高島宗一郎福岡市長の公費出張に絡み組織的な公文書改ざんの疑いが出ている問題で、市側が露骨な情報隠しの姿勢をみせ始めた。
情報隠しの対象となっているのは、改ざんが疑われる「旅行命令書」の最終版と、再々精算時に市長から提出された航空券代の「領収書」。市は、わずか2枚しかない文書の開示決定を、規定の7日から20日間延ばすという前代未聞の暴挙に出た。
わずか2枚の文書開示決定を20日間延長
問題の発端は、高島市長のタクシーチケット私的流用。福岡市は今年7月、前月の情報公開請求でHUNTERに開示した市長の「旅行命令書」を加筆・修正し、出張日程前日の東京滞在を私用から公用へと変更。タクシーチケットの私的流用が無かった形にした。しかし、領収書がないまま再精算したため、事務処理が困難となり、市長からの領収書提出を待って命令書の記述を再び変更。過去に例のない「再々精算」となったことが表面化し、命令書に改ざんの疑いが持たれる事態となっていた。
このため、HUNTERは今月4日、市側の説明を検証するため、最終的な精算の際に市長から提出された領収書及び旅行命令の変更にともなう決裁文書を情報公開請求していた。請求に対し、市側が送付してきたのが下の「公文書公開決定等の期間延長通知書」。16日の決定期限を来月6日までの20日間延長するとしている。
延長の理由にはこうある。
≪一時的な業務量の増大、また、公文書公開請求が同時期に複数行われているため、当初の期間内に遂行するには、通常業務に著しい支障が生じるため≫
たしかに、福岡市情報公開条例には『実施機関は、事務処理上の困難その他正当な理由があるときは、同項に規定する期間を公開請求があった日の翌日から起算して20日を限度として延長することができる』という規定がある。しかし、いかに多忙であっても、わずか2枚の文書の開示決定を行うのに20日間もかかるはずがない。
同条例は市民の知る権利を守るために制定されたものであり、『実施機関は、公開請求に係る公文書の全部又は一部を公開するときは、その旨の決定をし、公開請求者に対し、速やかに、その旨並びに公開を実施する日時及び場所その他規則で定める事項を書面により通知しなければならない』と定めている。決定期限は『公開請求があった日の翌日から起算して7日以内』(同条例)なのだ。
真相隠しに向けた時間稼ぎ
結論から述べると、今回の開示決定期間延長は、真相隠しのための時間稼ぎと断定せざるを得ない。対象文書が、「2枚」しかないことは市側も承知だ。総務企画局企画調整部企画課は、請求した決済文書にあたるのが書き換えられた旅行命令書を指すことを認めており、HUNTERに対しては、すでに写真撮影まで認めている(下の写真参照)。
残る対象文書は「領収書」のみ。これについては、先週の市議会で市側が存在を認めており、市長側からの提出経過まで明らかにしている。しかも、領収書の写しは質問に立った共産党福岡市議団の中山郁美市議に渡されているという。つまり市側は、公表済みの2枚の文書を開示するか否かの決定自体を、20日間も延長すると言っているのだ。疑惑が持たれる文書の情報公開を、意図的に引き延ばしているに過ぎない。
問題の旅行命令書は、さらに変更された可能性もある。領収書には、これまでの市側主張を揺るがす内容の記述があるとも考えられる。隠ぺい姿勢が疑惑を深める結果となることに、市長も職員も気付くべきだが……。