政治・行政の調査報道サイト|HUNTER(ハンター)

政治行政社会論運営団体
社会

問われる「AOKI」の企業体質
― 「疑問」「被害」訴えるメール続々と ―

2014年4月15日 08:30

 先月、スーツ販売をめぐる詐欺行為が明らかになった紳士服販売業界2位の「AOKI」が、開き直りともとれる姿勢をみせている。
 AOKI側は、問題となった事案を、セール品が完売したという「店長の誤認によるもの」として、事実上詐欺行為を否定。さらに、4月8日には紳士服販売を行っている株式会社AOKIとAOKIグループを統括するAOKIホールディングスが、ホームページ上で「株式会社AOKI」の社長名による見解を公表。詐欺行為には一切触れず、「ご満足いただける対応ができませんでした」などと、自社に都合のいい内容を主張している。
 そうした中、一連の経緯を報じたHUNTERに、「疑問」や「被害」を訴えるメールが殺到。さらに、元AOKI従業員らの告発が相次ぐ事態となっている。送られてきたメールのうち、代表的なものや直接取材ができたケースを中心に、順次報じていく。

露わになった「顧客切り捨て」の姿勢
 AOKの詐欺行為が発覚したのは先月29日の土曜日。この春大学に進学する女子学生に送付した印刷物に、ブラウス、バッグ、靴、ストッキング、スーツ上下の5点セットを、土日祝の各日5組に「19,000円」で販売すると記しておきながら、実際には2組しか売れていないにもかかわらず、完売であると偽って高額なスーツを販売していた。一連の経緯から詐欺行為であることは明らかで、景品表示法にも抵触しかねない悪質な手口だった。

 たまたま女子学生の父がHUNTERの記者だったことから、詐欺行為が発覚。その後、株式会社AOKIの役員がHUNTERの記者と面談し、形ばかりの説明と謝罪をしたが、記者は納得せず、改めて代表者であるAOKIの社長に事の経緯を説明する文書を求めていた。

 一連の動きを報じたHUNTERの記事が大きな反響を呼んだことを受け、AOKIは自社の体面を守るという後ろ向きの選択をしたようだ。下は、今月8日に株式会社AOKI及び親会社のAOKIホールディングスのホームページ上に掲載された一文。「福岡清水店の件」と題されたこの公表文には、冒頭にこうある。

≪この度、AOKI福岡清水店において、フレッシャーズ限定セット商品(各商品5点で 19,000 円セット)をお探しのお客様に対し、ご満足いただける対応ができませんでした

 AOKIという企業の体質を如実に物語る一節である。AOKI福岡清水店が行ったのは、客側からすると紛れもない詐欺行為。満足できるとかできないとかいう次元の話ではない。しかし、AOKIの社長は、このケースをまるで小さなトラブルがあったかのように扱っており、見方によっては単なる「クレーム」といわんばかりの表現だ。顧客を切り捨てて、保身を優先した結果だろう。
 信用を失ったことに何の反省もないばかりか、自社の体面を取り繕う姿勢は、最低と言わざるを得ない。

AOKI「福岡清水の件」

≪この件につきましては、直接お客様と真摯に対応してまいります。また、当社としてはより一層の顧客満足に努めてまいります≫――なんとも白々しい宣言だが、AOKIは、HUNTERに寄せられている顧客の声をどう受け取るのだろうか……。

続々と「疑問」「被害」訴えるメール
 今回と同様の手口で高額な商品をつかまされた他の学生や社会人が少なくないとみられていたが、案の定、多くの読者から「疑問」や「被害」を訴えるメールが次々に送られてきている。

 北海道の読者から寄せられたメールは次のようなものだ。

 以前、詐欺行為とまでは言いませんけれども、地元の店舗で、意図的な説明不足を感じたことがありました。店員が「スーツもう一着買っていただくとプラス千円で購入出来ます」というので、一着目のスーツ(40,000円程度)と一緒に別のスーツをレジに持って行くと会計は61,000円。理由は二着目スーツの価格が60,000円なので、それに一着目のスーツを1,000円に換算して合計61,000円とのことでした。同じ列に吊っていたスーツをあたかもすべて同等のものであるかのように誘導する方法には疑問を持ちました。少なくとも価格が異なるという説明はありませんでした。今回の問題が業界体質を明らかにしていく良いきっかけになればと思いながら読ませていただきました。

 「2着目1,000円」はAOKIでよくあるセール企画。メールの読者と同じように、店側から勧められたスーツが高額で、結局5万~6万円以上の買い物になったというケースが多かった。高いほうの値段に誘導することを、AOKIが組織的に行っている可能性も否定できない。

 次は埼玉県の読者から。

 記事、大変興味深く読ませていただきました。なぜなら私が経験したできごとにそっくりだったからです。10年以上前の2000年、私も似たような状況で埼玉県のAOKIを利用しました。当時も新社会人のためにセット販売をしておりましたが、やはりセットは売り切れたとのことで75,000円ほど請求されました。私は不覚にも詐欺と気づかずその金額を払ってしまいましたが、今思い返すと不可解なことが多かったと思います。このような追求は社会的意義がとても大きいと思います。

 このケース同様、セット商品が本当に完売していたかどうかは不明だが、企画に誘われ店舗に出向き、結果的に高い買い物をさせられたという読者の声は後を絶たない。セット企画が、顧客獲得の道具であることはまちがいなく、そうなると「完売」と偽って高額商品を押し付けた、福岡と同じような詐欺行為が行われていた疑いも生じる。

