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化粧品通販会社と福岡市長のカネ集め
検証・高島市政(下)

2014年10月21日 08:15

高島相関図 高島宗一郎福岡市長を巡る人脈は、大きく二つに分かれる。一方は、昨日報じた宝飾品販売会社を軸としたルートで、今年2月に福岡市天神で起きた危険ドラッグ暴走事故で逮捕された荒木祥平容疑者(37)をはじめ、市長とお友達市議らがからむ。
 そして、もうひとつの流れが、市長の政治資金に関係するルートである。市長の資金源として知られてきたのは、市内のホテルで資金管理団体「アジアリーダー都市研究会」が大々的に開催する政治資金パーティー。毎回1,000万円を超える政治資金を集めているが、これとは別に中規模の政治資金パーティー「九州・アジア未来塾」がある。市長にとっては二つ目の財布といったところだが、その開催実態を追うと、市長と特定企業代表者との密接な関係が見えてくる。

もうひとつの財布 ― 「九州・アジア未来塾」
 下は、市長の資金管理団体「アジアリーダー都市研究会」が福岡県選挙管理委員会に提出した平成24年分の政治資金収支報告書。事業収入のページには、「九州・アジア未来塾」という名称の政治資金パーティーが、第2回から第3回までの計3回開かれていたことが記載されている。「市政報告会 福岡未来設計図」という名のパーティーが、1回で1,287万円を集めているのに対し、九州・アジア未来塾は毎回200万円弱の収入を、コンスタントに得ており、平成24年は年間で591万円を集めていた。市長にとっては、もう一つの財布といったところだ。

アジアリーダー都市研究会 政治資金収支報告書(平成24年分)

 九州・アジア未来塾は、前年(平成23年)10月に第1回目を開催。24年は2月、5月、9月に開かれ、現在も3か月に1回程度のペースで続けられているという。

不可解な支出実態
 毎回200万円あまりを稼ぎ出す政治資金パーティーでありながら、経費はあまりかかっていない。下は、平成24年に開かれた九州・アジア未来塾の、それぞれの回ごとの事業支出を示したページの抜粋。第2回は会場費及び食事代に、講師の旅費を加え300,212円。第3回は会場費及び食事代だけで209,990円。第3回は、会場費及び食事代、講師の旅費で316,439円となっている。不思議なことに、案内状の郵送費や印刷物などの経費は一切計上されていない。一体どうやって人集めを行っているのだろう。

アジアリーダー都市研究会 報告書

実質仕切りは化粧品通販会社の社長
 じつは、この九州・アジア未来塾を実質的に切り盛りし、大半の参加者を募ってきたのが、市長の友人で元市顧問の結婚披露宴にも出席していた実業家G氏。G氏は、福岡市に本社を置き、200億円前後の売り上げを誇る化粧品通販会社の社長だ。

 関係者の証言によれば、九州・アジア未来塾には、同社と取引関係にある業者やG氏の知り合いなどが数多く呼ばれており、G氏から直接、未来塾への参加を呼び掛けられたという。月1万円の計算で、3か月に1度の開催。1回あたりの会費は3万円という高額なものになるが、日ごろの付き合いもあって何度か付き合ったという。

 別の参加者はこう話す。
 ―― アジア未来塾への参加呼びかけは、ほとんどGさんがやっているんじゃないか。事務局もG氏が社長を務めている会社の中にあるとばかり思っていた。案内状は郵送。会費は3万円だったと記憶している。3か月に1回程度の開催で、毎回行けば出費もばかにならないが、月1万円という説明があったので、負担感はなかった。高島市長の事務所から誘いを受けたことは一度もない。あくまでもGさんとの付き合い。現職市長の会合なので、まあそんなものかな、と。

 関係者の話は、アジアリーダー都市研究会の政治資金収支報告書に、経費支出の記載が不足していることの理由を説明しているようなもの。未来塾のカネ集めは、すべてG氏任せだった可能性が高い。政治資金規正法上、問題が無いとは言い切れない。

国税の査察が……
国税の査察が さて、そのG氏。後ろに巨大宗教団体の影がチラついているが、ここにきて周辺が騒がしくなっている。社長を務める化粧品通販会社に、国税当局の査察が入っているというのだ。税務調査において、調査対象者の取引先等に対して行われる「反面調査」を受けた会社もあり(右の写真参照)、脱税ということにでもなれば、九州・アジア未来塾の人集めどころではなくなる。市長にとっては大打撃だろうが、癒着を疑われるようなカネ集めをやっているのなら、政治家としては失格。政治とカネの問題について、勉強し直すことをお勧めしておきたい。

 今年2月の危険ドラッグ事故が、図らずも市長の人脈を浮き彫りにしたのは事実。お友達ばかりを大事にし、市民の暮らしには目もくれない市長の今後に、暗い影が差しているようにみえるが……。



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