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元自衛官が語る「日報問題」

2018年5月 1日 07:35

0423_jieitai-thumb-250xauto-24294.jpg  大型連休に入り、休戦状態の国会。韓国と北朝鮮の歴史的な歩み寄りの前に霞みがちな内政だが、政権を揺るがす森友、加計、日報といった問題は、何一つ解決していない。
 このうち、“ないはずの文書が出てきた”という点で同じなのが財務省と防衛省。隠蔽があったのは明らかだが、国民が納得できる説明はなされていない。
 そうしたなか、自衛隊の元3尉が「黙っていられなくなった」としてHUNTERの取材に応じ、日報問題について語った。

◆あり得ない「日報不存在」
 今年に入り、在庫一掃セールのように、自衛隊で「発見」が相次いだ。“なかった”はずの南スーダンPKO派遣(2012年1月~17年5月)やイラク派遣(03年12月~09年2月)の日報である。文民統制(シビリアンコントロール)の不徹底に言及する安倍政権だが、「日本の政治家たちは、そもそも“記録がない”“廃棄した”などという状況自体が、“統制不能”であることを理解していない」と彼は言う。

 南スーダンPKO派遣の日報をめぐっては16年10月、日本人ジャーナリストが防衛省に対し同年7月7日から12日までの日報を情報公開請求し、同省は12月2日に“廃棄による不存在”を理由とする非開示決定を出していた。過去、自衛隊に籍を置いていた元3尉は、この時点で強烈な違和感に襲われたという。
「後になって現場の問題が発覚した場合、当然、検証作業が行われます。何故そうなったのか、調べる必要があるからです。しかし、半年も経たずに行動記録が廃棄されるということは、実働任務にあたっている自衛官が、現場で何をしているかを把握する必要がない(興味がない)と言っているに等しい。前線の状況を把握しない(できない)後方の指揮官はいないのも同然で、組織的な行動なんてとれるわけがなく、もはや統制どころの騒ぎではありません。組織を機能不全に陥れた指揮官は、管理能力不足の責めを負います。そもそも日報などの行動記録は、有事、平時を問わず厳重に保管されているものなんです。日報を廃棄するはずがないことは、自衛官なら誰でも知ってます」

◆自衛隊は薬きょう1個も回収
 元3尉は、「誤って廃棄するということもあり得ない」と断言する。自衛隊では、教育訓練から徹底して管理能力が鍛えられ、行動だけでなく支給される物品1つに至るまで徹底した管理が求められるからだという。
「自衛隊における射撃訓練では、小銃を撃った後の薬きょうを1つ残らず回収します。たとえ1発の弾丸でも所在を把握しなければならない。把握ができなければ、紛失(流出)があっても気づかないという問題にもつながるからです。笑い話に聞こえるかもしれませんが、無頓着な米軍がまき散らかした薬きょうの中から、自分が撃った薬きょうが見つかったという例もあるんです」

◆日報を隠した理由とは……
 特定の場所だけが探す対象から外れていた、ということもあり得ないのだという。自衛隊は徹底して探すのが仕事のようなもので、実際に、今年2月5日に発生した佐賀県神埼市の陸自ヘリ墜落事故では、事故現場周辺を目達原駐屯地の陸自隊員が集団で捜索活動を実施し、田畑や用水路の中から空中で散ったヘリの部品を徹底的に回収している。元3尉は言う。 
「その自衛隊において、命令を受けて『外付けハードディスクのなかは見ていなかった』とか、“そもそも捜索すらしていなかった”ということはあり得ない。自衛隊への理解と期待が高まるなか、今回の日報問題に、筆者と同様の違和感を抱いた国民も少なくはないはずだ。

 「日報が出てきた時、『やっぱりあった』というのが正直な感想でした。むしろ悪い意味での“統制”が効いていたのではないか。あって然るべき日報。見つからなかった、いや見つけなかった理由が必ずあるはずです。それは、日報が公開されることが誰にとって都合が悪いかを考えれば明らかでしょう。前線の状況を把握しておくべき文民統制のトップは誰か。答えは簡単なんです」



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