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疑惑の出張(中) 「首都圏の夜」満喫する高島福岡市長

2014年7月29日 08:45

フィットネスクラブのプールで微笑む高島市長 東京への公費出張にかこつけ、片道分の旅費を自己負担する形で、首都圏でのプライベートタイムを満喫していた高島宗一郎福岡市長。正式日程での宿泊とは別に、1晩から多い時で3晩、余分な自由時間を確保していた格好だ。旅費の半分は税金を原資とするもの。どう見ても「公人失格」である。
 問題は、自己負担での東京滞在のほかに、本来の日程に組まれた「東京滞在」があったこと。改めて宿泊の形態を整理し、一覧表にしたところ、市長の東京へのこだわりぶりが浮き彫りとなった。
(写真は、フィットネスクラブのプールで微笑む高島市長。市長本人のFacebook投稿より)

平均で月3回以上は「首都圏の夜」
 公費支出を伴う正式日程での前日宿泊を「公用前泊」、私用による前日からの宿泊を「私用前泊」とする。同じように、公務終了後に航空便の都合で帰福が間に合わなかったために生じたものを「公用後泊」、市長の勝手で東京に残ったケースを「私用後泊」として、平成25年1月から今年6月1日までの出張の記録を整理した。それが下の表だ。

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 前稿で指摘した通り、私用のための前泊や後泊がもたらすのは、夜の自由時間。旅費の半分を公費に頼って作り出されたプライベートの夜は、1年半の間に最低でも27 回。これに、正式な日程にある宿泊日の夜などを加えると、60回前後の夜を東京で過ごしていたことになる。18か月間の集計であることから、月3回以上は「首都圏での夜」を楽しんでいた計算だ。

日帰り出張 無理やり「泊まり」に
 驚いたことに、38回にのぼる東京出張のうち、日帰りはたったの2回。なんと、予定では日帰りのはずの8回の出張に、私用での前泊を6回、私用での後泊を4回も加えて、泊りの出張を無理やり作り出していた。日帰り予定に、私用の前泊と私用の後泊を付け加えて、東京滞在を2日間にしたケースも2回ある。こうなると、もう病気としか言いようがない。

 役所の作成した文書だけに、出張命令書の記述自体に、虚偽や不自然な点はない。ただ、市長の東京への執着が強いばかりに、実態が分かりにくくなったケースがある。今年5月28日から6月初めにかけての2度にわたる東京出張がそれ。28日に福岡を出発した市長は、中小企業庁訪問の後、「日本地下鉄協会理事会・通常総会・懇談会」に参加。夜が遅かったらしくそのまま都内に宿泊し、翌30日の早朝に帰福。そして、夕方になって今度は自費で東京へとんぼ返りし、そのまま宿泊していた。市長公用車の「運行表」にも、この動きを裏付ける記載がある。このため、5月31日からの別の用務のための東京出張は、起点が「都内」となる。福岡に帰ったはずが、翌日は東京都内が起点――一見すると不自然のようだが、市長の行動を細かく見ていくと命令書の記述が正しいことが分かる。それにしても、市長の東京好きは、ただ事ではない。

市役所にいない「市長」 職員から厳しい批判
 そもそも、高島氏の出張は、歴代市長に比べ異常に回数が多い。海外、国内と飛び回り、私用も含めると年の半分近くは市外といった状況。福岡市に市長の在庁日数を示す文書を情報公開請求したが、特別職であるという理由で「不存在」。何日登庁したか、公式には分からないのだという。職員からは、「なかなか市長と話す時間がない」という愚痴が漏れることもしばしば。腰の定まらない市長であることは、疑う余地がない。これでは市民の暮らし向きのことなど分からないだろう。

 今回明らかとなった市長の東京出張の在り方について、市の関係者はどう見るか。話を聞いてみた。
「噂には聞いていたが、これほどとは……。ちょっとあり得ない。職員の出張は、往復して復命して完結。往復のうちのどちらかが私用で切れている命令書など見たことも、聞いたこともない。職員が同じことをやったら、首がかかる話。特別職だから許されるというものではないだろう。問題は、そこまでして作ったプライベートの時間に、何をやっているかということ。遊びなら即刻辞任を要求されても仕方がない。公文書に『私用』とかいてあるのだから、『私用』なんだろう。公人としての意識が欠如しているとしか思えない」(50代 男性幹部職員)

「市長は、議会で追及される前に、説明責任を果たすべきでしょう。片道(分の旅費)を公費で賄っている以上、それは公人としての義務。私用で何をやっていたのか、少なくとも遊びではなかったという証明がなされない限り、アウト。どこぞのウソ泣き県会議員と同じレベルの話ではないですか」(40代 男性職員)

「不祥事を起こした職員を『腐ったミカン』と言ったのはどこの誰だったか・・・・・。いかなる理由があろうと、公と私の区別はきちんとつけるべき。私用なら、いったん地元に戻って出直すのが筋だろう。片道分の航空券代を税金で賄ってもらおうなど、浅ましいにもほどがある。恥を知れと言いたい。これが150万都市のリーダーかと思うと、情けなくなる。会見で釈明するなり、得意のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で、反論してみればいい。どんな言い訳を並べても、税金を使って私用をこなしたのは事実。素直に謝るべきだろう。もっとも、謝った瞬間に、2期目はなくなるだろうが」(30代 男性職員)

 高島氏の市長就任以来、市職員の不祥事が後を絶たない。事件・事故が起きる度、市長は一方的に職員を罵り、ある時は「腐ったミカン」とまで言った。しかし、多くの職員が、高島氏の市役所内や東京でのわがままぶりを知っており、改めて示された公費利用でのプライベート創出に、話を聞いた職員たちは怒り心頭の様子。これまで伏せられていた事実を、ポツリポツリと語り出す職員もいる。市長選を前に、高島氏の化けの皮が剥がれようとしているのは事実だろう。

 ところで、市長の東京出張には、さらに大きな問題が隠されている。この点について、次の配信記事で詳しく報じる予定だ。



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