南スーダンに派遣されたPKO部隊の日報を隠し、大臣が「戦闘」を「衝突」と強弁するなど真相の隠蔽に走る防衛省。破棄されたはずの「日報」の存在が明らかとなり、「隠蔽」を指摘される事態となった。
国会関係者など一部に公表された「日報」や、日報を基に作成された「モーニングレポート」の記述が示したのは「戦闘」の実態。隠し続けてきた現地の状況が暴かれたことで、結局、政府は派遣部隊の撤収に追い込まれている。
南スーダンで、何が起きていたのか――。PKO部隊の活動ぶりをさらに調べるため、防衛省に情報公開請求をかけたところ……。
■隠されていた「日報」
内戦終了後の南スーダンに、自衛隊の施設部隊が派遣されたのは2012年。以来、首都・ジュバに宿営地を設け、約350名の隊員がPKO活動に従事してきた。現地部隊が記録しているのは「南スーダン派遣施設隊 日々報告」(以下「日報」)。これとは別に、上級部隊である中央即応集団司令部が、日報等を基に「モーニングレポート」を作成している。
日報を巡っては昨年10月、日本人ジャーナリストが、防衛省に対し同年7月7日から12日までの日報を情報公開請求。同省は、12月2日に“廃棄による不存在”を理由とする非開示決定を出した後、河野太郎自民党衆院議員の再調査要請で、同月26日に日報の存在が確認されていた。防衛省は今年2月になって、見つかった日報3日分とモーニングレポートなどの資料を河野議員と防衛記者会に公表。その後、昨年7月7日から12日までの6日間分が改めて公表され、最終的には、6月2日から9月10日までの日報が野党各党に開示されている。
■またしても隠蔽
公表されていない昨年4月からの1年間。自衛隊PKO部隊はどのような状況の中で、活動を行ってきたのか――。HUNTERは先月10日、防衛省に対し平成28年度分の日報とモーニングレポート及び両文書に関する省内の決裁文書を開示するよう求めていた。これに対する防衛省側の対応が下の文書である。
案の定、開示決定期限の延長。しかも、「行政の所有する情報の公開に関する法律」(情報公開法)の特例を利用し、第一段階は期限を守るものの、最終的な決定を平成31年3月1日まで延期するという内容。2年間は、開示決定をしないということになる。ただし、あくまでも「決的期限の延長」。2年経って必ず開示するというわけではなく、「不開示決定」となる可能性もある。
国会で追及されて、渋々出したのが4か月分の日報。この作業には、1か月とかかっていない。残り8か月分に、2年もかかるはずがない。つまりは、時間稼ぎによる「隠蔽」。南スーダンから自衛隊部隊を撤退させてしまえば、他の事案に追われて世論も沈静化すると考えているのだろう。情報公開制度の形骸化は明らか。安倍政権と防衛省への信頼は、薄れる一方となっている。