 愛知県の読者からも、AOKIの商法に疑問が寄せられた。

 私も数年前に同じような経験をしました。先着5着というチラシをみて開店前から並びました。いざ開店して商品をみてびっくり。わずか数着のスーツ(スーツの他にもジャケットなど)が並びしかもサイズは選べない。そこに並んでいる商品のみと言われました。なんなんだと思いながらも 、せっかく並んだし、ここまで来たからと結局別の商品を購入して帰りました。一番乗りで並んだ方も、商品の少なさに驚いていましたが、やはり別のものを買って帰られたようでした。今思うと、売れ残りの在庫処分商品を並べ、客寄せしていたとしか思えません。値段も割引してお得になっているようですが元値も疑わしいです。今回の記事を見て、見抜けなかった事が悔しいと思っています。

 このメールを送っていただいた読者の方に話を聞いてみたが、AOKIでスーツを購入したのは、息子さんの就職が決まったためだったという。記事を見た息子さんも当時の状況をよく覚えており、親子でAOKIの商法について話し合ったそうだ。AOKIの販売手法が、新たなスタートを切ろうとする顧客に不快な思いを抱かせた点、福岡や他県の事例と同じだといえよう。それにしても、AOKIの「先着5名」はどれも胡散臭い。

目立つ「女子大生」の受難
 そして、詐欺行為が明らかとなった福岡県のケースと同じような目にあったという女子大生からも、直接話を聞くことができた。3月中旬、東海地方の店舗での出来事である。

「私も記事の学生と同じようにAOKIから届いたはがきに書いてあった19,000円のセットを買いに行きました。口下手というか人と話すのが苦手な私は、そのはがきを持ってお店に向かいました。店員さんにはがきを見せて、『このセットをください』と伝えました。すると、店員さんは「少々お待ちください」と言ってスーツ一式を持ってきたのです。

 試着し、サイズもいい感じだったので会計に進みました。もちろん私は19,000円のセットだと思っていましたから、20,000円を財布から取り出していました。しかし!なんとレジ表示されてたのは69,000円!私が『え?これは19,000円のセットじゃないんですか?』と聞くと、「いいものはいいので」の一点張り。とても変更してもらえる雰囲気ではありません。

 というか会計前から商品のタグが切られていたので、はっきりと『変えてください』とも言えなかったのです……。一緒に行ってくれた私の親も驚いていたのですが、タグも切ってしまっていて、店員さんがめんどくさそうに対応してきたので渋々購入。結局、予定の3倍以上の値段で買うことになりました。

 私が世間知らずで確認しなかったのも悪いのですが、最初に『この(19,000円の)セットをください』と言っているのですから、違う商品を黙って提供するのはおかしいと思います。AOKIの手口は本当に汚いと思いました。これ以上私や記事の方たちのような被害者が出ないことを祈ります。なんか愚痴みたいになってしまってすみません(笑)」。

 取材に応じてくれた女子学生は、商品購入時のレシートも所持しており、話に間違いはない。高額な商品を買った形となり、声を落として「親には申し訳ない思いでいっぱい」だと語ってくれた。

 このケースは、各日5セットが“完売した”という偽りを前提としたものではなく、流れの中で高額なスーツを押し付けるという販売手法。セット企画が、客寄せの道具となっているのがよくわかるが、同様の事例を知らせるメールが数十件寄せられている。特に目立つのが「女子大生」からの受難の声。AOKIは、若い女性に対し、かなり高圧的な商法を展開しているようだ。

 前稿で報じた関西在住の女子学生の声も、再掲しておきたい。

「私は昨年の秋、就職活動用のスーツが急に必要になったため近くのAOKIでスーツを購入することにしました。宣伝ハガキを持って行きました。そこで売り場の方にハガキを見せ、そこに書いてあった一番安い19,000円程度のスーツを購入したいとハッキリ伝え、見せていただきました。また、シャツや靴、鞄のセットが5,000円ほどで買えるものも一緒に購入したいことを伝え、そちらもお願いしました。

 はじめに不審を抱いたのは、スーツを見せていただいている際、一度も値段についてのお話がなかったことです。さも私が頼んだものを説明しているようでした。

 次に不審を感じたのは、試着が終わったとたん、すそ上げなどの加工をスーツに施し始めたことです。まだ値段も知らされる前にです。会計で、ようやく高額であることを知ったころにはスーツの加工はほぼ終わっており、「やっぱり止めますとは言えない雰囲気になっていました。他にも様々なやり方で値段を吊り上げられ、6万円以上の会計になっていました。

 当初3万円程度で済むと思っていたのでもちろん手持ちはありませんでしたが、3万だけでいいから残りは後で、という形になりました。

 どうしても納得がいかず、その日のうちに店に電話をかけ説明を求めました。対応した人間は私を担当した方でしたが、ヘラヘラしながら言を左右にするばかり。態度に真摯さが欠けていて憤りを覚えました。この日は結論が出ませんでした。

 翌日、やむなくAOKIのコールセンターへ連絡しました。そこでは話が通じ、お店で返金を受け付けてもらうことになりました。しかし私に対応した方は出てこず、店長らしき方から謝られ商品券と粗品を持たされ帰りました。被害には遭わず済みましたが、詐欺まがいの手口にはいまだに怒りがおさまりません。私も世間知らずで、至らない点もありましたが、このやり方は学生の足元を見た許せないやり方だと思います」。

 いずれも巧妙というより悪質と言ったほうがよさそうな手口。しかし、「これこそがAOKIの商法」だと断言する証言者が複数いる。次週の配信記事では、そうした元AOKI従業員たちへの取材結果を紹介する。



【関連記事】
ワンショット
 47年前と変わらぬ雄々しい姿が、そこにあった。太陽の塔。...
過去のワンショットはこちら▼
記事へのご意見はこちら
記事へのご意見はこちら
調査報道サイト ハンター
ページの一番上に戻る▲