政治・行政の調査報道サイト|HUNTER(ハンター)

政治行政社会論運営団体
社会

自民党県議の政治団体に政治資金規正法違反の疑い
活動実態隠し虚偽記載か

2014年11月 6日 09:10

中村明彦県議 政務調査費の支出報告に虚偽の疑いが浮上した福岡県議会自民党県議団の中村明彦県議(北九州市小倉北区選出、当選8回)の資金管理団体「中村明彦後援会」が、実際には活動実態があるにもかかわらず、政治資金収支報告書には、収入や支出を「0」と記載していたことがわかった。
 HUNTERの取材に応えた中村県議側の事務担当者は、「政党支部の活動を、わかりやすいように後援会の名前で行っただけ」と答えており、後援会としての動きがあったこと認めた形。虚偽の記載を行ったとすれば、政治資金規正法に抵触する可能性がある。
(写真は2日、福岡市長選の現職陣営出陣式に顔を見せた中村明彦県議) 

支出「0」のはずが・・・
 中村明彦後援会が福岡県選挙管理委員会に提出した平成19年から24年までの政治資金収支報告書によれば、平成19年は前年からの繰越金が19,441円、個人献金が90,000円あって、収入総額は109,441円。このうち100,000円を中村県議が支部長を務める『自由民主党福岡県北九州市小倉北区第一支部」に寄付し、翌年に9,441円を繰り越していた。支部への寄附以外に支出はない。

 20年にも12万円の献金があったが、そっくり自民小倉北区第一支部に寄附。これ以外の支出は記載されていない。この時点から保有金は繰越された9,441円のままで、平成24年まで収入は途絶えている。21年から平成24年までは収入も支出も「0」。政治資金の動きだけを見れば、同後援会はずっと政治活動を行っていなかった格好だ。(下は、平成22年分の収支報告書)

平成22年分の収支報告書 1 平成22年分の収支報告書 2

 一方、同県議が支部長を務める『自由民主党福岡県北九州市小倉北区第一支部』には、企業献金を中心として毎年約1,000万円から1,400万円程度の収入があり、人件費、事務所費などに数百万円単位の支出が認められる。中村県議は、資金管理団体「中村明彦後援会」を使わず、『自由民主党福岡県北九州市小倉北区第一支部』にだけ政治資金を集中させていたことになる。

 ここで問題になるのは、平成19年と23年の政治資金の動き。両年は福岡県議会議員選挙が行われており、選挙戦に向けて後援会組織が動かなかったとは思えない。「中村明彦後援会」の活動はなかったのか――中村県議の地元を取材したところ、平成23年の県議選直前に頒布されたとみられる複数の印刷物が確認できたほか、後援会の会合などがあったという証言も得た。印刷物には「中村明彦後援会」と明記してある。活動実態があった証しだ。

 印刷物の存在などを考えると、少なくとも平成23年の政治資金収支で、後援会の支出が「0」ということはあり得ない。もちろん、支出に見合う収入もあったはず。あるべき支出や収入が無い以上、同団体の政治資金収支報告書は、限りなく虚偽に近いと言わざるを得ない。

事務担当者―活動実態認める
 浮上した疑惑について、中村明彦事務所の事務担当者に話を聞いた。以下、2度にわたったやり取りの概要である。

 記者 政治資金収支報告書によれば、平成19年から24年まで、中村明彦後援会は人件費や事務所費などを計上していない。自民支部への寄附以外、支出ゼロが続いているが、間違いないか?
 ―― 間違いない。

 記者 平成19年と平成23年には県議選があった。この時、後援会として印刷物を作成し、配布したのではないか?
 ―― 平成19年は、(政治資金の)担当ではなかったためわからない。

 記者 平成23年はあなたが担当だ。
 ―― 印刷物は作った。選挙だから。後援会とした方がわかりやすいかと……。

 記者 後援会として印刷物を作ったということで、間違いないか?
 ―― あくまでも(自民)支部の動きだと思っている。ただ、後援会の方がわかりやすいということだ。

 記者 活動実態があるのに、収入も支出もゼロというのでは、虚偽記載ではないのか?
 ―― あれは支部として動いたものだ。

――― 数時間後、中村事務所の事務担当者から連絡 ―――

 ―― さきほど、あなたは(記者は)虚偽だと言ったが、そうではないということをハッキリさせておきたい。
 記者 どういうことか?

 ―― 後援会で印刷物などを作ったのは事実だが、あくまでも党支部としての活動。後援会としたほうが、わかりやすいと考えてそうしただけで、党支部の支出だ。虚偽ではない。
 記者 それこそが虚偽というのではないか。後援会と書いてあれば、それは後援会の印刷物。かかった経費は後援会で計上すべきで、支部とは関係ない。虚偽だと判断するのが普通だ。

 ―― 虚偽ではない。
 記者 こちらは虚偽だとみている。

 事務担当者は印刷物の存在を認めている。受け取った印刷物に「中村明彦後援会」と書いてあれば、それを政党支部の配布物とみなす有権者はいないだろう。中村県議側の“表面上は後援会活動だが、じつは政党支部の活動”などという身勝手な言い訳は通用しない。活動実態がある以上、それに見合った政治資金の動きがあるはずで、政治家側の都合で実際の収支を隠すことは許されない。虚偽報告の疑いは、より濃くなったと言うべきだろう。

*中村県議の政治資金処理については、さらに大きな問題があり、次週詳しく報じる予定だ。



【関連記事】
ワンショット
 ガラスの向こうに積み上げられた洋書。オシャレな入り口の奥...
過去のワンショットはこちら▼
記事へのご意見はこちら
調査報道サイト ハンター
ページの一番上に戻る▲