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レンタルオーナービジネスのWILLに過去最長の業務停止命令

2018年12月28日 09:20

20181228_h01-01.jpg HUNTERが追及してきた、WILL社(東京都渋谷区/中井良昇社長)のレンタルオーナービジネスについて、消費者庁が重い腰を上げた。
 同庁は12月21日 会見を開きWILL社の集客手法を特定商取引法違反にあたると指摘したうえで、過去最長となる15カ月間の業務停止命令を出したのだ。この問題をめぐっては同月5日の消費者問題特別委員会で、日本共産党の大門実紀史参院議員が早期の対策を求めており、その際にはHUNTERの記事(11月30日掲載分)が参考資料として配られていた。

■過去最長「15カ月の業務停止命令」の衝撃
 消費者庁は21日の会見で、WILL社を「willfonと称するテレビ電話専用のライセンスパック(カード型USBメモリ)の連鎖販売業者」とし、2018年12月21日から2020年3月20日までの15カ月間、連鎖販売取引にかかる取引の一部等を停止するよう命じたことを発表した。

 さらに消費者庁は、連鎖販売取引について特定商取引法で規定された義務に違反する行為があったとして、WILL社に対して2019年1月21日までに該当する行為の検証と報告を求めている。すでに契約を締結している相手方に対しては、取引停止命令の内容とともに、①少なくとも2016年7月から2018年7月までの間、契約者から賃借(レンタル)している商品の個数に比べて、WILL社が第三者に賃貸しているwillfonの数が著しく不足していること、②2018年8月6日時点でWILL社がレンタルオーナー契約の契約者から賃借している商品の個数が53万560個だったのに対し、willfonの台数が9,350台だったこと、などを報告するように求めている。要するに、顧客に買ってもらった台数と、貸している台数が明らかに合わないのだ。

 既報で「WILL社の実質的会長」とした大倉満氏について、消費者庁は「取締役と同等以上の支配力を有する者」と断定したうえで15カ月間の業務禁止命令を出している。他に同期間の業務停止命令が出されたのは、中井良昇代表取締役、本田欽也取締役、小池勝取締役、小林京子取締役、赤﨑達臣取締役ら合わせて6人。消費者庁によると、15カ月間の業務停止命令は過去最長だという。

20181204_h01-07mikawa.jpg WILL社が展開していたのは、2,400億円という巨額の負債を抱えて破たんしたジャパンライフ社と同様のレンタルオーナービジネス。2018年10月の国内売上は約50億円にのぼるとみられている。客はまずWILL社から「テレビ電話」(実際は「SIMカード」)を購入したうえでWILL社に送り返し、WILL社はそれを海外在住の日本人にレンタルし、そのレンタル料を客に還元することで「3年間で120%の利益を保証する」というのが宣伝文句だ。しかし、そんなうまい話があるはずもなく、内情は自転車操業の「詐欺的」行為。タレントらのコンサートで客を集め、集団催眠状態にあるなかで契約を結ばせる手口は、ある意味では古典的なマルチ商法のやりかたでもあった。

「購入客はテレビ電話が世界で何十万台もレンタルされていると信じ込んでいますが、実態はほぼゼロ。ジャパンライフ社ですら10%台だったレンタル率が、WILL社の場合は1%にも満たず、内部資料にある数字では、ハワイ800台、フィリピン2000台、ロス1000台、タイ800台、トロント800台。総数で4~5千台程度です」(元社員)

「〈設置料〉と呼ばれる顧客への支払い金だけで毎月20億円以上になっており、存続するために自転車操業するしかないのはジャパンライフ社と同じ構図です。WILL社ではジャパンライフ社の元社員が2年ほど前から増え始めており、そのころから売上が伸びている。ジャパンライフ社で使われていたのと同じ名簿を使って拡販している可能性が高い」(別の関係者)

 ジャパンライフの破たんを受け、WILL社の事業について被害の拡大を懸念する声は、特に今年に入って広がっていた。ジャパンライフ問題でも追及の先頭に立った日本共産党の大門実紀史参院議員は12月5日、消費者問題特別委員会でHUNTER掲載記事を資料にあげながらWILL社の事業について実態解明と緊急対応を求めていた。

○大門実紀史君 三枚目の資料ですけれども、これは、このジャパンライフを今、班をつくって調べられていますネット報道機関のニュースサイト・ハンターの記事でありますけれど、そのジャーナリストの方から、音源も含めて、つまりテープですね、もある資料でございます。(中略)これは特商法の勧誘時の説明義務違反とか虚偽説明だと思われることがたくさん入っております(中略)つまり、これは、音源で、音源ありますけれど、録音ありますけれど、投資セミナーなんかではこういうことを平気で言っております。これはもう明らかに特商法違反の内容ではないかと思いますけれど、いかがでしょうか。

○政府参考人(小林渉君) いただいたこの録音からの抜粋でございますけれども、このようなことを私ども確認できれば、そういったものは特商法違反を構成する可能性がございますので、そういった点も含めて特商法の違反の可能性があるということを申し上げたいと思います。
(大門参院議員のHPより抜粋)

■巨額の蓄財はどこへ? 深まる脱税疑惑
 今回、消費者庁から業務禁止処分を受けたWILL社の幹部社員らは、マルチ商法界隈では札付きで知られた人物ばかり。取締役の赤﨑氏はジャパンライフの残党で、社長の中井氏を除く幹部社員らの全員が、WILL社(=大倉氏が代表を務めるWORLD INNOVATION社)の前身であるドリームバンク社設立当時からのメンバーなのだ。ドリームバンク社は2011年に詐欺罪などで神奈川県警から家宅捜査を受けており、大倉氏はドリームバンク社以前も違う社名でマルチ商法ビジネスを海外展開して巨額の利益を得ていた。

 かつてWILL社に在籍した幹部社員は以下のように証言する。
「消費者庁が発表した売上は少なすぎると思います。考えられる理由は、ドリームバンク時代に口座凍結を経験しているので、現金で回収するパターンが多くなったということ。現金は銀行には預けず、どこかに隠している可能性が高い。あの数字だと3年間で400億~500億円ほどの数字にしかなりませんが、今年1年で400億は超えているはずです。この資金を管理していたのがAという人物で、巨額の脱税疑惑についても捜査すべきです」

 WILL社の破たんはすでにカウントダウンに入ったとみていい。被害者救済のためにも、大倉氏らがこれまで蓄えてきた巨額の資金がどこに隠されているのか、一刻も早く突き止めるべきだ。資金の一部が政界に流れたとみる関係者は多いという。

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左から、藤村博之・山口県警本部長、井川成正・下松市長、藤部秀則・山口県副知事、
佐山聡氏、大倉満氏(2015年当時)



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