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疑惑の出張(上) ― 福岡市長と号泣県議の共通点 ―

2014年7月28日 08:30

高島市長 11月の福岡市長選挙で再選を目指す高島宗一郎市長が、片道分の旅費を自己負担する形で、東京出張の度にプライベートタイムを過ごしていたことが明らかとなった。
 福岡市への情報公開請求で入手した市長の「出張命令書」によれば、平成25年1月以降に行われた38回の東京出張のうち、23回の出張で前日か当日夜、もしくは翌日を「私用」にあてていた。
 形はどうあれ、税金のプライベート利用。公人としての倫理観が欠如している点、政務活動費の不正使用で号泣した元兵庫県議に通底するものがある。(写真は、高島宗一郎福岡市長)

「前泊」か「後泊」でプライベート
 高島市長が、東京出張にかこつけ、プライベートタイムを作り出してきた手口は二通り。まず、出張命令書に記された正式な出発日の前日に、旅費の自己負担で東京入りするというもの(本稿では「私用前泊」と表記する)。平成25年1月以降、このやり方によってプライベートタイムが作り出されたのは38回の東京出張中、11回もあった。下は、私用で前泊となった場合の旅行命令書。起案の時点で東京滞在中であることが分かっていたため、出張の起点が東京となり、往きの航空運賃は初めから支給されていない。

命令書 前泊1

 一方、旅行命令書に記された出張目的を終えた後、通常なら帰福するところを、帰りの旅費を自己負担することで一泊以上余分に東京滞在を続けたのが「私用後泊」。私用後泊は38回の東京出張中14回に上る。下はそのうちの一例(赤い矢印とアンダーラインはHUNTER編集部)。平成25年12月5日から6日までの日程で起算されていたが、6日になって命令変更。「私用」で東京滞在を延長したため、復路の旅費支給を削っていた。

命令書

 往復とも「私用」を理由に自費で上京、出張の前後が東京滞在となったため、航空運賃が1円も発生していないケースが3回あった。下はその実例の一つ(赤い矢印とアンダーラインはHUNTER編集部)。いったん計画に従って支給された旅費が、命令変更によって戻入されているのが分かる。この時は、出張当日の命令変更だったことが、備考欄下の変更日の日付によっても明らか。市長の「思いつき」で、日程を変えていた可能性が高い。前掲の「私用後泊」もそうだが、当日かあるいは前日に、突然命令変更を行ったケースが全体の内の5件あった。こうなると、出張のついでに「私用」を入れたのか、「私用」の合間に出張を入れたのか分からない状況だ。市長は、どうしても「首都圏での夜」がご所望だったらしい。

前泊命令書.jpg

倫理観の欠如 
 政務活動費をめぐる疑惑が浮上し、会見で号泣した兵庫の元県議会議員は、税金を私的に流用した疑いが濃い。公と私の区別がついていなかったことは明らかで、政治家である前に大人として未成熟だったことがうかがえる。

 高島市長はどうだろう。私用のための前泊や後泊がもたらすのは、夜の自由時間。旅費の半分を公費に頼って使って作り出されたプライベートな夜は、1年半の間に最低でも27 回。ただし、私用による余分な宿泊が1日だけとは限らなかったことが、市長公用車の「運行表」などから推測され、東京滞在日数はさらに増える。いずれの場合も、片道分の旅費は公費。市長が私的に税金を利用したことに違いはない。

 為政者に求められるのは厳しい倫理観だが、元県議も高島市長も、どうやらそれが欠如している。



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