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“嘘つき安倍政権”を倒せぬ野党の現状

2018年5月23日 09:15

8af47d3e1469444682567b07fd6704149c314769-thumb-230xauto-24414.jpg 学校法人「加計学園」の獣医学部新設を巡り、安倍晋三首相が、加計孝太郎理事長と2015年2月25日に面会したとする愛媛県職員作成の新文書が見つかった。加計の獣医学部新設を知ったのは「昨年1月」としてきた安倍晋三首相のこれまでの主張を真っ向から否定する内容だが、首相は「会った事実はない」として新文書の記述を否定している。
 “嘘つき政権”によって強引な幕引きが図られる度に新たな事実が発覚し、疑惑が再燃する展開だが、国会で追及する野党の力不足が真相究明を長引かせている原因の一つであることは間違いない。野党の現状とは……。

◆「野党」が自民党に救いを求めた
 今月中旬、衆参両院の議員秘書らで構成される「秘書協議会」の役員会が開かれた。興味深かったのは、分裂した野党のベテラン秘書からの要望。立憲民主党や国民民主党、希望の党など政党に入った議員には影響のない話なのだが、「無所属」となった議員は政党助成金がもらえなくなるため、「私設秘書」を雇い続けることができなくなる。首を切られる秘書らから、「どうか助けてもらいたい」という悲痛な訴えが相次いだ。

 行き場所がなくなった秘書たちの希望は「安定している自民党」の議員。自民党秘書会の事務局長に紹介してほしいと陳情する一幕もあったという。野党側が自民党に救いを求めた形だ。

 “魔の3回生”を抱え、森友や加計学園問題で揺れている自民党が「安定している」というのもおかしな話だが、分裂を繰り返す野党に比べれば「まだまし」(無所属議員の秘書)ということらしい。

◆全野党支持率、自民の3割の現実
 原因は野党がだらしないからなのか――。かつて野党には“国会の爆弾男”といわれた楢崎弥之助氏など、独自に入手した情報をもとに質問を組み立て、政権を追い込む議員がいた。1年以上もモリカケ問題を追及しながら、メディア報道の追認しかできない現在の野党議員は確かに力不足だといえるだろう。

 直近で行われた時事通信の世論調査で政党支持率は、自民党が前月比1.5ポイント増の26.8%、立憲民主党が同0.1ポイント減の5.0%、公明党4.4%、共産党1.7%、日本維新の会0.7%、社民党0.4%、自由党0.2%。結党後初の調査対象となった国民民主党は0・6%で、旧希望の保守系議員が結成した希望の党は0・2%だった。野党全体の数字を足しても8.8%。自民党26.8%の3割程度でしかない。“嘘つき”の代名詞となった安倍政権に依然として30%の支持があるのは、こうした野党の姿の裏返しなのだ。

◆国内政党が抱える構造的問題
 確かに野党がだらしない側面はあるが、より深刻な構造的原因もある。アメリカ、イギリスの保守政党は小さな政府を目指し、経済や社会に対する国家や政府の介入を最小限にして、市場原理に任せる。アメリカの共和党やイギリスの保守党がそれである。小さな政府では、経済は活発になるが、格差が大きくなりやすいという側面もある。

 それに対し、リベラル政党は大きな政府を主張し、国の役割を最大限発揮して社会保障を手厚くする。税金もたくさん使い、規制も多い。アメリカの民主党、イギリスの労働党がそれである。

 一方、日本の自由民主党は「保守政党」と認識されているが、大きな政府を志向しており、バラマキも多い。アメリカでもできない国民皆保険制度は、大きな政府の証だろう。日本では激しい競争を奨励する「保守政党」は受け入れられず、自民党は巨大な中道政党となっているのが実態だ。

 以前は政権交代がない代わりに、自民党内が主流派と反主流派に分かれ、反主流派の「派閥」が野党的役割も果たしていた。アメリカやイギリスに国政政党として存在しない共産党の存在も、リベラル政党の存在感を薄める役割を果たしている。つまり共産党以外の野党は、座標軸で狭い範囲にしか存在価値がないこととなる。野党にとっては、生存しにくいシステムが出来上がっているということだ。ごく希にスキャンダルで政権交代が起こることがあっても、すぐに自民党政権に戻ってしまうのは、日本の政治体制の特殊な構造によるものと言えるだろう。

 モリ、カケ、日報で崖っぷちに立たされている安倍政権に、多くの国民が愛想を尽かしているのは確かだ。だが、「代わりの政権」を問われて、立憲以外の野党の党名を思い浮かべる人が少ないのも現実である。原発や憲法で、明確な方向性を打ち出せない政党に、有権者が国の未来を任せようなどと思うはずがない。

 立憲や共産以外の野党――とくに国民民主党――に求められているのは、支持基盤である労働組合の意向に引きずられることなく、国民の思いを汲み取る政治を目指すことだ。無所属になった議員たちも含めて大同団結することこそ、野党に与えられた責務ではないのだろうか。



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