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稲田と籠池―「教育勅語の何が悪い」の愚かさ

2017年3月10日 09:20

1-hutari.jpg 日が経つにつれ疑惑が深まる森友学園問題。登場する人物のキャラクターが特異なのと、日替わりで飛び出す詐欺的手法の多さに、通常ではあり得ない国有地払い下げの経緯や、非常識極まりない学校法人に何故小学校の「認可適当」の判定が出たのかという本質的な問題はぼやけがちだ。
 そうした中、8日に稲田朋美防衛相が参議院予算委員会で、9日には学園理事長の籠池泰典理事長が記者団の前で、信奉する「教育勅語」について語った。両人に共通するのは「愛国」を盾にしていることである。

■そろって「教育勅語」賛美
 8日の参院予算委員会。稲田氏は、森友学園絡みの質疑の中で「教育勅語が言っているところの、日本が道義国家を目指すべきというその精神をですね、それは目指すべきという考えは、いまも変わっていない」と明言した。2006年には、月刊誌の対談で「教育勅語を素読している幼稚園が大阪にある。どこがいけないのかと文科省に聞いた」とも述べていたことが明らかになっている。

 一方、渦中の籠池氏は、大阪府の役人が視察に訪れた「瑞穂の国記念小学院」(豊中市)建設予定地で、記者団に囲まれながら滔々と持論を展開。その中で「教育勅語の何が悪い。12の徳目があって、自分のことは捨ててでも人のために頑張りなさいという、教育勅語のどこが悪い!」と吠えたてた。関係を疑われる両人が、そろって教育勅語を賛美した格好だ。

1-教育勅語発言.png

■道義国家と愛国心
 稲田氏の発言に出てくる「道義」とは、人のふみ行うべき道。つまり道徳と同義で、稲田氏が国会で発した「道義国家」は、安倍首相とともに憲法改正を推し進めようとしている極右団体「日本会議」の関係者がよく口に出す言葉である。道徳を国家の軸に据えるということであり、この理念を示したのが、明治23年に発布された「教育勅語」。その道義・道徳を具体的に示したのが、籠池氏が言う「12の徳目」になる。

 教育勅語が説く12項目の徳目とは、親への孝養、兄弟・姉妹間の友愛、夫婦の和、友との信義、謙遜、博愛、修学、智能啓発、人格の向上、社会奉仕、順法、義勇。これだけなら、たしかに「何が悪いんだ」は説得力を持つ。だが、問題は12の徳目の先にある教育勅語のもっとも重要な部分――『一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ』――にある。簡単に言えば、≪もし国家に危険が迫れば正義と勇気の心をもって公=国家のために働き、皇室を助けよ≫ 。現人神である天皇こそ絶対。進んで命を捧げよというのが戦前の国家方針だった。教育勅語は、「歪んだ愛国心」を育てるための“道具”だったと見るべきだろう。これは“悪い”に決まっている。だからこそ、衆参両院が教育勅語の廃止を決議しているのである(1948年=昭和23年)。

 稲田氏も籠池氏も、目指しているのは愛国心に裏打ちされた道義国家。両人を含め安倍首相や日本会議は、愛国心の醸成こそが「教育」だと信じている。理想としているが、戦前の日本の姿であることは言うまでもない。教育勅語の理念が戦前の日本をどれだけ歪めたのか――。理解していないとすれば、彼らに政治や教育を語る資格はあるまい。

■愛国は悪党の隠れ家
 記者の質問に答えず、自己主張ばかり繰り返す森友学園の理事長の姿は、非を認めず暴走した戦前の軍部そのもの。「戦闘」を「武力衝突」と言い張る稲田防衛相の姿勢とも重なる。こうした輩が最後に言い出すのが「愛国心」であり、「教育勅語の何が悪い」なのだ。「愛国心は悪党の最後の隠れ家」――イギリスの文学者サミュエル・ジョンソンの言葉である。



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