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自民党福岡市議団への警鐘

2014年8月18日 08:35

 「過ちては改むるに憚ること勿れ」というが、自民党福岡市議団の面々は、論語の教えを知らなかったようだ。
 お盆休みを前にした今月11日、自民党福岡市議団が11月2日告示、16日投開票の福岡市長選挙で、現職の高島宗一郎市長を支援することを決めた。
 スンナリと方針が定まったわけではない。昨年来、市長派・反市長派に分かれて暗闘が繰り広げられてきており、それを証明するように会議が開かれたのはいつもの会派控室ではなく、市内中央区のソラリアホテル。会場は秘匿され、前日まで市議団が集まる場所を探し回るメディアもあった。市議団側に、ゴタゴタの様子を知られたくない思惑があったのは確かだ。以下、方針決定までの舞台裏と、彼らが犯した過ちについて――。
(写真は福岡市役所)

シナリオ通り
 自民党福岡市議団の会議は「部屋会議」と呼ばれる。市議団が11日に部屋会議を開くことは、早い時期からマスコミ関係者の知るところとなっていた。「その会議で、高島支援を決めるのでは」といった観測が流れていたのも事実だ。高島派による情報操作の一環だったとみられるが、一方では「11日には何も決まらない。話し合いは続く」と楽観視する向きも――。状況が一変したのは前日の10日、伝わってきたシナリオとは次のようなものだった。

  • 11日の会派会議で、妹尾俊見議員団会長(元議長)が高島支援を提案
  • 稲員大三郎元議長らが賛成意見を出し、同調する議員らが発言
  • 高島支援に異論を唱える市議らに発言させ、ガス抜き
  • 最終的には決を採ってでも支援の方針を決定する

 高島派による揺さぶりは、会議前日の夜まで続いていた。会派に所属する19名の市議の動向が、様々な形で関係者間に流されていたのである。「高島支援に賛同するものが13名、反対者が6名」「いや、賛同15で反対4名」……。数か月前まで高島支援に反対する市議が半数近くを占めていたはずだが、市長派の切り崩しを受けて激減。最終段階で、残った反対派の気持ちを萎えさせるのが狙いだったとみられ、「多勢に無勢」(自民党関係者の話)の状況で会議が開かれた。結果は、事前に漏れ聞こえてきていた前述のシナリオ通り。賛成多数で高島支援が決定された。

 反対派市議らへの切り崩しは熾烈を極めたといい、地元絡みの施策を止めるなどと、市長サイドから遠回しの威嚇を受けた市議もいれば、出身校の関係を盾に、先輩である市の幹部が後輩にあたる市議を恫喝する場面もあったという。手法はまるで暴力団。これが、市民の知らない現在の福岡市の姿だ。

自民党市議団の過ち
 高島派の中心となっているのは、妹尾氏や稲員氏といった「長老」と呼ばれる議長経験者たち。彼らが、再度高島氏を推す理由として挙げたのは、主として次の2点だった。

1、前回市長選で、自分たちが担いだ市長であること
2、これといった失政がないこと

 この主張がいかに浅はかなものか、述べておきたい。「自分たちが担いだ市長だから、今回も」という主張は、市民のための市政であるかどうか、市長としての資質があるかどうか、といった重要な視点を欠いている。つまりは、自民党市議団のメンツを優先するということに他ならない。市民不在の市長選びが、歪んだ市政を招いたことに、何の反省もないということだ。さらに、高島支援を訴えた長老たちが、揃って引退を検討しているというから、無責任極まりない話でもある。

 失政がないというが、それは強弁に過ぎない。観光やIT関連に湯水の如く税金投入を続けてきた高島市政によって、市民の暮らしが向上したという話は聞いたことがない。外見は派手だが、中味がないというのが高島市政の特徴で、それをもっともよく表しているのが仮想行政区「カワイイ区」。毎年1,000万円もの血税を投じてきたネット上の「区」だが、市政の発展にも、市民の暮らしにも何ら貢献はしていない。「カワイイ区って何?」――そうした市民の方が多いのは確かだろう。

