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画像8枚に220万円 福岡市の非常識
~中央保育園移転に絡み~

2014年4月11日 07:00

請求書(一部) 福岡市(高島宗一郎市長)が約13億円の公費を投入して進めている認可保育所「中央保育園」(運営:社会福祉法人福岡市保育協会)の移転事業に絡み、とんでもない税金の無駄遣いが行われていたことが明らかとなった。
 移転事業で最大の弊害となったのは、周辺道路の狭さ。移転強行を決めた市は、新たに歩道部分を造るとして、市民にそのイメージ図を公表したが、その折に使用された画像作成を、法外な値段で外部に委託していた。無駄遣いの実態は……。

8枚の画像に220万円の税金
 福岡市への情報公開請求で入手した、ある業務委託の「成果物」を確認したところ、「15枚」の画像が出てきた。7枚は新たに整備されている新中央保育園周辺の現況写真、他の8枚は、現況写真に人や歩道、新園舎のイメージパーツを埋め込んだ加工品だ。下の14枚の写真のうち、左側はすべて移転予定地周辺の現況写真。そして、それぞれの現況写真に、道路整備後のイメージを乗せたのが右の画像だ。別に類似のイメージ画像が1枚あるが、ここでは省く。

法外な値段のイメージ図

 15枚の画像は、市が発注した仕事の「成果物」。仕事の正式名称は、「今泉719号線パース作成業務」。驚いたことに、契約金額は『2,205,000円』となっていた。たった15枚の画像に、200万円以上かかったというのである。下がその証拠。業者から市に提出された請求書だ。

請求書

 画像加工は、パソコン上で画像編集ができるコンピューターソフトがあり、一定の技量を持つクリエイターがいれば、容易に済ませることができる仕事。だが、これら14枚と類似のイメージ画像1枚を加えた計15枚は、福岡市が業者に依頼した業務の「成果物」なのだ。

 念のため市側に元データの所有先を確認したところ、現況写真も園舎などのパーツデータも、市側が業者に提供したという。すると、この業務を引き受けた業者の仕事は、現況写真に与えられたパーツを書き込んだだけということになる。わずか8枚の画像作成に220万円。1枚当たりにすると275,000円の計算となる。どう見ても税金の無駄遣い。非常識と言っても過言ではあるまい。

 問題の画像制作は、昨年7月に市が発注したものだ。中央保育園移転予定地の全面道路の幅が5メートル程度しかなく、園児の通園時の安全が確保できないと批判が集中。あわてた市が、歩道整備を行うとして公表したのが「成果物」である8枚の画像である。場当たり的に行った業務委託だったため、法外な金額での契約になったとみられる。市側は、“3者による見積もり合わせ”の結果だとしているが、画像編集のプロはこの話に苦笑する。

「ぼったくりでしょう。元データは市のもので、業者は画像を加工するだけの仕事ですよ。園舎のイメージなどの重要なパーツから作り上げたとしても、こんな値段にはならない。データをもらっての仕事ですから、ふっかけて20~30万。大手でも60万円がいいところ。それでも高いと言われるでしょうね。220万円とは……」(20代クリエーター)

 無謀な保育園移転計画は、次々に余分な税金投入を呼んだ。工期遅れで生じた約3,600万円の追加工事費、移転予定地での大気汚染調査(約200万円)、防犯カメラ設置(約73万円)、そして、どさくさ紛れに8枚で220万円もする画像作成……。高島市政は、市長の顔つくりにために、市民の暮らしを守るための税金を湯水の如くつぎ込んでいるのである。

 ところで、この高額な画像をめぐっては、さらに重大な問題が浮上している。詳細は次稿で――。



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