東京出張の度に、プライベートの夜を楽しんでいたことが明らかとなっている福岡市の高島宗一郎市長(写真)に、タクシーチケットの私的流用疑惑が浮上した。
福岡市への情報公開請求で入手した市長が東京で使ったタクシーチケットの日付と、旅行命令書に記された出張の記録を照合する過程で分かったもの。タクシー乗車当日は、私的な上京日にあたっていた。
特別職といえども、公費で賄われるタクシーチケットの目的外使用はご法度。不正は明らかで、市長の責任が問われる事態だ。
「私用」で上京 「羽田―都内」はチケット使用
下が問題のタクシーチケット。使用されたのは今年2月24日で、羽田から都内港区虎ノ門まで乗車し、タクシーチケットを使用して支払いを済ませていた。料金は首都高の通行料(700円)を合わせて9,050円。乗車時間は18:30から19:10までとなっている。
一方、この東京出張の旅行命令書が下。出張目的は「成長戦略協議」。2月25日から26日までの日程となっている。赤いアンダーラインで示した通り、2月25日が『私用で東京滞在中』だったため、往きの航空券代は支給されていない。これまで報じてきた「私用前泊」である。すると、24日は公務とは関係ない。使用されたタクシーチケットは、高島市長の個人的な用件のために使われたことになる。私的流用は明らかだ。
タクシーチケットの私的流用が疑われるケースは、他にもあった。下は、今年5月22日に市長が使ったタクシーチケット。「平河町―新宿」間の移動に2,990円かかっていた。なぜか時間は記入されていない。
出張命令書(下参照)を確認したところ、市長は5月21日から22日までの日程で東京に出張していた。目的は「特区協議」。命令書の備考欄にある通り、『用務終了後、私用で東京滞在』となるため、帰りの航空券代が支給されていない。この時の用務先は「東京都千代田区」となっており、新宿では何の公務も入っていない。
市長は、千代田区内での特区協議を終えた後、「私用」のため新宿に向かったとみられ、使われたタクシーチケットは私的流用の可能性が高い。公務地以外へのタクシー移動は他にもあり、HUNTER取材班の書類精査が続いている。
職員の分限・服務などを所管する市総務企画局人事部に確認したところ、職員が目的外でタクシーチケットを使用していた場合、事情を調べた上で処分を下すことになるが、市長は特別職であるため処分の対象とはならないという。しかし、職員ならダメで、市長なら許されるというわけではあるまい。市長は、職員の規範となるべき存在で、より高い倫理観が求められるのは言うまでもない。タクシーチケットの私的流用は、即ち「税金」の私的流用。市民への背信行為であり、即刻辞任が妥当だろう。
市民オンブズマン福岡・児嶋研二代表幹事の話
市政トップにタクシーチケットの私的流用疑惑が浮上したことについて、市民オンブズマン福岡の児嶋研二代表幹事は次のように話している。
「開いた口が塞がらない。福岡市では不祥事が続発し、市長はその度ごとに綱紀粛正を言明してきた。市役所全体を、正しい方向に導くべき張本人が私的にタクシーチケットを使っていたとすれば、言語道断。市民との信頼関係を築くことが求められている時に、市政のトップがそれを壊したことになり、市長失格だ。なぜタクシーチケットを使ったのか、市長は市民に説明すべきだろう」。