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森英鷹福岡市議会議長の後援団体に「差額買収」の疑い 
寿司屋で市政報告会 ― 会費以上の飲食代支出

2014年10月17日 08:35

 小渕優子経済産業相をめぐる政治とカネの問題が永田町を揺るがすなか、森英鷹福岡市議会議長の後援団体が、毎年4回~5回、市内の料理屋で同議長の市政報告会を開き、集めた会費以上の飲食代金を支払っていたことが判明した。
 森議長の後援団体が福岡県選挙管理委員会に提出した平成22年、23年、24年分の政治資金収支報告書によれば、市政報告会の会費として集められたのは3年間で約112万円。これに対し、飲食代として支払われた総額は267万円あまりに上っており、差額分を後援団体が負担した形。小渕経産相のケースと同様に公職選挙法違反(差額買収)の疑いがある。
(写真は、福岡市東区にある森議長の事務所)

市政報告会の名を借りた「宴会」
 買収行為が疑われる資金処理を行っていたのは、平成7年に設立された森議長の後援団体「鷹の会」。同会が県選管に提出した政治資金収支報告書によれば、同会は毎年4回から5回、選挙区内の料理屋で森氏の「市政報告会」を開催。それぞれ、8万円から約11万円の会費を集める一方、「飲食代」として約18万円~28万円あまりの支出を行っていた。いずれの支出も会費収入を大きく上回っており、差額分を同会が補てんした形。市政報告会の名を借りた「宴会」としか言いようがなく、公職選挙法が禁止する買収(差額買収)の疑いがある。

選挙区内の寿司店 収支報告書上で確認できた平成22年、23年、24年の「市政報告会」は計12回。会費収入は総額112万3,000円となっている。しかし、主として選挙区内の寿司店を使った飲食代は、何故か13回分が計上されており、合計は267万5,000円。報告会絡みのその他の支出を加えると、支出額は318万9,550円に膨らむ。飲食代に限っての差額は155万2,000円。報告会すべての支出と比べると、鷹の会は206万6,550円を持ち出しの形で支出したことになる。

全額を団体側が負担したケースも
 収支報告書には、市政報告会の開催日が記載されていない。このため報告会の記載順に支出を割り当ててみたところ、年ごとの会費収入と飲食代は、下の通りになるとみられる。なお、平成22年分は、報告会の回数と飲食代支出の回数が合致しておらず、個別の報告会の収入と飲食代を結びつけることができない。これは、いずれかの報告会の飲食代を、全額鷹の会が負担したことを意味しており、そうなると完全な供応接待となる。

【平成24年】 
・3月 会費収入86,000円 ⇒ 飲食代215,000円
・7月 会費収入93,000円 ⇒ 飲食代155,000円 
・10月 会費収入108,000円 ⇒ 飲食代180,000円
・12月 会費収入108,000円 ⇒ 飲食代180,000円

【平成23年】 
・1月 会費収入64,000円 ⇒ 飲食代192,000円
・3月 会費収入82,000円 ⇒ 飲食代172,000円
・7月 会費収入108,000円 ⇒ 飲食代185,000円
・10月 会費収入105,000円 ⇒ 飲食代175,000円
・12月 会費収入117,000円 ⇒ 飲食代195,000円

【平成22年】 (会費収入80,000円、86,000円、86,000円
・3月 飲食代246,000円  
・7月 飲食代240,000円
・10月 飲食代276,000円 
・12月 飲食代264,000円  

苦しい言い訳―通用せず
 16日、市内東区にある森議長の事務所に確認したところ、事務担当者は、鷹の会が開いた市政報告会の収入は「当日分会費」だとした上で、これと飲食代金の差額は、月ごとに会員が支払う会費でまかなっていたから問題ないと主張。しかし、鷹の会の政治資金収支報告書には、会員数も会費収入も「0」と記載されており、他の収入は個人献金だけ。言い訳が通用しない状況だ(下は平成24年分の報告書。赤いアンダーラインと矢印はHUNTER編集部)。報告書の記載内容に間違いがなければ、鷹の会には、買収行為を繰り返していた疑いがある。

平成24年分の政治資金収支報告書

 森英鷹市議は、当選5回。東区を地盤に在職年数をかさね、平成23年5月に第70代の福岡市議会議長に就任している。



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