 人工島の土地が売れているように思われているが、実際には土地の値段を下げた上に借地まで提供し、進出する事業者には立地交付金30億円を差し出すという大盤振る舞い。"土地が埋まればいい"という発想が、どれだけ市民へのツケを増やしたかについては検証すらされていない。

 子育て支援についても、表面だけ取り繕う高島流が、いかんなく発揮されてきた。市内中央区にある認可保育所「中央保育園」(運営:社会福祉法人福岡市保育協会)の移転をめぐっては、移転先が風俗街であることなどお構いなしに、公明党・創価学会とつながりの深い市内の不動産業者から約9億円の土地を購入。疑惑を招いた末に、市民から「背任」の疑いで福岡地検に告発状が提出され、現在も捜査が続いている。同園の定員150を300に増やすなどし、無理やり待機児童ゼロを宣言したものの、未入所児童が1,000人以上いることが分かり、子育て支援の在りようが実態とかけ離れていることを露呈させた。高齢者支援については、評価の対象となるような施策自体が皆無である。

 側近にお友だちばかりを並べた幼稚な市政運営も問題だ。市長の友人である会社社長を市の顧問に迎え、高額な報酬を与えて業者選定にまで関与させたり、私設秘書を市政に介入させるなど、常軌を逸した事態が続いてきた。今年3月まで市の顧問を務めていた市長の友人が関与したのは、自らが代表を務める会社と同じ業界の仕事。市長が、癒着構造を容認してきたのである。これらはすべて「失政」ではないのか?

 それでも「失政がない」と長老議員が言い、他の市議らが反論できない理由はひとつ。これまで高島氏が議会軽視の姿勢を露わにし、問題視されるたびに、水面下で事を収めてきたからに他ならない。担いだ市長が出してきた施策であることを逃げ道に、正面から論争を挑み、議場で丁々発止をやらなかった報いでもある。

高島氏に欠如する「資質」、「人格」
 自民党市議団の最大の過ちは、市政トップにとって最も重要視されるべき問題を軽んじたことである。
 政治家に求められるものが二つある。まずは「資質」、そして「人格」だ。東京都議会では女性蔑視の野次が問題となり、兵庫の前県会議員は政務活動費の不正を暴かれ、テレビカメラを前に号泣して世の顰蹙を買った。いずれも、政治家としての資質が欠けていたことはもちろんだが、「人格」に問題があったことが歴然としている。

 翻って高島氏はどうか。市議会開会中に、ホテルのフィットネスクラブで遊んだあげく、厳重注意した議会を逆批判。出張で利用する航空機のファーストクラス(JAL)・プレミアムクラス(ANA)でふんぞり返り、はては東京出張の度に、片道分の旅費を自己負担してプライベートに利用していた。「公人失格」の市長に、合格点が与えられるとは思えない。

 組織を動かすにあたり、最後にモノを言うのはトップの「人格」だ。しかし高島氏は、面倒なことはすべて職員任せ。トラブルが起きる度に、引っ込んで現場に責任を押しつけてきた。職員が不祥事を起こせば、平然と「腐ったミカン」と罵倒し、禁酒令で人権まで侵害する……。「この人のためなら」、「市長が言うのなら」――現在の市役所に、そういった形で高島氏を慕う職員がいないことを、職員から上がる怨嗟の声を、市議たちが知らないはずがない。

 先月23日の福岡市議会。平成22年に行われた福岡市長選の選挙公報に「未入所児童の解消」を明記していたことから、待機児童をゼロにしても「公約達成」とは言えないと指摘された市長は、「選挙公報は公約を書き写すものではなく、たくさんある中から切り取ってわかりやすく表現するもので、イコール公約ではない」と言い放った。こちらは有権者無視。資質、人格、ともに欠如した市長に、2期目を任せるなど愚の骨頂。歪んだ市政の責任は、高島氏の愚行を止められなかった自民党にもある。

 26年も前の話になるが、在任期間69日で宰相の座を追われた政治家がいた。原因は女性スキャンダル。三本指で金額を示し、女性を口説いたとされる。政治家としての資質というより、「人格」が否定されたケースだった。さて、高島さんは大丈夫なのか?



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