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謎のシンクタンク「大樹総研」とは……

2018年7月 6日 08:50

20180704_h01-03.jpg 昨年10月に行われた総選挙の際に、細野豪志衆議院議員が得ていた5,000万円を巡り浮上した裏金疑惑。問題の“政治資金”を細野氏に提供したのは「JC証券」で、これを斡旋したとみられているのが民間のシンクタンク「大樹総研(たいじゅそうけん)」の矢島義也(本名:義成)会長だ。
 「永田町のタニマチ」と呼ばれる矢島氏は、与野党に幅広い人脈を持ち、政権中枢の菅義偉官房長官や二階俊博自民党幹事長とも昵懇の仲だという。
 一般には知られていなかった「大樹総研」とはいかなる組織か――。取材結果をまとめた。(右の画像は大樹総研発行冊子の表紙から)

■旧民主党との深い関係
 大樹総研の創設は2007年(平成19年)。資産家の矢島氏が、静岡で昔からの友人関係にあった鈴木康友氏(元民主党衆院議員。現・浜松市長)が選挙に落選して浪人中だったため、同じように落選して充電中の政治家が、しっかり勉強できるようなシンクタンクを作ろうということで立ち上げた会社だ。旧民主党の政治家たちとの関係が深いのは、総研設立以来のこうした経緯があるからだ。

 設立当初は、鈴木のSと矢島のYで「S&Y総研」。日銀を辞めて政界に転じ、落選した経験のある池田健三郎・現代表取締役所長(2000年に石川3区から民主党公認で出馬し落選。2003年には神奈川県大和市長選挙に出馬し落選)が2009年に入社したことで飛躍のきっかけをつかみ、熊谷弘元通産相、山口敏夫元労相など矢島氏の父親とつながりのあった人脈からも政官財へ人脈を広げたという。

 2010年頃には政治・経済がらみの発言や著述で活躍していた徳川宗家19代・徳川家広氏と接点が生まれ、社名も徳川宗家のことを表す「大樹」と変更。徳川氏は大樹総研の役員に就任する。矢島氏本人は高卒だが、スタッフには東大卒の財務省キャリア官僚出身者から元法務大臣、辣腕弁護士まで一流ブランドをそろえるようになる。

 友人関係にあった野田佳彦が総理になるや、さらに人脈が拡大。政策立案や選挙対策で評価を上げ、さらには政局における縁の下の力持ち的存在として知られるようになった。

 面倒見もいい。下の写真は、数年前に大樹総研が発行した冊子の記載の一部だが、この頃客員研究員として名前を連ねていた金子洋一(元参議院議員)、木内孝胤(元衆院議員)、道休誠一郎(元衆院議員)の3氏は、いずれも旧民主党の所属議員だった。昨年5月、JC証券に送り込んだ3人の役員が元野党議員だったことは、4日配信の『細野豪志 裏金5,000万円の真相』で報じた通りだ。ちなみに、客員研究員として名を連ねていた若田部昌澄氏は、現在の日銀副総裁である。

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 落選議員への支援は、様々な形で行われている。大樹総研は中央区銀座に本社を置いているが、複数のグループ企業を霞が関にあるビルの9階に入居させている。そのビルの名称は「三久ビル」。故・松野頼三元防衛庁長官の「三」と、松野頼久元維新の党代表の「久」が命名の由来といわれる1969年に建てられたビルだ。建物を所有しているのは「株式会社富洋」。松野氏が代表を務める会社である。グループ企業を三久ビルに入居させたのは、形を変えた松野氏への支援策なのだという。

【大樹総研グループ】
・大樹リサーチ&コンサルティング株式会社
・大樹ホールディングス株式会社
・大樹環境システム株式会社
・大樹リスクマネジメント株式会社
・大樹グリーンサポート株式会社
・大樹総研株式会社

■顧問に元警察庁長官や京セラ元社長
 大樹総研が食い込んでいるのは政界だけではない。数年前まで、顧問には、さらにすごいメンバーをそろえていた。

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 京セラの元社長、三菱商事の元副社長、ホンダの元専務、元通産相に元法相――。國松孝次氏は、銃撃された元警察庁長官として有名な存在である。

 大樹総研の豊富な資金は、主に有力スタッフを擁することにより様々な案件を解決して得るコンサル料によるものと見られている。目指しているのは、裏で政権を操る米国のシンクタンク的存在だ。野党の落選議員を支えながら、政権中枢とも親密になるという離れ業を演じる会長の矢島氏にとって、細野豪志に5,000万円を斡旋することなど訳ない話だったと言えるだろう。



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