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「WILL社」の広告塔に、初代タイガー・佐山聡氏や米米CLUB・石井竜也氏(下)

2018年12月 4日 10:00

20181204_h01-02t.jpg 時代遅れの「テレビ電話」(実際にはSIMカードのみ)を商品としたレンタルオーナービジネスを展開するWILL株式会社。内部告発によるとWILL社はすでに、SIMカードの購入代金をレンタル料として会員に還元する「自転車操業」状態に陥っており、早期破たんの可能性もチラつく綱渡り状態を続けているという。消費者庁も被害者の拡大を懸念し、今年9月から10月にかけて立入検査を実施している。
 そのWILLの拡大路線に大きく寄与したとされるのが複数のタレント・芸能人。それなりの方々が、人寄せパンダを演じていたことが分かっている。


■「あの人はいま」的芸能人を客寄せパンダに
 前回報じたのは、WILL社が会員獲得の手段としてマルチ商法のノウハウをフル活用しているという事実。会員を一人紹介することで4万円、さらに紹介した会員がまた別の会員を紹介すると1万円の収入があるなどと謳って、セミナーなどへの参加を勧誘していた。

 会員獲得の手段はマルチ商法そのもので、仮にWILL社が破たんすれば、投資した元本とともに紹介した知人や友人、あるいは家族関係すら失う可能性がある。WILL社が会員獲得の主なターゲットとしているのは高齢者であるため、ある消費者団体関係者は老後資金の流出とともに孤立高齢者の拡大を懸念する。

 今回は、WILL社がマルチ商法の勧誘を行うセミナーや講演会において、人寄せパンダ的に広告塔として活躍するタレント・芸能人らの実名を紹介する。

 下のラインナップをみればわかる通り、どの芸能人・タレントも「あの人はいま」的扱いをされることの多い、旬を過ぎた人物ばかり。広告塔を引き受けるにあたっては当然報酬が支払われており、テレビからお呼びのかからなくなった芸能人にとって割の良い小遣い稼ぎであることは間違いない。

・石井竜也(米米CLUB)
・川村ひかる(タレント)
・黒田アーサー(俳優)
・コロッケ(モノマネ)
・千昌夫(歌手/※来年招聘予定)
・野村将希(歌手・俳優/「水戸黄門」の飛猿役など)
・橋幸夫(歌手)
・美川憲一(歌手)
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WILL主催公演で歌う橋幸夫氏

コロッケのステージ

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野村将希氏 美川憲一氏

 米米CLUBの石井竜也やモノマネタレントのコロッケらはアゴアシつきでハワイで行われたチャリティーコンサートに招かれたといい、「石井氏については、●●が同行してきた」(内部告発より)などといったワイドショーが喜びそうな情報も寄せられている。

 こうした芸能人らは、WILL社が主催する全国大会や1泊2日セミナーなどに招かれて観客の間をまわり、気分を高揚させて「心理的ストッパーをはずさせる」(かつてマルチ商法に関与していた人物)役割を果たしているという。

 「タレントたちは通常、1回の公演で数百万円を受け取ります。コロッケさんは1時間の公演で500万円、米米クラブの石井さんは飛行機などの交通費を入れたら1000万円かけている。知名度の落ちたタレントに大盤振る舞いするんですから、彼ら(タレント)がどんな集会か知らないはずはありませんよ。マルチの公演は儲かるというのは、こうした人寄せパンダ芸能人の常識です」(同)。

 芸能人である以上、「自分たちは依頼を受けて芸を見せただけ。主催がどんな企業であっても自分たちには関係ない」という言い訳は、なるほど成り立つのかもしれない。しかし前回も指摘した通り、それらのタレントに支払われる報酬の原資は、高齢者らが「老後のため」あるいは「子や孫のために」と少しずつ蓄えた夢の軍資金だ。その事実を知ってもなお、「関係ない」と言い切れるのか。

 SIMカードの購入料金をレンタル料金にまわす「自転車操業」状態にあるWILL社は、そのカラクリを回し続けるために、常にSIMカード購入者を増やし続ける必要がある。たとえ月に20億円を売り上げたとしても、同規模か、あるいはそれを超えるレンタル料が発生した場合にはすぐに車輪が止まって、自転車が倒れる運命にあるのだ。

 資金繰りがひっ迫しているというWILL社の内情を知ってか知らずか、黒田アーサー氏のブログには、「僕も是非欲しいと思いました\(^o^)/」などと、積極的に購入を煽るような表現があったことも指摘しておきたい。

■山口県警がWILL社に太鼓判?の過去
 芸能タレントに混じって、40代以上の男性には懐かしいあのマスクマンの姿を見ることもできる。初代タイガーマスクこと、佐山聡氏だ。佐山氏を引っ張り出したのはWILLで相談役を務める新間寿氏。新間氏はかつて新日本プロレス時代に「過激な仕掛人」の異名をとったプロモーターで、現在でもプロレス界に太いパイプを持つとされる。

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左から、藤村博之・山口県警本部長、井川成正・下松市長、藤部秀則・山口県副知事、
佐山聡氏、大倉満氏(2015年当時)

 佐山氏はタイガーマスク時代に、優れた身体能力とアマレス技術を土台にしたアクロバチックな「4次元殺法」(空中戦)でファンを魅了し、プロレス番組がゴールデンタイムに放映されていたことも相まって国民的人気を得るまでに至った。その後は総合格闘技路線に転じた佐山氏だが、いつごろからか「武士道」を主軸にした右翼的言動が目立つようになり、2001年の参院選挙には自由連合公認で出馬(比例代表)し、落選していた。

20181204_h01-02uso-denv2.jpg WILL社の広報誌によると、WILL社の実質的代表・大倉満氏は新間氏を介して佐山氏の活動を支援するようになり、その一環として「タイガーポリス」活動を応援しているという。佐山氏は山口県ふるさと大使を務めており、山口県警犯罪抑止対策室長の竹内照勝警視(当時)をタイガーポリスに指名して、「故郷・山口県の方々をうそ電話詐欺の被害から守るために立ち上がった」のだという。大倉氏が代表取締役を務める株式会社WORLD INNOVATIONが製作したポスターには、佐山氏やタイガーポリスと並んで立った大倉氏が微笑んでいる。

 当時の山口県警が知っていたかどうかは不明だが、タイガーポリス活動が始まった2015年からさかのぼること4年前の2011年、大倉満氏が代表を務めるWORLD INNOVATIONの前身「ドリームバンク社」は、神奈川県警から詐欺罪などで家宅捜査を受けていた。

 家宅捜査からわずかな年月を経て警察公認キャラクターのスポンサーを務めるとは、大倉氏はある意味では「やり手」経営者なのかもしれない。WILL社や大倉氏がタイガーポリス活動を応援していること、さらに山口県警と太いパイプを持つことは広報誌にたびたび登場しており、購入を躊躇する客に対して「山口県警も太鼓判を押している」などのセールストークも行われていたという。

 「騙された方も悪い」。マルチ商法ではよく聞かれる言葉だが、県警幹部が「中の人」を務める「詐欺被害防止を訴えるキャラ」を後援する企業を疑ってかかれというのでは、消費者はいったい何を信用すればよいのか。ちなみに、WILL社・ブラジル支店の支店長は猪木啓介氏。アントニオ猪木参院議員の実弟である。

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