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自民・中村明彦福岡県議 疑惑の政治資金処理

2014年11月13日 07:00

中村県議 実態と違う政務調査費の支出報告を行っていたほか、活動していたにもかかわらず、政治資金収支報告書には収入や支出を「0」と記載していた資金管理団体に、政治資金規正法違反の疑いが浮上している福岡県議会自民党県議団の中村明彦県議(北九州市小倉北区選出、当選8回)。その政治資金処理の手法は、法の抜け道を利用した巧妙なものだった。県選管に提出された政治資金収支報告書は、事実を告げているのか――。
(写真は2日、福岡市長選の現職陣営出陣式に顔を見せた中村明彦県議)

参照記事⇒「自民党福岡県議 政調費支出報告に虚偽の疑い
        「自民党県議の政治団体に政治資金規正法違反の疑い

代表の自民支部 不可解な収支
 中村県議の関連政治団体は、県議の自宅に事務所を置く「中村明彦後援会」と「自由民主党福岡県北九州市小倉北区第一支部」。中村明彦後援会の収支については、これまで報じてきた通り、経常経費も政治活動費も事実上ゼロの状態だ。

 一方、同県議が代表を務める自由民主党福岡県北九州市小倉北区第一支部は、毎年相当な額を動かしており、次のような政治資金収支となっている。(注・収入金額は、前年からの繰り越しを除いたその年だけのもの)

・平成19年 収入⇒15,249,370円 支出⇒15,399,666円
・平成20年 収入⇒12,575,510円 支出⇒12,603,588円
・平成21年 収入⇒11,686,560円 支出⇒11,241,099円
・平成22年 収入⇒14,435,510円 支出⇒13,338,441円
・平成23年 収入⇒11,021,140円 支出⇒12,198,221円
・平成24年 収入⇒10,886,770円 支出⇒11,034,878円

 問題は、同支部の支出に関する報告内容だ。下は平成19年に同支部が県選管に提出した政治資金収支報告書の「組織活動費(交際費)」のページ。支出の内訳には何も記載されておらず、その他の支出として2,705,467円とある。つまり、記載が義務付けられた5万円以上の支払いが1件もなく、5万円未満の支出をすべて足して2,705,467円なったというのである。加えて、この年の同支部の支出は、経常経費(12,694,199円)と前出の交際費(2,705,467円)だけ。他の支出は1円もない。政党支部の活動で、そんなことがあり得るのだろうか……?

平成19年に県選管に提出した政治資金収支報告書「組織活動費(交際費)」

 平成20年も同じで、支出として記載されているのは経常経費(11,358,843円)と組織対策費(1,244,745円)のみ。違うのは交際費が「会費」に変わっている点だけだ。

 21年は支出総額11,241,099円で、うち経常経費が9,957,052円、組織活動費(会費)が1,269,987円。珍しく他の支出があるが、書籍代14,060円という申し訳程度の金額である。

 これ以後、まったく同じ状況が続き、22年が支出総額13,338,441円に対し、経常経費12,048,651円、組織対策費(会費)1,271,490円、書籍代18,300円。

 23年が、12,198,221円の総支出で、内訳が経常経費10,966,781円と組織活動費(会費)1,222,740円、書籍代8,700円。

 そして24年が、9,926,653円の経常経費、1,098,025円の組織対策費(会費)と10,200円の書籍代で、総支出11,034,878円となっている。

 経理上、中村県議が代表を務める自民支部は、事務所を維持し、何らかの会費を払い、わずかな書籍を買うだけという活動実態しかなく、常識的には考えられない仕事ぶりだ。

これは「疑惑」だ
P2240336.JPG 政党支部の経常経費については、政治資金収支報告書への詳細記載義務も領収書の添付義務もないため、政治家側が自主的に情報開示しない限りカネの「出」について検証ができない。中村県議の自民支部は、この制度上の欠陥をうまく利用した形だ。

 さらに、同支部が経常経費以外の支出のすべてを、収支報告書への記載義務がない5万円未満のものばかりだったとして処理しているため、支出先は不明。領収書もないため、支出実態を確認することもできない。

 一千万円以上の政治資金を動かしている政党支部の活動で、5万円以上の支出が皆無ということがあるのか、また、経常経費に会費代と書籍代だけの支出で、まともな活動ができのか――疑問というより「疑惑」だらけの収支報告と言うべきだろう。(写真は、後援会と自民支部が同居する中村県議の自宅)

 もう一つの関連政治団体である「中村明彦後援会」は資金管理団体であるため、人件費以外の経常経費については報告義務がある。しかし、これまで報じてきた通り、後援会の収支は「0」の状態。中村県議側は、政治資金を政党支部に集中させる形にすることで、徹底して支出先を隠した格好だ。不可解な収支の狙いは、活動の実態隠しとしか思えない。

 政治資金の透明化を図ることが政治資金規正法の立法趣旨だ。そうした意味で、中村県議の政治資金処理は、有権者の目を欺く脱法行為ととらえられてもおかしくない。前稿で報じたように、収支ゼロの後援会に活動実態があったこともわかっており、中村県議の説明に注目が集まりそうだ。



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