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天下り法人「福岡県建設技術情報センター」の荒稼ぎ
包括外部監査で厳しい指摘

2012年6月15日 10:30

福岡県建設技術情報センター 平成23年度に行われた県の包括外部監査で、これまでHUNTERが報じてきた福岡県の天下り法人「財団法人 福岡県建設技術情報センター」(篠栗町)による税金無駄遣いの実態が証明される形となった。

 監査結果では、同法人が県や市町村から委託された業務の大半を民間企業に再委託し差額を抜いて巨利を得ていたことや、不足した職員を民間業者からの派遣でまかなうなど公益法人とは思えぬ運営が続いていたことが明らかにされている。

巨額内部留保 国の指針に抵触
 同センターの事業収入は年間約14億円から16億円。しかし、平成22年度末の時点で、現金預金が約5億1,817万円、資産合計は約16億円にまで膨れ上がり、県の経営評価委員会から改善を要求されていた。

 今年4月に県が公表した福岡県建設技術情報センターに対する包括外部監査(平成23年度)の結果では、巨額な内部留保について「公益法人の設立許可及び指導監督基準の運用指針」(公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚会議幹事会申合せ。平成8年)に定める水準を超えていることが明記されており、公益法人としての適格性に疑問符をつけた格好だ。

 指針では、内部留保の水準について《原則として、一事業年度における事業費、管理費及び当該法人が実施する事業に不可欠な固定資産取得費(資金運用等のための支出は含めない)の合計額の30%程度以下であることが望ましい》としており、この基準に照らせば同センターの内部留保金は3億円程度が限度ということになる。現金預金が5億円以上ある現状では、2億円以上のオーバーだ。

民間への再委託で巨利
 巨額な内部留保が生じた最大の要因として、自治体から委託された業務を民間企業に安く再委託し、差額をピン撥ねしてきたことが挙げられる。

 監査結果には《県と本団体との契約は財団法人福岡県建築住宅センターとの2者見積もりによる随意契約により行われており、その大部分が民間企業等に再委託され、本団体が多額の収入を得ている》と述べられている。

 さらに、同センターが自治体から委託された建築工事の積算、現場技術業務、耐震診断といった「建築技術支援業務」のうち、とくに耐震診断の大半が再委託されていることや、再委託にかかる事業費支出が6割にものぼることも指摘しており、当初の委託料のうち4割がピン撥ねされていることを示している。

 これまで県や同センターは、記者の数回にわたる情報公開請求に対し、再委託契約の数字を非開示にするなどその実態を隠蔽し続けてきた。外部監査で初めて概要が明らかになったことをきっかけに、契約ごとの詳細な検証が必要となることは言うまでもない。

法外な日当の存在
 自治体からの業務委託料と民間企業への再委託との差額を膨らませているのは、法外な日当にも原因がある。

 先月、HUNTERの情報公開請求によって、同センターが県から委託された耐震診断にかかる費用で、日当として51,800円(技師長)、38,900円(技師A)、31,600円(技師B)、26,200円(技師C)、22,700円(技術員)など高額な金額を設定していたことが判明した。建設物価に従ったとの主張もあるが、原資が税金である以上、51,800円の日当など到底許される話ではない。

 包括外部監査でも明確にその点を改善するよう結論付けている。
《耐震改修促進事業について、事業費の8割を超える部分を再委託している状況が近年相当期間継続し、その期間に内部留保が増加していることから、県は、委託料の水準について検討し、委託金額に応じた積算の実施など必要な範囲を超える利益が発生しないような仕組みを構築すべきであったと考える。
今後は耐震改修促進事業に係る委託料は大幅に減少するとのことであるが、他の委託事業についても同様に、委託料の水準等について見直す必要がないか検討することが望まれる》(同監査結果『改善案』より)。

問題多い民間コンサルからの派遣受け入れ
 包括外部監査の結果、公益法人としての存在意義を問われるような運営実態も明らかとなっている。

 同センターの主業務のひとつである公共工事の積算や現場技術業務といった「土木技術支援事業」についての記述だ。
《この事業の実施に当たり、補助業務について、人材派遣会社に人材派遣を依頼し、負担金を支出している。事業費用に占める負担金の割合は平成19年度以降5割を超え、平成21年度及び平成22年度は6割を超えている》。

 同センターに確認したところ、民間コンサルからの派遣は数十人規模であることを認めている。つまり監査結果は、直接民間企業に業務を委託した方が安上がりになることを示唆しているのである。
 民間コンサルからの派遣受け入れをめぐっては、多くの関係者から「これでは公益法人に仕事を委託する意味がない。はじめから民間企業に業務を委託した方が安上がりだ」との意見が寄せられていた。
 税金の無駄遣いや民業圧迫につながる同センターの運営状況は、早急に改善されるべきであろう。

問われる存在意義 
 包括外部監査による一連の指摘について、建設技術情報センターに話を聞いたが、膨らんだ内部留保金を県に返納することはせず、市町村支援を目的としたIT関連の新規事業などに資金を回すことなどを考えているという。

 しかし同センターは、県幹部OB2名が理事長など常勤役員に就任しているほか、県職員30名以上が派遣されており、"県の出先"と言っても過言ではない状態だ。組織維持のため多額の税金が無駄に費消されることはあってはならない。
 同センターの存在意義について、さらなる議論が求められている。



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