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福岡市議会議長 公選法無視でやりたい放題
市選管が「警告」

2014年10月22日 08:15

森議長の事務所 毎年4回~5回、後援団体が市内の料理屋で市政報告会を開き、集めた会費以上の飲食代金を支払っていたことが判明した森英鷹福岡市議会議長。市政報告会の会費として集められたのは3年間で約112万円。これに対し、飲食代として支払われた総額は267万円で、差額分を後援団体が負担した形だ。辞任した小渕前経産相のケースと同様に公職選挙法違反(差額買収)が疑われる事態だが、取材の過程で、法律を無視した議長の姿勢まで明らかとなっている。
(写真は森議長の事務所)

違法看板
証票 政治家が政治活動のために使用する事務所に本人の氏名や後援団体名を記載した立札や看板を掲示する場合、地元の選挙管理委員会に枚数や設置場所を届け出て、「証票」(右の写真)の交付を受け、貼り付けることが公職選挙法で義務付けられている。証票がなければ違法看板だ。

 福岡市の場合は、政治家個人に対し6枚(1事務所につき2枚まで)、政治家の後援団体に6枚(1事務所につき2枚まで)の計12枚が交付される。福岡市議および市議選の立候補予定者が設置できる看板は12枚となる。

 下は、森議長の事務所が入る建物に設置された看板。1枚は2階部分に、もう一枚は出入り口に掲げられている。よく見ると、2階部分の屋外看板には片面だけしか証票が無い。1階入り口のものには、左下に何か貼ってあるが、これは固定資産税にかかる「家屋調査済証」。公選法が規定している「証票」とはまったく違う。森議長の事務所に設置された看板は、違法状態ということだ。

森 ひでたか.jpg  森 ひでたか2.jpg

違法ポスター
 次に下の写真。議長の事務所は建物の2回にあるが、窓を見上げると高島宗一郎市長のポスターがズラリ。堂々と道路側から見えるように(というより見せるために)貼り付けられていた。

道路側に貼り付けられた高島宗一郎市長のポスター

 公選法は、公職の候補者等の政治活動のために使用される文書図画のうち、候補者等の氏名又は氏名が類推されるような事項を表示するポスターについて、任期満了の日の6か月前から選挙の期日までの間、掲示することができないと定めている。市長選は11月。つまり、この時期に外部の人間に見えるように高島市長のポスターを掲示することは、違法行為なのだ。

市選管―違法性認め「警告」
 福岡市選挙管理委員会に確認を求めたところ、現場を見て判断するという。数時間後、選管に聞いたところ、「たしかに違法。森議長の事務所側に警告した」という回答があった。市議会議長が違法な掲示で警告されたわけである。当選5回のベテラン、しかも他の規範となるべき議長にして、この体たらく。看板やポスターの掲示方法は、政治活動の基本であり、「知らなった」では済まされない。市政報告会の飲食代金を、集めた献金の中から支出し、「問題ない」とする議長側の姿勢は、どうやら関係法令に関する『無知』からきているようだ。もちろん、政治家失格である。



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