福岡市議会自民党市議団の今林秀明議員(東区選出。当選2回。)が、自身の資金管理団体に貸付を行いながら、資産公開では貸付金の欄に「該当なし」と報告していたことが明らかとなった。明らかな虚偽報告。福岡市の議会事務局は「市民から指摘があったことを議員本人に伝える」としている。
後援会への600万円貸付記載せず
下は、今林議員の資金管理団体「今林ひであき後援会」が福岡県選挙管理委員会に提出した平成23年分の政治資金収支報告書。同年1月3日に、今林議員本人が後援会に600万円を貸し付けたことが明記されている。
次に、平成24年分の政治資金収支報告書を確認したところ、不可解なことに同年12月1日に新たに今林議員本人が後援会に600万円を貸付。ぞれまで貸していた600万円を今林議員本人に返済するという処理が行われていた。何のための操作か分からないが、いずれにしろ、600万円の貸付額は変わらぬままだ(下は、平成24年分の政治資金収支報告書から抜粋)。
一方、議会事務局で同議員の資産等報告書を閲覧したところ、平成23年12月31日現在での貸付金は「該当なし」。翌24年12月31日時点の報告書にも貸付金の記載はなかった。資産報告に貸付金が登場するのは平成25年12月31日時点。貸付金は「550万円」と記されている。
市議の資産報告書には、収入を含む資産、借入金等に加え、「貸付金」がいくらあるか明記するよう義務付けられている。資金管理団体の政治資金収支報告書に600万円の貸し借りを明記しながら、平成23年、24年分の資産報告書にその事実を記載しなかったことは明らかな虚偽報告。同市議の資産報告に信頼性が無いことを意味している。
福岡市の議会事務局は27日、政治資金収支報告書の記載が事実であることを前提とするなら、貸付金600万について報告する必要があると認めた上で、「議会事務局は、出された報告書を受け取るだけで、内容を問うことまでは行っていない。今林議員にこうした指摘があったことを伝える」としている。
政治資金収支報告書に記された600万円出し入れの理由や資産報告の虚偽について、今林ひであき後援会の会計責任者に話を聞いたところ、「手元に書類がないので分からない」。報告書は、今林議員の妻が作成しているとして、詳しい説明を得ることができなかった。600万円の原資についても疑問があり、今林議員本人の説明が求められる事態だ。