に支出先不明。24年は組織対策費として市政報告の発送費用を計上しているが、これまた111万6,271円が支出先不明となっている。どの年の収支報告書にも、バスハイクやボーリング大会、新春の集いの経費は見当たらない。本来、事業ごとに記載しなければならない収支報告は皆無。支出の実態が正確に報告されていない状況だ。

 飯盛氏の事務所を取材し、事務担当者に話を聞いたところ、後援会活動を行っていることを認めた上で「バスハイクなどの行事ごとに会費を集めているが、収支報告書には記載していない」と明言。政治資金規正法違反ではないかと追及したところ、「収支ゼロでも記載する必要があるんですか」と、とんでもない返事が返ってきた。事務担当者が言う「収支ゼロ」とは、集めた会費・参加費と、支出が同額だったということ。容易に信用できる言い訳ではないが、これが事実だとしても、政治資金規正法は各種事業を含む後援会活動の収支の全てを報告するよう求めており、記載していない場合は違法。意図的に事業収支を除外して虚偽の報告書を提出しているとすれば、悪質というほかない。

経常経費ゼロで後援会運営
 虚偽が疑われるのは、事業ごとの収入と支出だけではない。驚いたことに、飯盛後援会事務所を維持するための人件費や事務所費といった「経常経費」が、平成22年から24年まで、一円も計上されていないのである。下は3年分の政治資金収支報告書の支出項目別内訳。いずれの年も経常経費が「0」となっている(左から平成22年、23年、24年の順。クリックで拡大)。

平成22年 平成23年 平成24年

あり得ない経常経費「0」
飯盛自宅2.jpg 活発な後援会活動の大前提は、後援会事務所の維持。そのためには一定の経常経費が必要となるのは言うまでもない。飯盛利康後援会の届出上の主たる事務所は、南区長住にある団地の一室。市議の自宅である(右の写真)。そこが事務所である間は家賃が発生しないが、通信費などの必要性を考えれば政治資金規正法上の「事務所費」がゼロになるとは考えにくい。事務員の給与や備品・消耗品費にしても支出が皆無ということはあるまい。なにより、後援会の事務所が自宅以外の場所に移転していたとすれば、一時的なものであったとしても当然事務所費が計上されているはず。しかし、同後援会の政治資金収支報告書には、移転していた時期の事務所費計上がないのだ。

 下は飯盛氏の公式サイトにある、平成23年2月の後援会事務所開きの案内。翌年春に行われた統一地方選挙を睨んで期間限定の事務所設置だったらしく、後援会の住所も、市内南区長住から同区寺塚の一角に移されていた(翌年には再び長住に移転)。

公演会事務所開き案内

 『後援会事務所開き』と公表した以上、この時点では「選挙事務所」ではない。公職選挙法の規定によれば、選挙運動は選挙期間中だけに認められるもので、告示前に可能なのは「後援会活動」。通常はどの地方選候補者も後援会事務所を開設する形で事務所開きを行い、告示に備えるものだ。飯盛氏もそれにならって事務所を開設したとみられるが、この後援会事務所の事務所費をはじめとする経常経費も、同年の政治資金収支報告書には記載がない。同市議の政治資金収支報告では、活動実態の全てが隠された状態。意図的か否かは別にして、政治資金規正法違反(虚偽記載)である可能性が高い。ちなみに、飯盛利康後援会の代表も会計責任者も飯盛氏本人。市議自身がすべてをコントロールしていたと考えられる。

 違法を疑われる政治資金収支報告書の作成が、単なるミスによるものとは思えない。それではなぜ、こうした政治資金処理を行ってきたのか――?次稿で、さらに詳しい検証を進める。



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